フリーランスエンジニアの実態は?年収や案件例などを詳しく紹介
フリーランスエンジニアになると年収は増えるのか、安定して仕事を請け負うことができるのか。会社から独立して自由に働きたいと思っても、このような不安がよぎるのではないでしょうか。
では、実際にフリーランスエンジニアがどのように働いているのか。この記事では、フリーランスエンジニアの実態と始めるための方法に加え、年収や案件の例などもご紹介します。
フリーランスエンジニアとは
まずは、フリーランスエンジニアの働き方や仕事内容について、ご紹介します。
フリーランスエンジニアの働き方
フリーランスエンジニアとは、会社や団体に所属せず、案件ごとにクライアントと契約して業務を行うIT技術者です。
会社員とは異なり、雇用契約ではなく業務委託の形を取り、業務委託元と請負契約や準委任契約を結ぶこととなります。したがって、仕事の指揮命令を受けることがなく、ある程度自分の裁量で仕事をすることが可能です。
<フリーランスエンジニアが結ぶ主な契約形態>
- 請負契約:請負人(フリーランス)が成果物を完成させ、クライアントが仕事の成果物・結果に対して報酬を支払う形の契約です。
- 準委任契約(SES):請負人が業務を行い、クライアントが業務に対して報酬を支払う形の契約です。成果物ではなく業務の遂行に対して報酬が支払われる点で、請負契約とは異なります。
フリーランスエンジニアの仕事内容
フリーランスエンジニアの仕事内容や職種は幅広くあります。下記はエンジニアの例です。
- システムエンジニア:業務用の情報システムの設計・開発全般を担当する職種です。
- iOS/Androidエンジニア(アプリエンジニア):スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末にインストールするアプリケーションを開発するエンジニアです。モバイル端末のOSによって開発に使われる言語が違うため、iOSエンジニアなどと区別されることがあります。
- インフラエンジニア:サーバーやネットワーク、ネットワークなどのITインフラ(IT基盤)の設計や構築、運用・保守を行うエンジニアです。
- AIエンジニア:AI(人工知能)技術を活用して、データ解析を行ったり、データ解析プログラムを作成したりするエンジニアです。
- データサイエンティスト:企業が意思決定の場面において、合理的な判断を行えるよう、統計やビッグデータ解析などを用いてサポートを行う職務です。
ひと口にITエンジニアといっても、専門性によって職種は細分化されています。ITエンジニアとして活躍したいと考えたとき、どのようなスキルを身につけるべきなのかは、目指したい分野によって大きく異なります。
ITエンジニアの分類は、大別して開発系エンジニア、インフラ系エンジニア、そのほかの3種類ありますが、それぞれの分類のなかでさらに細分化されています。本記事では、ITエンジニアの職種や年収、向いている人や将来性などについて解説します。
フリーランスエンジニアの年収相場
フリーランスエンジニアの年収幅は400万円程度から1000万超までと幅広いです。以下では、フリーランス・副業向け情報メディアの「SOKUDAN Magazine」によるフリーランスの平均年収に関する調査データを参考に、職種別の平均年収などをご紹介します。
※フリーランスエンジニアの平均年収は調査によって異なるため、あくまでも目安としてご覧ください。
出典:SOKUDAN Magazine (https://magazine.sokudan.work)
フリーランスエンジニア6職種の平均年収
本調査では、フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、インフラエンジニア、iOS / Androidエンジニア、機械学習エンジニア、データサイエンティストの6職種について、フリーランスで働いている人を対象に行っています。
この6職種全体の平均年収は899万円、年収800万円以上が64.9%と半数以上を占めています。
フリーランスエンジニアの中でも年収の高い職種
同調査では、下記の職種の平均年収がトップ3となっています。
- 機械学習エンジニア:1,115万円
- データサイエンティスト:991万円
- iOS/Androidエンジニア:943万円
データ分析やAIといった技術がトレンドである中、需要の多い職種が年収も高い傾向にあると言えます。
フリーランスエンジニアの案件例
実際にフリーランスエンジニアの案件にはどのようなものがあるのか、例としてTECH STOCKに掲載されている案件をご紹介します。
インフラエンジニアの案件
インフラエンジニアの案件はオンプレミス/クラウドを用いたインフラ設計・構築全般を担当するものや、運用・保守のみに絞ったものなどがあります。
- 案件内容:インフラ基盤の運用設計支援
報酬:〜95万円/月(税別)
勤務場所:東京都 一部リモート勤務可
業務期間:約1年5か月
業務内容:運用設計リーダー。運用概略設計から参画し、顧客の要件聴取や設計、社内の調整等を行う。
システムエンジニアの案件
システムエンジニアの案件の業種はさまざまです。顧客との打ち合わせを含めた案件など上流工程に関わるほど報酬もアップする傾向にあります。
- 案件内容:システム開発プロジェクトの要件~開発支援(製造業)
報酬:~65万円/月(税別)
勤務場所:愛知県 一部リモート勤務可
業務期間:長期予定
業務内容:システム要件定義、基本設計~テスト、プロトタイプ作成の支援
データサイエンティストの案件
データサイエンティストは需要が高まっており、単価が高い案件も多いですが、その分高いスキルを求められることが多い傾向にあります。
- 案件内容:データ分析及びBIツール導入支援/製造
報酬:~120万円/月(税別)
勤務場所:東京都
業務期間:長期予定
業務内容:データアナリスト業務(データ分析、BIツールの導入・運用)
フリーランスエンジニアのメリット
フリーランスエンジニアになると、次のようなメリットがあります。
働く時間や場所が自由に選べる
フレックスタイム制度を導入している企業も多く、比較的自由な働き方が可能です。また、システム設計やプログラミングなど基本的に個人で行う作業においては、在宅勤務が認められやすいです。
在宅勤務の場合は、自宅のほか、カフェやサテライトオフィスなどでも働けます。ただし、オンプレミスのインフラ構築など、現場での作業が必要な場合は取引先企業に出社する必要があります。
受注する案件を選べる
フリーランスエンジニアは、報酬や働き方、取引先の所在地など、さまざまな条件の案件を選択できます。
必ずしも採用されるというわけではありませんが、報酬の高い案件や、自身の興味や得意分野に関連した案件を選んで応募することが可能です。また、フルリモート案件であれば自身の居住地を気にすることなく案件に応募できます。
スキル次第で年収アップが見込める
フリーランスエンジニアの求人案件は、専門性や希少性の高いスキルが求められるものや、即戦力としての稼働を期待される案件ほど高単価です。そのため、自身のITスキル(技術力)を磨くことで、年収増を見込むことができます。
たとえば、AIやデータ分析の最新技術など、市場の需要が高い分野のスキルを磨くことはおすすめです。また、ITスキルを磨く以外にも、顧客との折衝能力やプロジェクトチームをまとめるマネジメント能力を持っていると、プロジェクトの上流工程を担う高単価案件を狙えます。
IT技術者として活躍するためには、身につけておきたいスキルが数多くあります。プログラミングスキルやネットワーク知識などの技術面だけでなく、コンサルティング力やマネジメント力などのソフト面のスキルも重要です。 ITスキルを身につけるためには、スキルの棚卸しを行い、自分に必要なスキルを見極めることが求められます。本記事では、ITSS認定資格の具体例やIT技術者として高めたいスキル、それらのスキルを身につけるための具体的なステップについて解説します。
フリーランスエンジニアのデメリット
フリーランスエンジニアになるにはデメリットも存在します。以下に、会社員との比較で不利な点を3つ挙げます。
収入が途絶える可能性がある
会社員の収入は所属する会社の経営状況に左右されますが、基本的には毎月安定して得られます。
一方で、フリーランスエンジニアは契約ごとに報酬を受け取るため、契約終了によって収入が途絶える可能性があります。そのため、常に新しい案件を獲得するための営業活動が必要です。
営業活動や確定申告などの業務が発生する
会社に所属するエンジニアは基本的にエンジニアの業務に集中でき、プロジェクトを受注や必要な資材の調達などは行いません。
一方、フリーランスエンジニアはエンジニア業務以外にも、営業活動やその他事務作業も自己負担で行わなければなりません。特に、確定申告などの手続きも自分で行う必要があります。
社会保険や福利厚生の恩恵が少ない
会社員は厚生年金や会社が指定する健康保険に加入でき、保険料の負担も会社との折半のため約半額で済みます。福利厚生も充実している会社も多く存在します。
一方、フリーランスエンジニアは、社会保険料を全額自己負担する必要があります。また、現在のところフリーランスは原則として雇用保険に加入できないため、個人で民間の保険に入る必要があります。業務内容によって良い労働条件であったり、労災が下りたケースはありますが、まだフリーランスの権利は強いとは言えない状況です。
なお、フリーランスが取引関係で不利にならないよう適正化するなどの内容が盛り込まれた法律・「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が2023年(令和5年)5月12日に公布されています。2024年(令和6年)11月までに施行される予定です。俗にフリーランス保護法と呼ばれるもので、今後の労働環境の改善が待たれるところです。
フリーランスエンジニアに向いている人の特徴
フリーランスエンジニアとして適している人は、以下の特徴が挙げられます。
実務経験が長く、高いスキルを持っている
エンジニアとしての実務歴が長く、プログラミングやIT分野の専門知識、業務知識はもちろん、マネジメントスキルを有する人は高単価案件を獲得しやすくなります。高いスキルは高単価案件の獲得に直結すると言っていいでしょう。
営業力、コネクションがある
フリーランスとして独立した初期段階では、自らで営業をして案件を獲得する必要があります。また、営業力がなくても以前の雇用者やビジネスパートナーとコネクションを持っておくことで仕事を得やすいです。このように、営業力や人脈を活かせる人はフリーランスエンジニアとして成功しやすいです。
自己管理能力がある
フリーランスは勤務時間が決まっていないことも多く、自己管理能力が不可欠です。納期に間に合わないなど、クライアントからの信用を失わないように、自身のスケジュールや健康、財務の管理が必須です。
フリーランスエンジニアに向いていない人の特徴
一方、フリーランスとして働くことが適していない人もいます。
スキルや経験がほぼない
フリーランスエンジニアの仕事は基本的に即戦力が求められます。経験不足やスキル不足では案件の獲得が難しく、年収をアップさせることは難しくなります。
フリーランスは楽に稼げると思っている
フリーランスエンジニアの仕事は簡単には得られません。常にスキルを磨き、最新情報をキャッチアップするなど、顧客のニーズに応じる準備と、それを実行できる向上心が必要です。
安定志向
会社員としての安定した収入を求める人には、フリーランスエンジニアは向いているとはいえません。フリーランスエンジニアは、案件を受注できなければ収入を得られず、収入が安定しない場合もあります。収入の不安定さや不確実性に耐えられない人は、安定した職場を選ぶ方が良いでしょう。
フリーランスエンジニアの案件の探し方
フリーランスエンジニアとして一番頭を悩ませるのは案件の獲得方法でしょう。そこで以下では、案件の探し方をいくつかご紹介します。
以前の職場や取引先など知人からの紹介
会社員時代の同僚や取引先、エンジニア仲間や友人から案件を紹介してもらう方法があります。会社員時代に自分が担当していた業務を、業務委託という形で請け負うケースも少なくありません。
知人からの紹介は、自分のスキルや得意分野をよく知っていることも多いため、その案件にマッチングする可能性は高く受注確度も高いです。
エージェントの利用
二つ目は、フリーランスを対象としたエージェントサービスを利用する方法です。エージェントサービスに登録すると、担当となるエージェントが応募者の要件に合わせて案件を紹介してくれます。
また、クライアントとの契約の交渉やその他事務作業のサポートしてくれるため、営業が不得手な方にはおすすめです。
クラウドソーシングの利用
クラウドソーシングプラットフォームに登録して案件に応募することも有効です。クラウドソーシングには比較的初心者向けの案件が多く、経験を積むための場としても利用できますが、その分報酬は比較的低い傾向があります。
ビジネス・IT系交流会などでの紹介
ビジネス系の交流会、エンジニア同士のIT系の講習会、フリーランス同士のコミュニティなどでの交流も案件獲得の機会があります。直接対話しながら交流できるため、お互いの人となりが見えるところは交流会のメリットの一つです。
フリーランスとして働くために必要な準備
フリーランスのメリットが魅力的だからといって、何も準備せず、突然独立するのはリスクが高いです。リスクを下げるには、独立するまでの準備や計画を練ることが重要です。
以下では、フリーランスとして働くために最低限必要な準備を紹介します。
ポートフォリオ、スキルシート作成
自身のスキルや実績をアピールするために、ポートフォリオやスキルシートを作成しましょう。Web上にポートフォリオやスキルシートを公開することで、転職サイトやエージェントの担当者、クライアントにも共有しやすくなります。
案件獲得のルートを開拓
知人からの紹介やエージェントの活用など、案件獲得のルートを開拓していきます。先に作成したポートフォリオやスキルシートをエージェントに共有したり、クラウドソーシングのプロフィール情報に記載しておくと、案件を受注できる確率が上がります。
フリーランスエンジニアになるまでの流れ
安定して仕事が受注できる道筋が見えてきたら、フリーランスエンジニアとして独立も視野に入ってきます。しかし、個人事業主として活動するためにはいくつかの手続きが必要になります。以下、代表的なものを紹介していきましょう。
開業届の提出
事業を開始する場所を管轄する税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(通称、開業届)」を提出します。この手続きは事業開始後1か月以内に行うことが推奨されていますが、期限を過ぎても特に罰則はありません。
所得税の青色申告承認申請書の提出
確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告をするためには「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
青色申告の場合には最高55万円(一定の要件を満たすと65万円)の控除を受けることができ、節税効果が高いため、フリーランスになるなら青色申告を検討しましょう。
参考:青色申告特別控除|国税庁
適格請求書発行事業者の登録検討
2023年10月1日に始まった適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応し、適格請求書発行事業者へ登録する、つまり、課税事業者になるかを検討します。インボイス制度の対応可否で仕事上の不利になることはないとされていますが、免税事業者のままだと取引先側が消費税分を負担することになるため、新規契約時に影響がないとは言い切れません。
インボイス制度について、詳しくは下記のサイトをご参照ください。
国民年金、国民健康保険へ加入
退職後は、国民年金や国民健康保険への加入が必要です。前職で厚生年金に加入していた場合は、退職した日の翌日に被保険者資格を喪失することとなります。また、退職後2週間以内に、国民年金への加入手続きが必要となるので注意しましょう。
健康保険への加入は、下記の4つの方法があります。
- 前職の健康保険に継続して加入する(退職後2年以内)
- 国民健康保険に加入する
- 健康保険組合に加入する
- 家族の扶養に入る
クレジットカードの発行を行う
フリーランスエンジニアは収入が不安定であるなどの面から、社会的信用が低くなりやすいというデメリットがあります。そのため、社会的信用が必要とされるクレジットカードの発行などは会社員時代に行うようにしましょう。
売上管理、経理処理のための会計ソフトなど必要なツールを揃える
税理士に依頼せず、経理業務を自分で行う場合、会計ソフトなどのツールを準備することをおすすめします。
特に確定申告で青色申告を利用する場合には、複式簿記という方式で記帳することになるため、ある程度経理に関する知識が必要です。経理の基礎知識を勉強しつつ、簡単に帳簿付けができる会計ソフトを選んで契約しておくと、後々の経理業務が楽になります。
まとめ
フリーランスエンジニアとして活動することのメリット・デメリットからフリーランスになるための方法まで、まとめてお伝えしました。フリーランスエンジニアという働き方に憧れているものの、踏ん切りがつかず迷っているといった方は、周りにいるフリーランスエンジニアや、エージェントに実態を聞いてみるのも手です。自分のスキルを棚卸し、挑戦できるかどうか判断してみてください。
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