ITエンジニアに必要なスキル一覧!未経験者向けおすすめ資格も解説
ITエンジニアは、スキルアップやキャリアアップによって高年収も目指せる魅力的な職業です。しかし、どのようなスキルを身につければ希望の職種に就けるのか、わからない場合も多いものです。
本記事では、ITエンジニアに必要な最低限のスキルと、職種別に必要なスキルを紹介します。需要の高いスキルやスキルアップに有効な資格も解説するため、実際にスキルアップを検討する際の参考にしてください。
エンジニアに必要な最低限のスキル
ITエンジニアになるために、最低限必要なスキルを5つ紹介します。職種を問わず求められるスキルのため、未経験からITエンジニアを目指す際にも参考にしてください。
- 基本的なITスキル
- 論理的思考力
- コミュニケーション能力
- ヒアリング・提案能力
- 最新技術に関する情報収集力
それぞれ順番に解説します。
基本的なITスキル
ITエンジニアの仕事は、多くの場合プログラミングに携わるため、基本的なプログラミングスキルは必須です。基幹システムやアプリケーション開発に携わりたいのであればJavaやC#、Web系に携わりたいのであればJavaScriptやPHPなどを学んでおく必要があります。
また、IT全般における基礎知識も実務に携わる上で必要です。ハードウェアやソフトウェア、ITインフラなどの知識がないと、社内外で仕事のやり取りが円滑に進まない場合があります。
論理的思考力
論理的思考力とは、物事を筋道立てて考える能力です。論理的思考力によって問題の原因分析や解決策を導き出すことができるため、ITエンジニアの業務にとっては重要です。
2020年度から小学生のプログラミング必修化が決まった際にも、プログラミング的思考を通して、論理的思考力も育むことができると述べられており、改めて注目されています。
ITエンジニアに論理的思考力が求められる場面としては、顧客課題を解決するために必要な機能を絞り、コストを抑えた開発を行ったり、インシデント発生時の対応や原因究明、再発防止策の策定を行ったりする場合などが挙げられます。
コミュニケーション能力
ITエンジニアの仕事はプロジェクトチームで取り組むものが多く、1人では完結しません。そのため、チーム内での調整にはコミュニケーション能力が必要です。
ただ、いきなり難しい調整をこなせるような高いレベルを求められるわけではありません。チーム内での調整や顧客とやり取りを行う上で、円滑なコミュニケーションを心がけることができる、という能力が必要であるということです。
ヒアリング・提案能力
ITエンジニアは、顧客が抱える問題を正しく聞きとるヒアリング能力や、問題の解決策として提示するシステムについて正しく理解し、顧客側に納得してもらう提案能力が求められます。
例えばヒアリングでは、クライアント企業が何を解決すれば良いか把握していない場合もあるため、的確に質問を投げかけ、顧客を導きながら問題点や課題を抽出する必要があります。
最新技術に関する情報収集力
IT業界では日々新たな技術やシステムが登場するため、最新技術に興味を持つことも大切です。
最近では、生成AIやビッグデータ解析・SaaSなどのクラウドサービス等が注目されています。常に最新情報をキャッチアップし、ビジネスでどう活用されているか、活用できるのかを考えることもエンジニアにとっては重要です。
ITエンジニアの職種別に必要なスキル
ITエンジニアの職種を大きく4つに分類して紹介します。各職種で必要とされるスキルや平均年収(2024年3月時点)も解説するので、目指す方向を決めかねている場合は参考にしてください。
- 開発系
- インフラ系
- データ活用系
- 組み込みシステム系
それぞれ順番に解説します。
開発系
開発系は、ソフトウェアやWebサイト、アプリケーションなどの設計・開発に加え、サーバー側の処理に関する開発を行うエンジニアです。
システムやプロダクトに関して、フロントエンドとバックエンドの構築に携わる開発系の職種7つについて紹介します。
- プログラマー
- システムエンジニア
- フロントエンドエンジニア
- アプリケーションエンジニア
- ゲームエンジニア
- バックエンドエンジニア
- セキュリティエンジニア
プログラマー
プログラマーは、ITアーキテクトなどが設計した仕様に基づき、コードを書いて実際にシステム開発を行う職種です。IT業界での勤務経験がない求職者を対象とする求人募集もあるため、比較的目指しやすいのが特徴です。
開発するものは案件や勤務先によって変わり、使用するプログラミング言語も案件によって異なります。業務システム開発であればJavaやC#、Web系であればJavaScriptやPHPが挙げられます。
各サイトに掲載されている情報を基に、プログラマーの平均年収を以下にまとめます。
掲載サイト | 平均年収 |
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 「ソフトウェア作成者」 |
550万円 |
マイナビAGENT | 344万円 |
転職サイトdoda | 422万円 |
システムエンジニア
システムエンジニアは、顧客の抱える問題解決のためにシステムの設計や開発を行う職種です。要件定義や仕様書作成など、システムの実装を見据えた設計を手掛けます。
システムエンジニアにはプログラミングに関する知識はもちろん、顧客から問題点や課題を聞き出すヒアリング能力、提案力、プログラマーに仕様を適切に伝えるためのコミュニケーション能力が求められます。
各サイトに掲載されているシステムエンジニアの平均年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 「システムコンサルタント・設計者」 |
660万円 |
マイナビAGENT | 443万円 |
転職サイトdoda | 422万円 |
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリケーションにおいて、ユーザーの目に直接触れる部分を開発する職種です。Webデザイナーが設計したデザインをプログラミングによって実装します。
UI(User Interface)/UX(User experience)やWebデザインに関する知識、JavaScriptなどのプログラミングスキルが必要です。
UI/UXとは、ユーザーの視認性・操作性などWebサイトやアプリケーションから得られる顧客体験を指します。昨今は特に、UI/UXを向上させるためのサイト設計やアプリ開発が求められています。
フロントエンドエンジニアの平均年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
マイナビAGENT | 385万円 |
アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアは、スマホやWeb、業務用のアプリ開発を行う職種です。スマホやSaaSなどクラウドサービスの普及によって需要が高まっています。
求められるスキルは開発するシステムによって異なり、業務系アプリではJavaやC#、C、C++を扱うスキルが求められます。WebアプリであればJava、PHP、Ruby、Python、JavaScriptの知識が必要です。スマホアプリで用いられる言語は、iOSならSwiftが挙げられ、AndroidならkotlinやJavaが挙げられます。
アプリケーションエンジニアの平均年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
転職サイトdoda | 461万円 |
ゲームエンジニア
ゲームエンジニアは、スマホゲームやブラウザゲーム、コンシューマーゲームなどの制作に携わる職種です。シナリオライターやデザイナーなどと連携しながら開発を行います。
ゲームエンジニアは、ゲームエンジン(統合開発環境)のUnity、UnrealEngine4(UE4)を扱う知識やスキル、開発するゲームの種類に応じたプログラミングスキルが求められます。
主に使用されるプログラミング言語は、スマホゲームであればJavaやswift、ブラウザゲームではJavaScriptやRuby、Java、コンシューマーゲームではCやC#、C++などです。
平均年収に関するデータはありませんが、求人情報(※)から450〜1,000万円の年収が見込めます。
※転職なら、求人情報・転職サイトdoda(デューダ):https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3009406779/
マイナビ転職(株式会社コーエーテクモゲームス):https://tenshoku.mynavi.jp/jobinfo-203385-2-117-2/
バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアは、Webサイトやアプリケーション内のユーザーからは直接見えない部分を開発する職種です。プログラムの開発やサーバー・データベースの設計、構築などを担当します。
バックエンドエンジニアには、RubyやPython、Javaをはじめとするプログラミングスキルと、サーバーやデータベースに関する知識が求められます。
また、フロントエンドエンジニアと連携する必要もあるので、フロントエンド開発に関する知識も必要です。
各サイトに掲載されているバックエンドエンジニアの平均年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
マイナビAGENT | 465万円 |
転職サイトdoda | 454万円 |
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報セキュリティの観点からシステム設計に対する助言や、プログラムへのレビューを行う職種です。
求められるスキルは、個人情報などに関する法律知識とセキュリティシステム開発のためのプログラミングスキルです。
サイバーセキュリティ基本法(※1)や不正アクセス禁止法(※2)、個人情報保護法(※3)などの法律や、顧客が策定するセキュリティポリシーへの理解も必要です。
また、セキュリティ対策を行うシステムに使用される言語がそれぞれ異なるため、PHP、C、C++、Python、JavaScript、SQLなどが扱えると便利です。
各サイトに掲載されているセキュリティエンジニアの平均年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
マイナビAGENT | 487万円 |
転職サイトdoda | 454万円 |
※1サイバーセキュリティ基本法|総務省https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/basic/basic_legal_11.html
※2不正アクセス行為の禁止等に関する法律|総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/basic/basic_legal_09.html
※3個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0623-15h.html
インフラ系
インフラ系エンジニアは、ネットワークやサーバーに携わるエンジニアです。近年ではIaC(Infrastracture as Code)の観点からもインフラ系エンジニアにプログラミングスキルが求められています。IaCとは、クラウド利用率の増加に伴い、インフラ構築をプログラムと同じくコード化して行うという考え方です。
本項ではインフラ系エンジニアの職種4つと、それぞれに必要なスキルを紹介します。
- ネットワークエンジニア
- サーバーエンジニア
- データベースエンジニア
- クラウドエンジニア
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアはネットワークの構築・運用に携わり、要件に合わせてネットワーク機器の選定や設置・設定を行います。ネットワーク設備が欠かせない現在において、ITインフラを担うため需要が安定している職種です。
ネットワークエンジニアには、Ciscoなどのネットワーク機器に関する知識と運用ツールを扱うスキルが必要です。
また、クラウドサーバーの普及が進む状況下にあるため、ネットワークをクラウド上に構築する仮想化スキルの需要も高まっています。ネットワークの仮想化においては、バックエンド処理に使われRubyやJava、Pythonなどのスキルが求められます。
各サイトに掲載されているネットワークエンジニアの平均年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
マイナビAGENT | 455万円 |
転職サイトdoda | 446万円 |
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアはサーバーの性能や台数の設定、OSインストールなどのサーバー構築や運用保守を行う職種です。
Linuxや、Unix、WindowsServerなどのサーバーOSに関する知識と、サーバー自体を構築するスキルが求められます。業務用サーバーでよく使用されるLinuxのスキルとして、ShellScriptのbashなどの言語を扱えると便利です。
各サイトに掲載されているサーバーエンジニアの平均年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
マイナビAGENT | 465万円 |
転職サイトdoda | 454万円 |
データベースエンジニア
データベースエンジニアはデータベースの構築や運用を行う職種です。ビッグデータ分析の重要性が高まる近年、その必要性も高まっています。
データベースエンジニアには、Oracle Databaseなどの製品に関する知識と、データベース言語であるSQLを扱うスキルが必要です。
また、ビッグデータ分析のニーズが高まっていることから、構造化されたデータを扱うSQLだけでなく、非構造化データを扱うNoSQLデータベースの知識も重要になっています。仕事の幅を広げていくのであれば、NoSQLについても学んでおく必要があります。
各サイトに掲載されているデータベースエンジニアの平均年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
マイナビAGENT | 424万円 |
転職サイトdoda | 412万円 |
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアは、クラウド環境の構築やクラウドサービスの設計・運用を行う職種です。総務省の「令和5年情報通信白書」では、クラウドサービスを利用している企業の割合は72.2%となっており、5年連続で増加しています。
平均年収に関するデータはありませんが、求人情報(※1)から500〜1,000万円の年収が見込めます。
クラウドエンジニアには、AmazonのAWSやMicrosoftAzureなどのサービス、サーバーやネットワークに関する知識が必要です。
また、アプリケーションをマイクロサービスとして設計するスキルも求められます。マイクロサービスとは、それぞれ独立した複数の小規模サービスを組み合わせて、1つのアプリケーションを構築する手法です。
今後も、クラウドサービスの市場規模は大きくなることが見込まれており(※2)、需要の拡大に併せて成長したい場合におすすめの職種です。
※1マイナビAGENT(アクセンチュア株式会社):https://mynavi-agent.jp/jobsearch/10295811/
※2情報通信分野の現状と課題|総務省:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd248200.html
近年では多くの企業がクラウドサービスを利用しており、クラウドエンジニアを求めている現場も増えてきました。
クラウドエンジニアとして働くのであれば、仕事内容や必要なスキルを押さえた上で、資格試験などを通して知識を身につけていくことが大切です。本記事では、クラウドエンジニアの仕事内容や将来性、クラウドエンジニアになるためにおすすめの資格について解説します。
データ活用系
データ活用系のエンジニアは、データ収集や加工、データベースの運用などを行うエンジニアです。本項ではデータ活用系の職種として次の2つを紹介します。
- AIエンジニア
- データサイエンティスト
AIエンジニア
AIエンジニアは、AI開発や動作環境の構築、AIへの命令文(プロンプト)の作成などを担う職種です。
ChatGPTなどの生成AIが世界を席巻したことにより、AIエンジニアの注目度が高まっています。生成AIの開発は海外が中心でしたが、ソフトバンクが独自の生成AI開発に着手したり(※1)、サイバーエージェントが大規模言語モデル(LLM)の開発を行ったり(※2)と、国内でも開発が進んでいます。
AIエンジニアには、Pythonを扱うスキルや確率論、統計学といった数学的知識、機械学習やディープラーニングへの理解などが必要です。
また、各サイトに掲載されているAIエンジニアの年収については次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
厚生労働省 職業情報詳細サイト「jobtag」 | 534万円 |
転職サイトdoda | 513万円 |
国税庁が行った「令和4年民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は458万円であるため、AIエンジニアは平均より年収が高いことがわかります。
※1ソフトバンク株式会社:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2023/20231031_01/
※2株式会社サイバーエージェント:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=29479
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データの収集・分析やデータベースの構築・運用を通して、新たな価値などを引き出す職種です。一般社団法人データサイエンティスト協会の「データサイエンティストの就労意識」(※)によると、社内、組織内のデータ分析ニーズは年々高まっています。
データサイエンティストには、統計に関する知識やSQL、NoSQLのデータベース運用、PythonやR言語を扱うスキルが必要です。構造化データや非構造化データから成るビッグデータの集計や、解析作業にはプログラミングも用います。
各サイトに掲載されているデータサイエンティストの年収は次のとおりです。
掲載サイト | 平均年収 |
厚生労働省 職業情報詳細サイト「jobtag」 | 557万円 |
転職サイトdoda | 532万円 |
※データサイエンティストの就労意識|一般社団法人データサイエンティスト協会(12ページ):https://www.datascientist.or.jp/common/docs/personal_research2022.pdf
IoTデバイスやITサービスの普及により、ビッグデータと呼ばれる多様で膨大なデータを収集できるようになりました。このビッグデータを企業のマーケティングや商品開発、業務改善などのビジネス活動に貢献させるべく、分析するのがデータサイエンティストです。 今回の記事ではデータサイエンティストの仕事内容や必須スキル、年収を解説したうえで、データサイエンティストになる方法についても紹介します。
組み込みシステム系
最後に組み込みシステムに携わる職種として、組み込みシステム系エンジニアを紹介します。
組み込みシステム系エンジニア
組み込みシステム系エンジニアは、IoT技術が活用されるデバイスに組み込まれているマイコンやプログラムを開発する職種です。エンベデッドエンジニアとも称されます。
組み込みシステム系エンジニアには、CやC++といった組み込みシステムに適した言語や、Javaなどの言語スキルが必要です。
また、医療機器や自動運転、家電製品など、即時性が求められる組み込みシステムで利用されるリアルタイムOS(RTOS)を扱えることも重要です。
総務省の「令和5年情報通信白書」(※)によると、世界のIoTデバイス数は2022年には約324億台に上り、5年連続増加しています。また、2025年には約440億台にまで増加すると予測されており、今後さらなるIoT技術へのニーズ拡大が見込まれています。
各サイトに掲載されている組み込みシステム系エンジニアの年収は以下の通りです。
掲載サイト | 平均年収 |
マイナビAGENT | 455万円 |
転職サイトdoda | 501万円 |
※令和5年情報通信白書(42. 世界のIoTデバイス数の推移及び予測)|総務省:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00212
IT業界が目覚ましく進歩している近年は、システムやソフトウェアを開発するエンジニアの需要も拡大しています。そのなかでも、近年注目されているIoTやAIなどと関連の深い「組み込みエンジニア」は、今後ますます需要が拡大するでしょう。
しかし、今後の需要が期待できる職種は志望する人も増えやすくなり、差別化が難しいのも事実です。そこで、資格を取得してスキルアップをし、キャリアの選択肢を広げてみることも一つの案です。
今回は、組み込みエンジニアのキャリアアップにおすすめの資格を紹介し、効果的な勉強方法も詳しくご紹介します。
スキルアップの方法
ITエンジニアになったあとスキルアップするための方法を、3つ紹介します。
- 書籍やWebサイトで学ぶ
- プログラミングスクールを受講する
- 資格を取得する
それぞれ順番に解説します。
書籍やWebサイトで学ぶ
ITエンジニア向けの書籍やWebサイトでの学習は、プログラミングスクールなどに通うよりも費用を抑えることが可能です。
いきなり大きな費用を掛けるのが不安な場合には、無料のWebサイトやYouTubeなどコストのかからない学習方法がおすすめです。
プログラミングスクールを受講する
独学ではモチベーションが続かない場合や、わからない部分を質問できる環境で学習したい時にはプログラミングスクールの受講が適しています。費用はかかりますが、独学よりも挫折しにくいのが大きなメリットです。
また、プログラミングスクールによっては就職先の紹介など、キャリアアップの支援をしているところもあります。
資格を取得する
資格取得もスキルアップの方法としておすすめです。ITエンジニア向けの資格は国家資格も民間資格も多くあるため、現職の職種やキャリアアップしたい方向性に合った資格を選んでスキルを習得するようにします。
ITエンジニア向けの資格については次章で具体的に紹介します。
システムエンジニアとして働くために、必ず資格を取得しなければならないわけではありません。しかし、資格を取得しておくことによって、転職時のアピールポイントとして活用できたり、資格手当や一時金を受け取れる可能性があったりするため、ぜひ取得することをおすすめします。
本記事では、システムエンジニアの資格取得を推奨する理由やおすすめの国家資格・ベンダー資格、エンジニアとして活躍するために身につけておきたいスキルなどについて解説します。
ITエンジニアになるためのおすすめ資格
ITエンジニアになるために必要な資格はありませんが、スキルを証明するものとして資格を取得しておくと実務や転職活動で役に立ちます。
本章では、ITエンジニアになるためのおすすめ資格を9つ紹介します。未経験からITエンジニアになるにはどのような勉強をしておくと良いか、参考にしてください。
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- PHP技術者認定試験
- Linux技術者認定試験「LinuC」
- HTML5 プロフェッショナル認定試験
- Ruby技術者認定試験
- オラクルマスター
- CCNA認定
- AWS認定試験
それぞれ順番に解説します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、ITエンジニアに必要な基本的スキル・知識を、網羅的に学習できる国家資格です。基本情報技術者試験は、同法人が定めるITスキル標準(ITSS)において、4段階のスキルレベルのうちレベル2に該当し、IT全般に関する基本的な用語や知識が問われます。
合格率は48.0%と受験者の約半数が合格しています。どの職種のエンジニアを目指す際にも求められるスキルの証明となるため、これからITエンジニアになろうとしている場合には取り組みやすい試験です。
基本情報技術者試験は、2023年4月から通年化されました。このことを受け、今後ますます受験者の増加が見込まれます。そこで今回は、ITエンジニアとして理解しておくべき基本情報技術者試験の試験内容やメリット、合格率、受験までの流れについて解説していきます。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験より高いレベルのスキル・知識の証明となる国家資格です。独立行政法人情報処理推進機構が定めるスキルレベルのレベル3に該当し、経営戦略やIT戦略に基づくシステム企画や、要件定義が行える技術水準が求められます。
ITスキル標準のレベル3に位置づけられる資格であり、難易度も高く、さらなるスキルアップやプロジェクトマネージャーなどの職種を目指す人向けの資格であるため、合格率も22.2%と低くなっています。
PHP技術者認定試験
PHP技術者認定試験は、一般社団法人PHP技術者認定機構が実施する、PHPを扱うスキルの証明となる民間資格です。
初級・準上級・上級・ウィザードとレベルが分かれており、初級はITスキル標準のレベル1に該当するため、初心者向けです。
試験区分はPHPのバージョンでも分かれているため、実務で利用している場合はその要件に合ったものを選択し、これから学習を始める場合は最新のものを選択するのがおすすめです。
「PHP」は、多くのウェブサービスで使用されているプログラミング言語です。PHPの民間資格である「PHP技術者認定試験」に合格すると、PHPプログラミングのスキルがあることを証明できるため、転職やスキルアップに役立ちます。
この記事では「PHP技術者認定試験」の概要と、学習方法などをご紹介します。
Linux技術者認定試験「LinuC」
Linux技術者認定試験LinuCは、特定非営利活動法人LPI-Japanが実施するLinuxの実用的なスキルの証明となる民間資格です。レベル1~3とシステムアーキテクトの4つの区分があり、レベル1はITスキル標準のレベル1に該当し、初心者向けの資格といえます。
Linuxの運用やシステム設計、クラウド環境などについて学べるため、サーバーエンジニアを目指したい場合に適しています。
HTML5 プロフェッショナル認定試験
HTML5 プロフェッショナル認定試験は、HTMLやCSS、JavaScriptなど開発フロントエンド系エンジニアに求められるスキルが身につけられる民間資格です。Linucと同じ特定非営利活動法人LPI-Japanが実施しています。
レベル1・2の2区分があり、レベル1はITスキル標準のレベル2に区分されています。フロントエンドエンジニアやアプリケーションエンジニアを目指す場合におすすめです。
Ruby技術者認定試験
Ruby技術者認定試験は、一般財団法人Ruby Associationが実施する、Rubyを用いたシステム開発や運用のための知識、スキルの証明となる民間資格です。
SilverとGoldの2区分があり、SilverはITスキル標準のレベル1に区分されています。開発バックエンド系のエンジニアを目指す場合に向いている資格です。
オラクルマスター
オラクルマスターは、日本オラクル株式会社が実施する、Oracle Databaseの知識や設計・運用のためのスキルを証明する民間資格です。
Bronze・Silver・Gold・Platinumの4区分があり、BronzeはITスキル標準のレベル1に区分されています。データベースエンジニアやデータサイエンティストなど、Oracle Databaseを扱う職種を目指す場合の学習に適しています。
CCNA認定
CCNA(Cisco Certified Network Associate)認定は、シスコシステムズ合同会社が実施するネットワークに関する基礎知識を測る民間資格です。
試験はエントリーからアソシエイトまで5段階あり、CCNAは下から2番目のアソシエイトに区分されています。ITスキル標準においてはレベル2に該当します。
ネットワークエンジニアを目指す場合に適した資格で、IT業界未経験者はエントリー区分のCCT(Cisco Certified Technician)から学習を始めるのが得策です。
AWS認定試験
AWS認定試験は、Amazonが実施する、AWS(Amazon Web Services)の知識やスキルを測る民間資格です。クラウドエンジニアを目指す場合の学習に向いています。
基礎から専門知識の4つに区分された12種類の試験のなかでも、入門レベルであるクラウドプラクティショナーは、初心者に適しています。AWSの実務経験がある場合は、アソシエイトレベルに挑戦するのが最適です。
Amazonが主催するAWSの認定資格は、AWSを扱うエンジニアとして現場で活躍したい人が、自身のスキルを証明するための手段として広く知られています。
エンジニアが自身のスキルを証明するだけでなく、これからAWSを学んでいきたいと考えている人が、学習の入口としてAWS認定資格を活用するのもおすすめです。
本記事では、AWS資格の概要やメリット、各資格の特徴や内容など、AWS資格について詳しく解説します。
ITエンジニアにキャリアチェンジする方法
最後に、他業界からITエンジニアにキャリアチェンジするためにおすすめの方法を、2つ紹介します。ITエンジニアが魅力的な職業に感じられた場合は、ぜひ取り組んでみてください。
- 実績を作って転職する
- 副業からフリーランスエンジニアを目指す
それぞれ順番に解説します。
実績を作って転職する
転職活動は、アピールポイントとなる実績を先に作ってから始めると、成功しやすくなります。自身のスキルレベルを提示することで、採用する企業が適性を判断しやすくなるためです。
実績作りの方法の1つとして、OSS活動が挙げられます。OSS活動とは、修正や拡張、再配布が認められているオープンソースソフトウェアの開発や、保守といったプロジェクトに参加することです。
OSS活動は成果物として記録に残るため、転職活動時に利用可能な上、他のエンジニアとつながるきっかけ作りにもなります。ただし、OSS活動は難易度が高いものも多いため、一定のスキルを身につけてから取り組むか、難易度の低いプロジェクトから取り組むのが得策です。
副業からフリーランスエンジニアを目指す
受託開発企業から請負業務として案件をもらったり、案件紹介サービスなどで案件を受注したりして実績を作るのも有効です。実績を積み上げられれば、フリーランスとして独立もできます。
高年収のITエンジニアを目指すのであれば、企業に就職してキャリアアップをするよりも、フリーランスエンジニアとして案件を受注する方が、早く年収を伸ばせる可能性があります。
ただし、いきなりフリーランスとして活動するのは難しいため、まずは現職を続けながら副業として案件を受注してみるというのが現実的です。
働き方改革の一環で、働き方の自由化を進めるべく、政府もフリーランス向けに法整備を検討するなど、新聞でもフリーランスという言葉が目立つようになりました。それに伴いフリーランス人口は1122万人※と前年比で5%増加していて、その内エンジニアの割合は約25%いると言われています。
そこで今回はフリーランスの中でもエンジニアにフォーカスして、フリーランスエンジニアになるためにはどうすればいいのか、どれだけの報酬が貰えるのかなど詳しくご紹介します。
※ランサーズ調べ
まとめ
本記事では、未経験からITエンジニアを目指すにあたって必要なスキルや、おすすめの資格を職種別に紹介しました。
ITエンジニアは高い年収が目指せるうえに将来性もある職業です。一方で、現在はエンジニア職の人材不足から未経験者の採用も進んでいるため、これからITエンジニアを目指す場合には大きなチャンスがあると言えます。
また、時間や場所に縛られない働き方として、フリーランスという選択肢があることも解説しました。フリーランスは、ライフステージや希望に合わせて働き方の可能性が広がります。
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