ノマドとは?フリーランスとの違いやメリット・デメリットを紹介
働き方改革(※)の推進により、ノマドワーカーとしての働き方が注目を集めています。ノマドワーカーは時間や場所にとらわれない働き方ができるのがメリットです。しかし、同時にデメリットも抱えています。
本記事では、「ノマド」と「フリーランス」の違いについての疑問や、ノマドワーカーのメリット・デメリットなどを解説します。さらに、ノマドワーカーになるために必要な準備や案件探しにおすすめのサイトなども併せて解説しますので、ぜひご覧ください。
ノマドとは
「ノマド」とは、フランス語の「nomade」を語源としており、遊牧民や放浪者という意味です。転じて、遊牧民や放浪者のように自由なワークスタイルで仕事をしている人を「ノマドワーカー」と呼びます。
現代では、IT技術の進歩によりIT環境が整備され、パソコンとインターネット環境さえあれば、場所や時間にとらわれない働き方が可能です。
働き方改革の推進も相まって生活スタイルも多様化しており、ノマドワーカーのようなワークスタイルも注目を集めています。
ノマドワーカーとフリーランスの違い
どちらも似た意味を持つ単語ですが、ノマドワーカーはワークスタイルを指す単語であり、フリーランスは雇用形態を指す単語です。
それぞれの違いは次の表をご覧ください。
項目 | ノマドワーカー | フリーランス |
雇用形態 | 会社員 or 個人事業主 | 個人事業主 |
働く場所 | 時間や場所にとらわれない | 時間や場所が指定される場合もある |
仕事の受け方 | 会社から受ける or 自分で探す | 自分で探す |
単語が示す範囲 | ワークスタイルを指す | 雇用形態を指す |
会社員であっても、会社が就業時の場所や時間を指定していなければノマドワーカーとして働くことは可能です。
ノマドワークとリモートワークの違い
ワークスタイルを指す言葉に「リモートワーク」があります。リモートワーク(テレワーク)の基本的な定義は、オフィス以外の場所から遠隔で働くことです。
ただしノマドワークとは異なり、リモートワークでは場所の規定があるケースもあります。また、リモートワークの定義では、時間の規定がある場合も含みます。
つまり、働く場所と時間が指定される可能性がある点が、リモートワークとノマドワークとの違いです。
ノマドワーカーのメリット
ノマドワーカーとして働く場合のメリットは以下です。
- 働く場所を自由に選択できる
- 時間にとらわれない働き方ができる
- 人間関係のストレスを軽減できる
各メリットを詳しく解説します。
働く場所を自由に選択できる
ノマドワーカーは、基本的にパソコンとインターネット環境さえあれば、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど好きな場所で仕事ができます。
業務を確実に遂行できるのであれば、旅館の中でも、海外でも自由に働くことが可能です。自分の好きな場所で仕事ができることは、仕事のモチベーション維持にもつながります。
仮に配偶者の急な転勤や引っ越しがあっても、仕事に支障をきたさず業務を続けられるのは大きなメリットです。
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時間にとらわれない働き方ができる
ノマドワーカーは業務に支障をきたさなければ、働く時間を自由に選択できます。特にフリーランスのノマドワーカーであれば、自分のライフスタイルに合わせて働くことが可能です。
ただし、フリーランスのノマドワーカーが受注する仕事の多くは、納期が定められているため、納期を必ず守る必要があります。
人間関係のストレスを軽減できる
ノマドワークは、人間関係のストレスを軽減しやすいこともメリットです。上司や同僚との対面の機会が少ないため、人間関係の悩みに直面しにくくなります。
特にフリーランスのノマドワーカーは、社内の関係構築や飲み会などのイベント参加が強制されることは少なくなります。人間関係よりも仕事に集中しやすい働き方といえるでしょう。
しかし、業務を遂行する上で必ず人との関わり合いがあるため、丁寧なコミュニケーションは大切です。
ノマドワーカーのデメリット
ノマドワーカーには、把握しておくべきデメリットも存在します。
- セキュリティに注意する必要がある
- 事務作業を自分で行う必要がある
- 自己管理を徹底する必要がある
- フリーランスは収入が安定しない場合がある
- 社会的信用度が低い可能性がある
各デメリットを詳しく解説します。
セキュリティに注意する必要がある
ノマドワーカーはセキュリティに細心の注意を払う必要があります。パソコンにウイルス対策ソフトを導入するだけでなく、接続するインターネット回線にも注意が必要です。
多くのカフェやコワーキングスペースでは、フリーWi-Fiが使用可能ですが、ウイルス感染や情報漏えいの危険性が高まります。それだけでなく、パソコン本体の盗難リスクや画面を盗み見られるリスクもあり、パソコン本体の扱い方にも注意が必要です。
しっかりとしたセキュリティ対策を講じておかなければ、クライアントに被害が及ぶ可能性があることを忘れてはいけません。
自分専用のモバイルWi-FiルーターやVPN接続、携帯電話のテザリング機能を活用するなど、セキュリティ対策は万全にしておきましょう。
事務作業を自分で行う必要がある
特にフリーランスのノマドワーカーの場合、各種事務手続きを自分で行う必要があります。
会社に属している場合は、確定申告や健康保険に関する手続きを会社が代行するため、自分で行う必要はほとんどありません。しかし、確定申告に関しては、会社員であっても副業で1年間に20万円以上の収入を得ている場合(※)は、自分で申告する必要があります。
自分で各種事務手続きを行うと、その手続きに要した時間だけ稼働可能な時間が減ってしまいます。各種手続きを代行してくれるサービスを利用する方法もありますが、費用が発生します。
自己管理を徹底する必要がある
ノマドワークでは私生活と仕事の切り替えが曖昧になりやすいため、時間や目標の管理がおろそかになりがちです。そのため、自己管理を徹底する必要があります。
スケジュール管理だけでなく、資金管理、スキルアップのための学習や体調管理など、仕事以外でもさまざまなことを管理し続けなければなりません。
自己管理ができていないと、クライアントや上司からの信頼を失うことになります。場所や時間が自由に選べる分、日ごろから自分を律する必要があることを忘れてはいけません。
フリーランスは収入が安定しない場合がある
フリーランスのノマドワーカーであれば、収入が不安定になることも考慮しておかなければなりません。
会社員であれば解雇されない限り、毎月一定額の収入が保証されています。しかしフリーランスのノマドワーカーの場合、毎月の収入は保証されません。自分から仕事を受注しなければ収入は増えず、確実に受注できる確証もありません。
収入が安定していないにも関わらず、カフェやコワーキングスペースで仕事を続けていると、資金は減り続けてしまいます。
社会的信用度が低い可能性がある
フリーランスのノマドワーカーは、社会的信用度が低い傾向にあります。
ローン申請や賃貸契約、新規クレジットカード発行などの審査時に、フリーランスは継続的に仕事を受注できる確証がなく、安定した収入を得られない可能性があると判断されがちです。そのため、ローンや契約などの審査が通りにくくなります。
現在会社員として働いているのであれば、フリーランスに転向する前に各種申請を終わらせておくことをおすすめします。
ノマドワーカーに向いている人と向いていない人の特徴
ノマドワーカーに向いている人と向いていない人の特徴を紹介します。
【ノマドワーカーに向いている人】
- しっかりと自己管理できる人
- 課題に対して素直に対応できる人
【ノマドワーカーに向いていない人】
- スケジュール管理が苦手な人
- 営業が苦手な人
ノマドワーカーに向いている人の特徴
次の特徴を持つ人は、ノマドワーカーに向いています。
- しっかりと自己管理できる人
- 課題に対して素直に対応できる人
公私ともに自己管理を徹底し、仕事とプライベートを明確に分けられる人はノマドワーカーに向いています。自分を律することができれば、納期を守りつつ、仕事のパフォーマンスを維持することが可能です。
ノマドワーカーはクライアントのさまざまな要望に応える必要があります。急な変更や課題を提示された際に、素直に指示を受け入れ、迅速な対応を行えるのが大切です。そのため、提案や指摘に対して素直に対応できる人はノマドワーカーに向いています。
ノマドワーカーに向いていない人の特徴
次の特徴を持つ人は、ノマドワーカーには向いていない可能性があります。
- スケジュール管理が苦手な人
- 営業が苦手な人
ノマドワーカーは仕事の進捗を自分で管理しなければなりません。案件ごとの納期を確実に守ることが非常に重要です。納期を守ることは、顧客からの信頼を得るだけでなく、次回の案件獲得にもつながります。
フリーランスのノマドワーカーは、自分で案件を取りに行く必要があります。営業スキルがないと、案件獲得のチャンスが減り、収入が途切れる可能性もあります。毎月安定した収入が保証されるわけではないため、安定した収入を求める人にはノマドワーカーは向いていないといえます。
ノマドワークに向いている職種
ここからは、ノマドワークに向いている職種を3つ紹介します。紹介する職種は、原則PCさえあれば業務が可能な職種です。
- Webエンジニア
- Webデザイナー
- Webライター
Webエンジニア
Webエンジニアは、WebサイトやWebサービスの設計や開発、運用を行うエンジニアです。Webエンジニアがノマドに向いている理由は、Web上での作業のみで完結する業務が多いためです。
DX化の推進やIT市場拡大を背景にWebエンジニアの需要は高く(※1)、案件の種類も豊富です。中長期の案件や高単価の案件もあり、月額50万円以上の報酬(※2)を目指すことも可能です。
高収入のノマドワーカーとしてステップアップするには、難易度の高い案件にも対応できるようスキルを習得し続けることが重要です。
※参考1:IT人材需給に関する調査
※参考2:TECH STOCK(サイト内に掲載されているフルリモートのエンジニア案件)
TECH STOCKはフリーランス・ITエンジニアのための案件紹介サイトです
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトのデザインやバナー、サムネイル制作などを行う職種です。Webサイトのデザインでは、クライアントからのヒアリングから始まり、UI設計、コーディング、プログラミングなど、完成までに多くの工程が必要です。
また、多くの企業が自社のオウンドメディアやSNSアカウント、YouTubeチャンネルを運営するようになったことを背景に、Webデザイナーの案件は画像のみの作成などデザイン関連の仕事も増加しています。
Webデザイナーもインターネットとパソコンさえあればできる仕事が多いことから、ノマドに向いているといえます。
案件の種類が豊富で、報酬も数千円から10万円以上までさまざまです。Webエンジニアと比較すると、ボリュームの小さい短期案件も多く、未経験からでも獲得しやすい案件が数多くあります。
高単価の案件を獲得するために、学習を継続しつつ短納期の案件を数多くこなしていくことが大切です。
企業のコーポレートサイトやECサイトなど、インターネット上にはさまざまなWebサイトがあります。それらのWebサイトのデザインや制作を行う職種が「Webデザイナー」です。 Webデザイナーは、サイトデザインだけでなくバナーやアイコンなどのデザインも行ったり、スキルの幅を広げてマーケティングやディレクションなどで活躍したりもできる職種です。
本記事では、Webデザイナーの仕事内容や求められるスキル、さらには年収や将来性など、詳しく解説します。Webデザイナーに興味のある方は、ぜひご参考ください。
Webライター
Webライターは、オウンドメディアやSNS内に投稿する記事を作成する職種です。ライター業は文章作成が主な業務となるため、場所にとらわれずに仕事をしやすい職種です。
日本語で文章が書ければ基本的な業務には対応できるため、ほかの職種に比べ参入障壁が低く、未経験でも案件を獲得しやすい傾向にあります。
しかし、案件の相場は低いため、安定した収入を得るには作業量を増やしたり、高いライティング技術を習得したりすることが求められます。
一般的に、Webライターの仕事では自分が書いた記事の添削をしてもらいます。そのため、添削内容を真摯に受け止め、スキルアップと実績を積み重ねることが必要です。
ノマドワーカーになるために必要な準備
将来ノマドワーカーになるために、会社員のうちに準備しておくべき事柄を4つ紹介します。
- 生活費を貯めておく
- ローンや賃貸、クレジットカードなどの契約を済ませておく
- 開業届を準備する
- 副業を始める
生活費を貯めておく
ノマドワーカーになる前に、2〜3か月分の生活費を貯めておくことを推奨します。
ノマドワーカーに転身後、すぐに収入が安定するとは限りません。案件が獲得できなければ、無収入になる可能性もあります。貯金があれば、心に余裕を持って仕事を探したり、業務に集中したりすることができます。
ローンや賃貸、クレジットカードなどの契約を済ませておく
組みたいローンや契約したい賃貸、クレジットカードがある場合は、可能な限り先に申請しておくことをおすすめします。
フリーランスのノマドワーカーに転身した場合、雇用形態としては個人事業主となるため、社会信用度が低くなります。前倒しできるものであれば、ノマドワーカーになる前に済ませておくと良いでしょう。
開業届を準備する
フリーランスとしてノマドワーカーになる予定であれば、事前に開業届を出す準備をしておくことをおすすめします。
フリーランスは社会的信用度が低くなりがちですが、開業届を出すことで社会的信用度を上げることができます。開業届を出すことで、未届けのフリーランスよりもローンや賃貸契約の審査が通りやすくなります。
さらに、確定申告の際に節税効果の高い青色申告を利用することも可能となります。
将来フリーランスとして独立を考えているのであれば、事前に開業届の準備を済ませておくことで、独立時にスムーズな移行ができるでしょう。
副業を始める
所属している企業が副業を解禁しているのであれば、副業から始めてみることをおすすめします。
ノマドワーカーになる前に、案件完遂までの流れを体験できます。副業で案件を数多くこなせば、その分経験や実績を蓄積され、フリーランスのノマドワーカーとして独立した後の強みになります。
ノマドワーカーにおすすめな案件を探す方法、サービス
案件の探し方は主にクラウドソーシングサイトで案件を探す方法と、エージェント経由でマッチングしてもらう方法の2種類に大別できます。
次に紹介する各サイトは、エンジニアにおすすめのエージェントサイトやクラウドソーシングサイトです。
- TECH STOCK
- CrowdWorks
- Lancers
- レバテックフリーランス
- BizOn!
TECH STOCK
TECH STOCKは、全登録者数38,000名以上、約20年の実績を有するITエンジニア向けエージェントです。リモート案件が70%以上を占めるほか、月額報酬80万円・上場企業・即アサイン可能など、スキルや希望にマッチする案件を紹介してもらえます。
開発案件だけでなくプロジェクトマネジメントやコンサルティング案件の紹介も可能なため、今後のキャリアプランを見据えてさまざまな案件に挑戦できます。
業界最速水準の翌月15日払い、アサイン後のフォローアップ、税理士や社労士の紹介など、案件紹介以外のフォローが充実している点も魅力です。
CrowdWorks
CrowdWorks(クラウドワークス)は国内でトップシェアを誇るクラウドソーシングサイトです。
大企業や政府をはじめ、利用企業は78万社以上(※)にのぼり、さまざまな種類の案件が豊富にあります。組み込みシステムや大規模システム開発、運用保守など、多種多様な案件を選択可能です。
エンジニア以外の案件も多く、難易度の幅も広いため、未経験でも難易度の低い案件から始めてスキルと実績を積み重ねることができます。
Lancers
Lancers(ランサーズ)もCrowdWorks同様、日本最大級のクラウドソーシングサイトの一つです。
60万社以上のクライアント企業が利用しており、約210万件の案件数(※)があります。副業から挑戦する方でも、狙える案件があることが特徴の一つです。
また、自分のスキルをパッケージ商品として販売するシステムも用意されています。そのため、クライアントから依頼を待つスタイルでも案件獲得が可能です。
レバテックフリーランス
レバテックフリーランスはITエンジニア関連の案件に特化したエージェントサービスサイトです。
自分が習得しているプログラミング言語や担当している領域に絞って案件を探すことができます。それだけでなく、IT職種ごとに専門のアドバイザーが在籍しているため、案件獲得に関する質問やキャリアアップに関するアドバイスを受けることも可能です。
安定した副業生活を送るために、条件交渉や契約関連のさまざまなサポートも行っています。
BizOn!
BizOn!(ビズオン)はフリーランスと企業をつなげるマッチングサイトです。
登録されている発注企業側はすべて経営者という特徴(※)があります。経営者と直接やり取りを行うため、中長期案件の獲得につながりやすいです。それだけでなく、異業種の人たちとのつながりも作りやすいため、人脈形成に役立ちます。
フリーランスのノマドワーカーとして独立する前に登録をしておき、独立後すぐに中長期案件を受注する体制を整えておくことも可能です。
まとめ
ノマドワーカーは、場所にとらわれない働き方ができ、フリーランスのノマドワーカーであれば働く時間も自由に選択できます。
自己管理を徹底し、日ごろから案件獲得のための努力を怠らなければ、理想のワークスタイルで生活することが可能です。
正社員であってもノマドワーカーになれますが、自分がノマドワーカーに向いていると思うのであれば、フリーランスのノマドワーカーとして転身するのもおすすめです。
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