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iOSエンジニアの年収とは?仕事内容や必要なスキルなども紹介

更新日 2023/12/21

2023年10月時点、日本国内ではiPhone、iPadシリーズは非常に人気が高く、搭載されているiOSは日本国内のモバイルOS市場で圧倒的なシェアを占めています。この製品の人気を背景に、iOSエンジニアには安定した需要があり、今後も有望な分野といえるでしょう。

中には、iOSエンジニアのスキルを身につけ、転職をしようと考えている方もいることでしょう。ここでは、iOSエンジニアの年収相場(案件、平均年収など)、iOSエンジニアの年収アップに必要なスキルや知識、仕事内容などについて紹介します。

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iOSエンジニアとは

iOSエンジニアとは、iOS上で動作するアプリケーションの開発、運用などに携わるエンジニア職種です。Apple社のモバイルOS「iOS」上で動作するアプリケーションを専門的に扱います。

iOS上で動作するアプリケーションの種類には、ネイティブアプリとハイブリッドアプリがあります。ネイティブアプリとは、ダウンロードおよびインストールしてiOS上で動作するアプリを指します。

ハイブリッドアプリはネイティブアプリの一つであり、インターネットを介してWebでの通信を行う機能を持っています。iOSエンジニアという職種に公式の定義はありませんが、一般的にはネイティブアプリやハイブリッドアプリの中のiOS上で動作する範囲に携わるエンジニアを指しています。

そもそもiOSとは

iOSはApple社が開発したモバイル用のOS(オペレーティングシステム)です。Apple社の製品であるiPhoneシリーズに搭載されています。過去には、iPadシリーズ、iPodシリーズにも搭載されていました。

iOSの大きな特徴として、Apple社製品であるiPhoneとの親和性の高さがあります。iOSもApple社によって製造されており、ハードウェアの機能を最大限に引き出せるように開発されています。

また、Apple社はアプリの一般ダウンロード経路をApp Storeのみに制限しており、App Storeへの登録にはApple社の審査を通過する必要があります。一方、AndroidはGoogle Playだけでなく、複数のアプリストアがあります。審査基準はアプリストアごとに異なる上、APKファイルの直接配布も可能です。

配布の仕組みの違いなどから、iOSはAndroidに比べて不正アプリ流入を抑制しやすい仕組みとなっています。

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iOSエンジニアの仕事とは?将来性や年収、求められるスキルを解説

iOSエンジニアは、Apple社が開発したiOSで動作するシステムやアプリを作るエンジニアです。同社の製品として広く認知されているiPhoneは、そのブランド力や開発力などから、国内外を問わず根強い人気があります。

本記事では、iOSエンジニアの仕事内容をはじめとして、年収や将来性、求められるスキルなどについて解説します。

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iOSとApple社のその他のモバイルOS

2023年11月時点でiPhone向けのOS「iOS」の最新バージョンは17.1.1、iPad向けのOS「iPadOS」の最新バージョンは17.1です。 iOS12まではiPhoneとiPadともにiOSを採用していましたが、2019年9月のiOS 13.1リリース時にiPad用にiPadOS13がリリースされ、以降は別々にバージョンアップしています。

同様にiOSに関連するOSとして、Apple Watch用のwatchOS、Apple TV用のtvOSなどがあり、今後もApple社の新製品とともに新OSが登場する可能性があります。なお、本稿にて記載するiOSエンジニアは、iOSおよびiPadOS向けのアプリ開発を対象とするエンジニアです。

iOSエンジニアの業務内容

iOSエンジニアの主な仕事は、iOSアプリの要件定義、設計、開発と運用保守です。他のITエンジニア職種と同様に作業工程が分かれており、担当する範囲はプロジェクトの状況やエンジニアのスキルによって異なります。

iOSアプリケーションの開発

クライアントの要望に沿ったiOSアプリの開発を行います。自社でアプリやWebサービスを提供している企業の場合は、社内のプロダクトチームや事業部の戦略や方針に沿ってアプリ開発を実施します。

アプリで実現したいことを定める要件定義、アプリの構造や具体的な実装方法を定める設計、プログラムの作成を行う開発(プログラミング)、プログラムの動作を確認するテストといった各工程が存在します。一般的には、要件定義や設計などの上流工程はスキルが高く、経験豊富なエンジニアが担当する傾向です。

担当の範囲としては、iOS向けのネイティブアプリおよびハイブリッドアプリのネイティブ部分の開発が主な担当範囲となります。

iOSアプリケーションを使ったサービスの運用保守

iOSアプリを利用したサービスの提供を行っている場合、サービスイン後も運用保守として継続的な改善とリリースのサイクルを続けます。特にサブスクリプション契約のビジネスモデルに向けたiOSアプリに携わる場合には、エンドユーザーのニーズに沿って継続的なリリースが必要です。

また、iOSアプリにより各種のサービスを提供している場合には、サービスの運用業務に携わることもあります。iOSアプリ上でコンテンツを展開している場合には、コンテンツのiOSアプリ上での配信などが必要です。

他にもiOSやiPhoneのバージョンアップへの対応や不具合の解消など、一般的なアプリケーションと同様に保守業務を行う場合もあります。

iOSエンジニアの年収相場

フリーランスエンジニアの案件紹介サイトTECK STOCKにて、キーワード「iOS」が該当する案件よりiOSエンジニアの予想年収を算出しました。月収72万円の場合、月額の報酬を年収に換算すると平均年収は870万円となります。(2023年12月12日時点)

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、ITエンジニアが含まれる職種の平均年収は「システムコンサルタント・設計者」約660万円、「ソフトウェア作成者」約550万円、「その他の情報処理・通信技術者」約535万円となっており、これらと比較してもiOSエンジニアは高い年収が期待できる職種といえます。

iOSエンジニアの求人・案件の動向

TECK STOCKの「iOS」の業務内容はアプリ開発およびアプリ開発支援が多く、運用・保守の案件も存在しています。案件の開発対象のアプリケーションは大きく下記の3種類に分類できます。

  • iOS向けのネイティブアプリ
  • iOS/Android向けのネイティブアプリ
  • iOS/Android向けのネイティブアプリおよびWebアプリ

※ネイティブアプリおよびハイブリッドアプリを含む

「iOS/Android向けのネイティブアプリ」においては、iOS向けのアプリ開発技術に加え、Android向けのスキルやマルチプラットフォーム向けの開発スキルを持っている場合には案件は比較的探しやすくなるといえます。

また単に開発者としてのポジションだけでなく、上流工程の業務経験、3年以上のiOSアプリ開発の実務経験、テックリードやプロジェクトマネージャなどのポジションの経験がある場合は高い評価につながり、年収も高めの傾向が見られます。

iOSエンジニアが業務で扱う言語とツール

iOSエンジニアが業務上で扱う言語とツールは大きく2つに分けられます。一つはiOSを提供するApple社の開発した言語(Swift、Objective-C)と開発環境(Xcode)、もう一方はクロスプラットフォーム向けの言語と開発環境(JavaScriptとReactNative、FlutterとDartなど)です。

Swift

SwiftはApple社が開発したプログラミング言語です。オープンソース(※1)で無料で利用できるよう提供されています。iOS、macOS、watchOS、tvOS、Linux向けのアプリケーション開発がサポートされています。

2014年のリリース以降、それまでiOS向けでは中心だったObjective-Cに置き換わり、iOS向けのネイティブアプリ開発の主要言語となっています。Apple社により強くサポートされており、Swift Playgroundsが提供されるなど、学習しやすい環境が整えられていることも特徴の一つです。

(※1)プログラム言語を用いて人間が読み書き可能な形式で記述したテキスト(=ソースコード)を利用用途問わず無償で一般公開するさま

Objective-C

Objective-Cは、Brad Coxらによって開発されたプログラミング言語です。C言語をベースにオブジェクト指向を取り入れて開発されており、その後、Apple社が権利を取得しました。iPhoneやiPad向けのネイティブアプリ作成が主な用途です。

2014年にApple社がSwiftをリリースし、2023年11月時点ではSwiftが主流となっているため、Objective-Cが新規開発のプログラミング言語として選択されることはあまりないでしょう。とはいえ、改修やリプレースでは、Objective-Cのソースコードを扱う機会が発生するため、iOSエンジニアの身につけておきたいプログラミング言語となります。

Xcode

Xcodeは、Apple社の提供する統合開発環境です。iOSを含むすべてのAppleプラットフォーム向けにアプリを開発、テスト、配信できます。SwiftやObjective-Cでの開発では必須の環境で、利用にはmacOS搭載機が必要です。iOSアプリ向けのテストやApp Storeへの配信にも利用します。

2023年11月時点での最新のバージョンはXcode15です。

JavaScriptとReactNative

JavaScriptはWebブラウザ上で動作させる目的で開発されたプログラミング言語であるとともに、開発者が最も多い人気のある言語です。JavaScriptのWebアプリケーション向けフレームワークにFacebook(現Meta)社の開発したReactがあります。

ReactNativeとは、Reactを組み合わせたマルチプラットフォーム向けのフレームワークおよび開発環境です。iOSやAndroidなどで動作するネイティブアプリをJavaScriptで作成することができます。

FlutterとDart

FlutterはGoogle社によって開発されたアプリ開発のためのソフトウェア開発環境(SDK)です。iOS、Androidに加えWindowsアプリなどのUI開発が可能なマルチプラットフォーム向けの開発環境として利用できます。

Flutter上でアプリケーションを作成する場合には、Dartというプログラミング言語を用います。DartもGoogle社によって開発されたプログラミング言語で、クライアントサイドの開発に最適化されており、フリーかつオープンソースで無料で利用が可能です。

iOSエンジニアに求められる言語習得以外のスキルと知識

前項であげたプログラミング言語と統合開発環境以外にも、iOSエンジニアにはiOSアプリやAppleに関連するスキルや知識が求められます。

iOSアプリ開発向けライブラリの知識

iOSアプリ開発において設計やプログラミングをスムーズにするための方法として、ライブラリの活用が挙げられます。すでに作成され、品質も確保されているライブラリを活用することで、ソフトウェア開発の効率・生産性・品質を向上させることが可能です。

Swiftで最も基本となるのはSwiftの標準ライブラリです。それ以外にも、有名なライブラリの一部として下記があげられます。

  • Combine:イベント処理を組み合わせ、非同期処理を実現するApple純正のフレームワーク
  • RxSwift:リアクティブプログラミングをサポートするライブラリ
  • Realm Swift:Swift上で利用できるデータベースを提供するライブラリ
  • lottie-ios:iOS上でのアニメーション表示のためのライブラリ
  • Alamofire:HTTPネットワーク関連のライブラリ

iOSアプリのデザインパターン、アーキテクチャ

プログラムの品質や効率向上のための方法の一つとして、既存のデザインパターンやアーキテクチャを利用することがあります。これまでに開発されてきた優れたアプリから代表的なパターンを学ぶことで、高品質なプログラム構造を組み立てることが可能です。

iOSアプリの開発で利用されるデザインパターン、アーキテクチャの代表例には、下記が存在します。

  • MVC:Model-View-Controller
  • MVVM:Model-View-ViewModel
  • Flux:Facebook(現Metaa)社によって提唱されたUIアーキテクチャ
  • Clean Architecture:ロバート・C・マーチン氏によりより提唱されるアーキテクチャ
  • RIBs:Uberが開発した、木構造(=ツリー構造)を用い、OSアプリを構築するアーキテクチャ

App Storeへのリリース方法

iOSアプリを作成したら、その後はユーザーが利用するためにApp Storeから配信を行う必要があります。iOSエンジニアには、プログラムコードからモジュールをコンパイル(※2)し、リリースまでを担当することが多いため、App Storeで配信するための仕組みや手続き、Appleによる制限などを知ることが求められます。

(※2)人間が作成したソースコードを機械が読み取れる形に変換すること

Apple社の最新情報への精通

iOSエンジニアの仕事内容や需要などは、Apple社のiOSや製品に関する仕様に大きく依存します。新たな製品や機能の追加への対応、サポート状況の変化など、Apple社の動向に注目し、いち早く対応することが求められます。

iOSエンジニアが年収アップするための方法

iOSエンジニアが現在の職場での年収アップや転職による年収アップをするためには、スキルの向上が不可欠です。年収アップに向けて必要となるスキル向上とそれを示すための方法について紹介します。

言語習得、ツールへの習熟

本稿で紹介しているiOSやマルチプラットフォーム向けのプログラミング言語の習得と習熟によりスキル向上が図れます。また一つのプログラミング言語に習熟した場合には、さらに複数の言語や環境に対応できるスキルの習得を目指します。利用できる言語や環境が増えることにより活躍の場を増やし、評価を高めることが可能です。

マルチプラットフォームへの対応

iOSエンジニアとしてSwiftやObjective-Cでのアプリ開発に携わっているエンジニアの場合、各言語やツールへの習熟に加えマルチプラットフォーム(クロスプラットフォーム)での開発に対応できるスキルの習得が年収アップにつながります。マルチプラットフォームに対応できれば、より広くモバイルアプリ開発者として活躍できる土台となるためです。

React Native、Flutter、Xamalinなどのマルチプラットフォーム対応の開発環境と言語の習得が一つの方法です。また、Androidアプリに特化したKotlinやJavaの習得も選択肢となります。

資格の取得

iOSアプリの開発スキルを示す方法として、資格を取得することも手段の一つです。

Swiftに関する専門的な資格試験には、Apple社の認定資格App Development with Swiftがあります。日本では    株式会社オデッセイ コミュニケーションズが試験を運営しており、国内から受験することが可能です。ただし、提供されている試験は2023年11月時点で英語版のみとなります。

また、一般的にアプリケーション開発者としてのスキルを示せる資格では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施し、経済産業省の認定する国家資格「情報処理技術者試験」が有名です。応用レベルのソフトウェア開発者向け資格「応用技術者試験」などを取得していると、転職や案件へのアサイン時に有効です。

ポートフォリオの作成

転職や案件へのアサイン時にiOSアプリ開発におけるスキルを明確に示す方法として、ポートフォリオとなるアプリケーションを作成や提示することも選択肢の一つです。iOSエンジニアの場合には、iOSアプリを作成し、App StoreやGithubで公開することでポートフォリオの作成から提示までが実現できます。

マネジメントの経験

エンジニアとして責任範囲を広げることも年収アップにつながります。開発やテスト、運用保守担当から、より影響範囲の大きくなる要件定義や設計などの上流工程へ業務範囲を広げることで年収の向上がはかれます。

また、上流工程の業務に携わるとともに、複数人の作業を責任範囲とするマネジメント業務の経験を積むことも年収向上につながります。マネジメント業務では、成果に向けてコミュニケーションを取ってチームをまとめることや、スケジュールやコストの管理を行います。プロジェクトを円滑に進めることのできるマネジメントの経験・スキルは、iOSエンジニアにとっても価値を高めるものです。

iOSエンジニアの将来性

iOSは日本国内で高いシェアを占めています。StatCounterによる日本国内のモバイルOS市場のシェアでは、2023年10月時点でiOSが約70%、Androidが約30%という圧倒的な数字を残しています。

また、MMD総研による調査では、2022年10月の日本国内の都市部で利用されているメインのスマートフォンのOSが、iPhoneとAndroidが約50%ずつと半々のシェアとなっています。

2つの調査結果では、数値に差異はあるものの、日本国内でiOSのiPhoneが大きなシェアを占めていることは間違いありません。ユーザーが多数存在することから、今後もiOS向けのアプリ開発に高い需要が見込め、iOSエンジニアの将来性は高いといえるでしょう。

さらには、本稿の「iOSエンジニアの年収相場」でも記載した通り、他のエンジニア職種と比較してもiOSエンジニアは高年収が見込まれる職種でもあります。

ただし、懸念点としては、iOSエンジニアの将来性についてはApple社の方針に大きく影響することが挙げられます。Apple社の方針の変更がなければ、今後もモバイルOSとしてiOSを利用する流れが続くでしょう。

まとめ

iOSエンジニアはiPhoneやiPad向けのiOSで動作するアプリに携わるエンジニアのことです。日本国内におけるiPhoneやiPadの普及を背景として活躍の場があるため、今後も将来性が高いことが予測されます。

iOSエンジニアの必須スキルは、iOSアプリ開発に向けたプログラミング言語および開発環境の利用スキルです。マルチプラットフォームに対応したスキルを習得することで、仕事の選択肢を広げることが可能です。

年収アップを目指す場合には、スキルの向上や資格の取得、ポートフォリオによるスキルの提示などに取り組みましょう。

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