言語・職種

データサイエンティストとは|仕事内容・必要なスキル・年収を徹底解説!

更新日 2023/11/08

IoTデバイスやITサービスの普及により、ビッグデータと呼ばれる多様で膨大なデータを収集できるようになりました。このビッグデータを企業のマーケティングや商品開発、業務改善などのビジネス活動に貢献させるべく、分析するのがデータサイエンティストです。 今回の記事ではデータサイエンティストの仕事内容や必須スキル、年収を解説したうえで、データサイエンティストになる方法についても紹介します。

目次

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、企業が意思決定の場面において合理的な判断を行えるよう、統計やビッグデータ解析などを用いてサポートする職務です。

データアナリストとの違い

データサイエンティストとデータアナリストは、データを分析し企業活動に貢献するという点では共通しています。しかし、業務領域や必要なスキルは異なります。

業務領域の違い

データアナリストとデータサイエンティストはいずれも、合理的な意思決定をするためのデータ分析・レポートを行うという点では共通しています。

データアナリストはデータの収集や現状分析などを主な業務とするのに対して、データサイエンティストはコンサルタントが行うような、企業課題の抽出やその精査、課題の立案・検証に必要なデータの明確化なども行います。データアナリストの業務範囲に加えて、分析結果を企業のビジネスに反映する部分までの幅広い領域を担当します。

必要なスキルの違い

データアナリストとデータサイエンティストは分析手法が違うため、必要になるスキルも異なります。データアナリストは、SASやExcel・BIツールなどのソフトウェアのスキルが必要になります。

データサイエンティストは、機械学習で分析するため、PythonやR、SQLなどのプログラミングスキル、HadoopやSparkなどのデータ分析基盤の構築スキル、TensorFlowやKeras、Chainerなどの機械学習ライブラリのスキルが必要になります。

データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストの仕事内容は多岐に渡ります。それではデータサイエンティストの仕事内容を具体的に6つ紹介していきます。

  1. 課題の抽出
  2. データ収集・蓄積
  3. データの加工
  4. 分析内容との照合
  5. レポートの作成
  6. 課題解決

1.課題の抽出

データサイエンティストの業務はまず、企業の抱える課題を明確にし、課題に優先順位をつけます。課題を明確にした上で、解決するための仮説を立て、仮説の立証に必要なデータを検討します。

2.データの収集・蓄積

分析元となるデータを収集し、扱いやすい形式で蓄積します。 既にデータがある場合は、HadoopのフレームワークであるHiveやデータベース言語のSQLなどでクエリを書くだけで簡単にデータを操作・取得できます。

しかし、データサイエンティストは、データの収集から行うこともあります。分析元となるデータを業務システムやSNSなどから収集し、JSONなどの取り扱いやすい形式に変換しデータベースに蓄積・格納します。HadoopやMySQL、NoSQLなどのデータベース環境に蓄積を行います。

3.データの加工

収集したばかりのデータにはエラーやノイズ、欠損、表記揺れなどが含まれています。そのため、データサイエンティストはデータを綺麗にするデータクレンジングと呼ばれる前処理を行います。もし、データの前処理なしにそのまま分析してしまうと歪んだ分析結果が得られてしまい、それを基にビジネスの意思決定をしてしまうと損失が出る可能性すらあります。

4.分析内容との照合

収集した膨大なデータ群から、企業の課題解決につながる「意味のあるデータ」を見つけていきます。データを組み合わせたり、統計手法やデータマイニング、データ処理、数理モデルを用いたりして有意なデータ項目を特定します。また、大量のデータを処理するため、負荷がかからないよう配慮したサーバーの設計スキルが求められます。

5.レポートの作成

今までの分析や照合でわかったことを活用して、ビジネス課題の原因をみつけだし、課題を解決する施策を策定しレポートにまとめます。課題解決だけでなく、対策や改善方法の提案も行います。報告の際には、ITの知識がない人にもわかりやすいよう図やグラフを使って伝えることが重要になります。

6.課題解決

データサイエンティストは分析結果をレポートするだけではなく、提案した課題解決の実行まで行うこともあります。

データサイエンティストに必要なスキル

幅広い知識と技術を求められるデータサイエンティストですが、その職に就くためにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。この章では、データサイエンティストに求められるスキルについて、IT・数学・ビジネスの大きく3つに分けて解説をしていきます。

【ITに関する知識】

  1. プログラミングに関する知識
  2. データベースに関する知識
  3. ビッグデータの処理スキル

【数学に関する知識】

  1. 統計に関する知識
  2. データ分析に関する知識
  3. 分析ツールに関する知識

【ビジネスに関する知識】

  1. ビジネスに対する理解
  2. 論理的思考力
  3. プレゼンテーション力

ITに関する知識

データを扱うデータサイエンティストはITに関する深い知識が求められます。ITに関する知識は大きく3つに分けられます。

1.プログラミングに関する知識

データサイエンティストはデータ収集やデータの前処理、データ分析や機械学習でプログラミングが必要になります。言語はデータ分析や機械学習のライブラリが充実している「Python」や「R言語」などの言語がよく使われています。

また、データサイエンティストが扱うデータはデータベースで管理されるため、データベースを操作する際に使われる言語である「SQL」の知識も身に着ける必要があります。

2.データベースに関する知識

データサイエンティストは膨大な量のデータを収集するため、効率よく処理できるデータベースの構築スキルが求められます。効率的に処理できるデータベースを構築していないと、処理に時間がかかってしまうだけでなく、サーバーに大きな負担がかかり、最悪の場合にはサーバーが止まってしまいます。

3.ビッグデータの処理スキル

データサイエンティストはビッグデータと呼ばれる膨大なデータを取り扱います。ビッグデータの収集・蓄積・操作をするためには、ビックデータに適した技術が必要です。ビッグデータに適した技術には、Hadoopを中心としたHBase、Hive、pigなどのオープンソース群が挙げられます。

数学に関する知識

データサイエンティストは機械学習やAIを用いて分析を行うため、数学に関する知識が必要になります。必要になる数学の知識は大きく分けて3つです。

1.統計に関する知識

データ処理を行う際に、統計、微分積分、行列などの数学は頻繁に使われます。データ分析関連の書籍ではこれらの数学が前提で書かれています。データサイエンティストを目指すのであれば、高校で学ぶ数学を一通り復習する必要があります。

2.データ分析に関する知識

データ分析にはさまざまな手法があり、取り扱うデータや求める結果によって、最適な分析手法を選択する必要があります。最適な分析手法を選択することで、煩雑な計算を効率よく処理することができます。そのため、分析に適した統計処理のテクニックやデータマイニングの手法についての知識が必要になります。

得たい分析結果によって最適な分析手法は異なるため、現場で活躍できるデータサイエンティストになるためには多くの分析手法を知ることが重要になります。

3.分析ツールに関する知識

データサイエンティストは大規模なデータを対象にデータを分析するため、ビッグデータ分析に特化したツールを活用します。データ分析で活用されるツールで代用的なツールがBIツールとSPSSです。 BIツールは、経営上のKPIをダッシュボードとして視覚化し、現状をリアルタイムに把握できます。ビジネス上の意思決定の洞察を得る上で有効なツールです。

SPSSは、過去のデータに基づいて、関係性やパターンを明らかにして将来を予想するような分析ができます。モデルを作成して、予想か率を算出してビジネス上の意思決定に役立てます。また、SPSSは、プログラミングを必要とせず、直感的なユーザーインターフェースのため、簡単に統計分析を簡単に実行できるという特徴があります。

ビジネススキル

データサイエンティストはビジネス課題をデータを用いて解決の提案から実行までおこなうため、ビジネスに対する深い知識が求められます。必要になるビジネスに関する知識は大きく分けて3つになります。

1.ビジネスに対する理解

データサイエンティストは、データ分析を通して企業の課題解決をすることが主な業務であるため、分析対象となるビジネスへの深い理解が求められます。ビッグデータをビジネスへどのように活用するか検討するためには、ビジネスの仕組みについて理解しておかなければなりません。データサイエンティストの最大の役割である、「企業の課題解決」を実現するためにもビジネスに関する知識が必要になります。

2.論理的思考力

企業の抱える課題に対して仮説を立て、データ分析を通して課題解決の提案を行うため、論理的な思考力は非常に重要になります。ロジックツリーやMECEといったアプローチを利用しながら論理的に結論を導くことが重要です

3.プレゼンテーション力

データサイエンティストは、企業の意思決定者に対して行うプレゼンテーションやレポートが成果物になります。膨大な量のデータを複雑な計算で分析しているため、分析結果をそのまま羅列するだけでは難解な内容になってしまいます。データサイエンティストは、図やグラフなどを用いてITの知識がない人にもわかりやすく、分析結果と課題解決施策を伝えることが求められます。

データサイエンティストの将来性が高い3つの理由

データサイエンティストの需要は今後も拡大し将来性も高いことが見込まれています。将来性が高い理由としては、次のような理由があります。

  • ビックデータの需要が拡大している
  • 政府が人材教育に力を入れている
  • AIに代替されるリスクが低い

ビッグデータの需要が拡大している

新型コロナウイルスの影響によってインターネットに触れる時間が長くなり、データの流通量は飛躍的に増加しました。総務省の発表によれば、2021年の国内のインターネット通信量は、2019年と比較して2倍に増加しています。 このような中で、蓄積されたビッグデータをビジネスに貢献させようとする動きは増えており、日経クロストレンドの調べによると、データサイエンティストの求人数は右肩上がりで増えてきています。

出典:総務省 我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果
出典:日経クロストレンド

政府が人材教育に力を入れている

2019年に文部科学省は「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」をスタートさせました。この制度は、データサイエンスやAIに関する知識や技能を活用する能力の育成・向上機会の拡大を目的としています。

カリキュラムのモデルは3段階あり、数理・データサイエンスの意義やどのように価値を生み出していくのかといった基礎を学ぶリテラシーレベル、課題を解決するための実践的な能力を育成する応用基礎レベル、自由な研究と海外で挑戦する機会を整え、先端的な人材育成をするエキスパートレベルの3つです。 政府が力を入れて発展を進めているため、将来性は高いと言えます。

AIに代替されるリスクが低い

AIは、大量のデータの集計やデータクレンジングといった業務は得意分野です。しかし、課題設定や分析モデルの選定、業界の慣習を考慮したデータ分析といった業務は人間の手によってチューニングする必要があります。 AIによって業務が簡略化されることはあっても、そのデータに意味を見出すことは人間しかできないため、データサイエンティストの業務がAIに代替される可能性は低いでしょう。

データサイエンティストの年収

年収中央値 最高年収 最低年収
会社員 800万円 2500万円 300万円
フリーランス 1050万円 2400万円 720万円

出典:テックストック 2022年8月時点
出典:テックストックキャリア 2022年8月時点
※フリーランスの年収はテックストックの案件月額単価から算出しております。

テックストックキャリアで取り扱っている会社員のデータサイエンティストの年収の中央値は800万円、最高年収は2500万円、最低年収は300万円です。フリーランスの年収の中央値は1050万円、最高年収は2400万円、最低年収は720万円です。

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」「毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果」、「毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果」などの調査報告書によると、日本国民の年収の中央値は約399万円とされています。データサイエンティストの年収は会社員、フリーランスを比較しても共に、高いことがわかります。

データサイエンティストはどうしたらなれる?

データサイエンティストになるためには、先述の通り、幅広い知識の習得が必要です。ここでは、以下の4つについて解説します。

  1. 育成に特化した大学を卒業して就職する
  2. エンジニアからキャリアチェンジする
  3. マーケターやコンサルタントからキャリアチェンジする
  4. 社内制度などを活用して未経験からキャリアチェンジする

1.育成に特化した大学を卒業して就職する

データサイエンス教育に特化した専門のコースを設置する学校が増えました。
データサイエンスのエキスパート教育が受けられる大学として代表的なのが、滋賀大学のデータサイエンス学部と横浜市立大学のデータサイエンス学部、東京大学の数理・データサイエンス教育プログラムです。

滋賀大学のデータサイエンス学部は、日本で初めて設置されたデータサイエンス学部で、ビッグデータの創造的に活用できる専門家の育成を目指します。横浜市立大学のデータサイエンス学部ではデータが生まれる企業や官公庁といった「現場」での実践的な学びの機会を多く提供しています。東京大学の数理・データサイエンス教育プログラムは一般に公開されている講座で、立場や目的に応じたさまざまなコースを開設しています。

2.エンジニアからキャリアチェンジする

データベースエンジニアやデータマイニングエンジニアなど、データサイエンティストと業務領域が近いエンジニア職で経験を積んでデータサイエンティストへ転職する方法があります。Pythonでのアプリケーション開発経験や、ライブラリを利用した機械学習や深層学習の利用経験の実務がある方は転職で有利になるでしょう。

3.マーケターやコンサルタントからキャリアチェンジする

マーケターやコンサルタントの業務内容は、データサイエンティストの業務と共通する部分があるため、マーケターやコンサルタントから転職することも可能です。マーケターやコンサルタントは企業の課題を洗い出し解決の提案を行うためデータサイエンティストに求められるビジネス力が備わっていることが多いでしょう。

マーケターやコンサルタントからデータサイエンティストへ転職を目指す方は、プログラミングや数学などのエンジニアとしての知識を学ぶ必要があります。

4.社内制度などを活用して未経験からキャリアチェンジする

データサイエンティストは、専門性が高い職種のため、職場や学校に通いながら学習することが難しく、実務経験がないと、転職・フリーランスへの転向が困難であるなど、キャリアチェンジするには非常にハードルが高いです。
社内制度などキャリア支援があればキャリアチェンジできる可能性もありますが、社内制度目的で転職することは難しいです。さらにデータサイエンティストを目指すとしても、即戦力として活躍できる経験と知識が必要になるため、個人の努力が必要となります。

データサイエンティストはつらい?向いている人の特徴

データサイエンティストは、注目を集める職種ではありますが、一方でつらいと言われることもあります。その理由として、プログラミング言語など、専門性の高い知識に加えて、データに向き合う場面での根気や探求心、また人とかかわる場面も多く、コミュニケーションスキルなども必要なためです。その他、分析したことがすぐに成果に繋がるとは限らないため、つらい職種と言われています。

では、上記内容をふまえて、データサイエンティストに向いている方の特徴をご紹介します。

  • 数学が好き
  • 地道な作業をすることが好き
  • ロジカルシンキングが得意

数学が好き

データサイエンティストは微分積分、統計学、最適化計算などの数学を取り扱うため、数学が好きな人に向いている職業です。大量のデータ群から意味のある情報や法則、パターンを数学を用いて導き出すため、データや数字とひたすら向き合うのが好きな人には天職だと言えます。

地道な作業をするのが好き

データベースに保存された膨大なデータから、破損したデータの削除や、表記揺れや重複したデータの修正といったデータクレンジングを行う必要があります。膨大なデータを修正していくため、地道な作業をコツコツこなせる方に向いていると言えます。

ロジカルシンキングが得意

データサイエンティストは、収集した大量のデータから企業の課題解決につながる「意味のあるデータ」を見つけていきます。膨大なデータからデータを組み合わせて法則やパターンを見つけるためには、ロジカルに思考しながら仮説立てて改善に勤める必要があります。

また、仮説立てを行う中での試行錯誤を他者に分かりやすく説明することも仕事です。自分が行っている分析の意義が周囲に伝えることで納得してくれるため、ロジカルシンキングと合わせて伝える力も必要です。

データサイエンティストになるまでのロードマップ

データサイエンティストになりたい場合、手順を踏みながら着実にスキルを積み上げていく必要があります。ここでは、データサイエンティストになるためのロードマップを5つのステップに分けて解説します。

  • STEP1:必要なスキルを習得する
  • STEP2:プログラミングを学ぶ
  • STEP3:データ分析をジッセンする
  • STEP4:ポートフォリオを作成する
  • STEP5:キャリアチャレンジの準備を行う

STEP1:必要なスキルを習得する

まずは、上記で紹介した分析や統計学など数学知識やビジネス知識など、データサイエンティストに必要なスキルを身に着ける必要があります。すでにエンジニアやマーケター・コンサルタントである場合は、現在持っているスキルを一度整理して、足りない知識を埋めていく形で学習を進めます。

STEP2:プログラミングを学ぶ

データ分析において、プログラミングスキルは必須です。プログラミング初心者の方は、「Python」や「SQL」を学ぶことをおすすめします。「Python」は国内外問わず人気の高いプログラミング言語です。機械学習開発やデータ分析、Webサービス開発等ができ、文法もシンプルで理解しやすいため、初心者におすすめの言語です。

「SQL」はデータベースの操作や定義を行うためのデータベース言語です。膨大なデータを集約し、必要なデータのみを抽出するときなどに使われます。データベース管理を効率化する「データベース管理システム」に格納されているデータは、PythonプログラムからSQLを使って取り出すため、Pythonと併せて学ぶ必要があります。

STEP3:データ分析を実践する

基礎を身に着けたら、次は実践です。データ分析は以下の手順で行います。

  1. 課題の決定
  2. 仮説の立案
  3. データの収集
  4. データの可視化・整理
  5. 機械学習モデルの構築・評価

1.課題の決定

最初に、課題を決定します。実務で企業の課題に対応するために、様々な課題に対してのデータ分析方法を学ぶことが大切です。慣れないうちは、学習本やサイトなどに紹介されている課題を参考にすることがおすすめです。

2.仮説の立案

次に、決定した課題を解決する仮説の立案を行います。リサーチを行うなどして、考えられる仮説に優先順位をつけて、課題解決の可能性が高いものを選びます。

3.データの収集

決定した課題や仮説をもとに、必要なデータを収集します。様々な角度から分析を行うため、偏りがないように幅広くデータを収集する必要があります。

課題解決のために自ら集めたデータを「一次データ」と呼び、自分以外の企業や専門機関が集めたデータを「二次データ」と呼びます。二次データは一次データだけでは、データが足りない場合に必要とすることがあります。ただし、データの公開内容が信頼できるかやデータが正しいかを確認する必要があります。

4.データの可視化・整理

収集したデータは、そのままでは効果的に分析ができないため、可視化・整理を行います。表やグラフなどを用いてデータの特徴や傾向を可視化・整理することで、課題と関連性の高いデータを明確にします。

5.機械学習モデルの構築・評価

最終的に、機械学習モデルに評価用のデータを与え、期待する結果を導いてくれるか確認します。機械学習モデルとは、あるデータをもとにコンピューターが分析を行い、入力データに対しての結果を返すプログラムです。

機械学習モデルの構築において、Pythonなどのプログラミング言語の使用が必要になります。機械学習モデルが期待通りに動くかを確かめるためのテスト・評価などを行い、最適化する必要があります。

STEP4:ポートフォリオを作成する

実践スキルを身に付けたら、ポートフォリオの作成を行います。ポートフォリオとは、企業に自身のスキルなどをアピールするものであり、良質な物を作ることができれば、転職成功につながります。主に機械学習モデル、Webサービス、分析レポートといったポートフォリオがデータサイエンティストの転職に役立ちます。

STEP5:キャリアチェンジの準備を行う

最後に、キャリアチェンジに向けた準備を行います。まずは、求人探しです。データサイエンティストの求人を探す場合は、IT業界に強い求人サイト・転職エージェント・クラウドソーシングサイトを使い探します。

そして、職務経歴書を作成し、面接対策を行います。特に初心者の場合は、簡単に内定をもらうことは難しいため、選考対策をしっかりと行う必要があります。

データサイエンティストに役立つ資格

資格を持っていなくても、データサイエンティストとして働くことは可能です。しかし、資格を取得すれば知識やスキルの証明になるため、就職やキャリアアップの際に有利になることが期待されます。また、資格学習を通して知識を体系的に身につけることができます。 最後に、データサイエンティストとして働く上で役に立つ資格をいくつかご紹介します

統計検定

統計検定

統計検定は、統計学に関する知識やスキルを認定するための試験です。統計検定は、習熟度に応じて4級から準1級、1級までの5段階のレベルに分かれており、1級のみ「統計数理」と「統計応用」の2つの試験に分かれています。

2級は大学1・2年次に学ぶ基礎科目レベルの統計学的知識とその活用力が試される試験です。準1級に合格すれば、大学で学ぶ統計学の応用的な統計学の手法を身に付けていることを証明することができます。

  • 出題形式:準一級までは4-5の選択肢問題、全30問程度(準一級のみ数値入力問題あり)。1級は論述形式。
  • 試験時間:90分(3級以下は60分)
  • 試験料:一般価格 7,000円
        学割価格 5,000円
    ※2級の金額。級により金額差あり。
  • 受験環境:試験会場
  • 合格水準:100点満点中60点以上(準1級・2級の場合)

情報処理技術者試験・データベーススペシャリスト試験

情報処理技術者試験・データベーススペシャリスト試験

情報処理技術者試験は、経済産業省が認定する国家試験であり、データベースやネットワーク、ITマネジメントなど、情報処理の分野ごとに特化した試験群の総称です。情報処理技術者試験の中でも、データベーススペシャリスト試験は、ビッグデータを管理し、効率的なデータベースシステムを構築してビジネスを支える分析基盤を提供する能力を証明できる資格試験です。

  • 出題形式:午前 I 試験 多肢選択式(四肢択一)※共通問題
         午前 II 試験 多肢選択式(四肢択一)
         午後 I 試験 記述式
         午後 II 試験 記述式
  • 試験時間:午前 I 試験 09:30-10:20(50分)
         午前 II 試験 10:50-11:30(40分)
         午後 I 試験 12:30-14:00(90分)
         午後 II 試験 14:30-16:30(120分)
  • 試験料:7,500円
  • 受験環境:試験会場
  • 合格水準:各60点以上/各100点満点

G検定・E資格

G検定・E資格

G検定・E資格は日本ディープラーニング協会が実施している試験で、ディープラーニングについての知識やスキルを認定するための試験です。G検定はディープラーニングを事業活用するための基礎知識が問われる、ジェネラリスト向けの試験です。データサイエンスについての幅広い知識を身につけたい方におすすめの資格です。

E資格はディープラーニングの理論を理解し、実装する能力を図るエンジニア向けの試験です。技術分野をより深く学習するため、AIシステムの開発に携わりたいエンジニアの方におすすめの資格です。

【G検定】

  • 出題形式:多肢選択式・220問程度
  • 試験時間:120分
  • 試験料:一般 13,200円(税込)
        学生 5,500円(税込)
  • 受験環境:オンライン
  • 合格水準:非公開

【E資格】

  • 出題形式:多肢選択式・100問程度
  • 試験時間:120分
  • 試験料:一般 33,000円(税込)
        学生 22,000円(税込)
        会員 27,500円(税込)
  • 受験環境:各地の指定試験会場
  • 合格水準:非公開

統計士・データ解析士

統計士・データ解析士は一般財団法人実務教育研究所が実施している試験で、それぞれ統計・データ解析(多変量解析)についての知識や技能を確認するための資格です。

統計士の資格は、『現代統計実務講座』の通信講座で、受講を修了し「報告課題」と「終末試験」の成績が在籍期間内に合格ラインに達することで交付されます。また、現代統計実務講座では、高校数学レベルの知識を用いて仕事に応用できる、実践的な統計力を身につけることができるため、初心者の方におすすめの資格です。

データ解析士は、「多変量解析実務講座」の通信講座を修了し、データ解析士の認定試験(主催:財団法人実務教育研究所)に合格するとデータ解析士の資格が交付されます。
統計士の資格は、ExcelやExcel VBAを用いたデータ解析を学べるので、実践で使える分析力を付けることができます。

【統計士(現代統計実務講座)】

  • 入学金:5,000円(税込)
  • 受講料:54,800円(税込)

【データ解析士(多変量解析実務講座)】

  • 入学金:5,000円(税込)
  • 受講料:49,500円(税込)

ORACLE MASTER DBA(オラクルマスター)

Oraclemaster

ORACLE MASTER(オラクルマスター)は米国のオラクル社が実施している試験です。データベースの構築、運用、管理、SQLによるデータの抽出などを学べる試験になっています。
オラクルマスターは国際的に認められた資格試験であるため、国内外でデータベース運用者として活躍したい方におすすめの資格です。

オラクルマスターは「ORACLE MASTER Bronze DBA 」「ORACLE MASTER Silver DBA」「ORACLE MASTER Silver SQL」「ORACLE MASTER Gold SQL」「ORACLE MASTER Platinum DBA」の5つのレベルがあります。

認定資格名 条件 証明するスキル 難易度
ORACLE MASTER Bronze DBA なし DBの基礎知識 レベル1
ORACLE MASTER Silver DBA なし 日常の運用管理・本的なSQL レベル2
ORACLE MASTER Silver SQL なし 日常の運用管理

基本的なSQL

レベル2
ORACLE MASTER Gold SQL silverDBAの取得 マルチテナント管理

バックアップ・リカバリインストール

18c、19c新機能

レベル3
ORACLE MASTER Platinum DBA 未定 高可能性

セキュリティ

性能管理

レベル4

新資格体系移行により、受験条件の緩和や出題範囲の変更があります。詳細な情報は公式サイトで確認してください。

まとめ

今回は、データサイエンティストとはどんな仕事なのか、仕事内容・必要なスキル・年収・役立つ資格まで解説してきました。 データサイエンティストは、統計やビッグデータ解析などを用いて、企業が合理的な判断を行えるように意思決定をサポートする役割があります。

具体的には、課題の抽出、データの収集・蓄積、データの加工、分析内容との照合、レポートの作成、課題解決の実行といった業務を行います。ビッグデータをビジネスに活かす企業が増えてきており、データサイエンティストの需要はますます高まっていくことが予想されています。

そのため、データサイエンティストの将来性は高いと言えます。 この機会に是非データサイエンティストを目指してみてください。

関連する記事

おすすめの記事

言語・職種
【React(リアクト)とは?】学ぶメリットやできることを詳説

Reactは、ユーザーインターフェースを構築するためのJavaScriptライブラリのひとつです。Reactのニーズが高まっている背景にはSPA(Single Page Application)の普及があります。本記事では、JavaScriptを学んだ初心者エンジニアに向けて、わかりやすくReactの概要や特徴、Reactを使用した開発事例、Reactを習得するメリット・デメリット、環境構築法などを解説します。

\JavaScript案件多数!/

言語・職種
Webエンジニアの平均年収は?年収UPのためのキャリアパスも紹介

これからWebエンジニアを目指したいと考えている人にとっては、まず年収が気になるポイントではないでしょうか。結論から言うと、Webエンジニアの平均年収は全業種の平均年収と比較すると高めの水準となっています。ただし、年代や働き方などさまざまな要因で平均年収は変わってくるため、全体の平均だけでなくさまざまな角度から確認しておくことが大切です。

この記事では、Webエンジニアの平均年収を年代・働き方・職種・企業規模の4つに分けてご紹介します。最後にWebエンジニアが年収を上げる方法も解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

\今より年収をあげたいあなたへ/