プログラミング言語Rubyとは?特徴・できることなど基本知識を解説
Rubyは日本発祥のプログラミング言語であり、昨今では世界中のエンジニアが開発に活用するなど、高い人気を誇っています。有志が開発した「Ruby on Rails」などのフレームワークを活用することで、シンプルな記述でSNSなどの複雑なWebサービス開発も可能です。
これから新しくプログラミング言語を学習したいと考えているのであれば、Rubyはおすすめの言語のひとつです。本記事では、Rubyの基礎知識や歴史、学習するメリットや得意としている開発領域などについて詳しく解説します。

Rubyはどのような言語か
Rubyとは、まつもとゆきひろ氏によって提唱された日本発祥のプログラミング言語です。もともとは「Perl」と呼ばれる、Web開発によく利用される言語が由来となっています。
Perlと同様にWeb開発を得意領域としていますが、ほかにもスマホアプリ開発やWebデータ抽出を意味する「スクレイピング」など、幅広い用途に使われています。
Rubyはコードの柔軟性が高く、開発現場で応用が利くため、さまざまな場面で取り入れられています。ほかの言語と比較するとシンプルな記述でプログラムを動作させられるため、初心者でも学びやすく、日本発祥であることから教材も豊富です。コードがシンプルであるためにバグを発見しやすく、テストなどの場面でも役立ちます。
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Rubyの歴史
Rubyは1995年に初めて一般公開され、近年では世界中のエンジニアに広まっています。Rubyの名が世界に広く知られるようになったのは2006年ごろのことで、現在では、世界各国の主要都市でRubyのカンファレンスが実施されるまでになりました。
エンジニアからの支持やWebサービスの開発現場で選ばれている言語など、さまざまな指標において、Rubyは高い人気を獲得しています(※)。
この評価は、Rubyがソースコードの改変やコピー、再配布を可能とする「フリーソフトウェア」であり、「Ruby on Rails」などの有用なフレームワークが生まれていることなども影響していると考えられます。
※参考:
自社開発企業の使用言語ランキング3位はPython、1位は? | 日経クロステック(xTECH)
【2020年7月発表】プログラミング言語別求人案件ランキング
2019年1番学ばれた人気プログラミング言語を発表 1位は「PHP」次いで「Ruby」が人気の結果に!|株式会社SAMURAIのプレスリリース
Rubyと各言語との違い
Rubyのほかにも、開発現場でよく用いられる言語としてPHPやPythonなどがあります。ここでは、RubyとPHP・Pythonがどのように異なるのかについて解説します。
PHPとの違い
PHPとは、世界中のさまざまな開発現場で使われている、サーバーサイドのスクリプト言語の一種です。
PHPはグローバルに活用されている言語であることから、エンジニアの数も多く、Web上で多くのエンジニアがPHPに関する情報を発信しています。そのため、開発に行き詰まったときでも疑問を自己解決しやすい点がメリットです。
コーディングのルールが厳格ではないため、比較的曖昧な記述でも動作します。ただし、統一性のとれた組織だった開発が重要となるチーム単位での開発においては、この特徴がかえってデメリットになる場合もあるため、注意が必要です。
Pythonとの違い
前述のように、RubyはWebアプリ開発を得意とする言語です。一方で、Pythonは機械学習やAI(人工知能)関連の開発を得意としており、それぞれ得意領域が異なります。AI技術が発展しつつある昨今では、Pythonを採用する現場が数多く見られるようになりました。
Ruby・Pythonともに構造がシンプルで、比較的わかりやすいコードである点や、世界中の多くのエンジニアによって豊富な開発実績が積み上げられている点などは共通しているため、RubyとPythonのどちらを開発に活用するかどうかは、成果物や開発目的などによって使い分けることが大切です。
Pythonはプログラミング言語の中でもトップクラスで人気です。人工知能やデータ分析、アプリケーションの開発、事務作業の自動化まで幅広く使われており、基本を覚えるとさまざまな分野で使用できます。新しく技術を習得するときには、技術が古くならないか、学び損にならないかと心配になるものです。しかし、Pythonに限っては心配無用といえます。
この記事ではPythonでできることをはじめ、汎用的な言語と言われる所以や用途、不得意なこと、未経験者向けの学習方法もあわせてご紹介します。
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Rubyでできること4選
Rubyが得意としている開発領域は、主にWebサービスやスマートフォン向けアプリ、SNS開発、スクレイピングなどです。特にWebサービスには強く、さまざまなECサイトやWebサービスがRubyを活用して開発されています。
ここでは、Rubyが得意としている4つの開発領域について、特徴やRubyを選ぶメリットを紹介します。
Webサービス
Webサービスの中でも、ECサイトやオウンドメディアのように、Web上で商品購入を行ったり情報を閲覧したりできるサイトの制作は、Rubyがとりわけ得意としている領域です。これは、Rubyが「サーバーサイド処理」と呼ばれる処理を得意としているためです。
サーバーサイド処理とは、WebサーバーからWebブラウザ上に表示するために必要なデータを取得し、必要に応じて加工を加えたり、ユーザーが入力・送信したデータをWebサーバー上に保存したりする処理のことです。
ECサイトやオウンドメディアでは、Webサーバーから情報取得やユーザーが入力・送信したデータの保存が不可欠であることから、Rubyによる開発が適しています。
スマートフォン向けアプリ
スマートフォン向けアプリも、Rubyが得意とする領域のひとつです。iOSやAndroidなど、代表的なスマートフォンOSでのアプリ開発に特化した開発環境やフレームワークも用意されています。
Rubyを活用することで、Web上で動作するアプリとスマートフォン上にダウンロードして動作するアプリの長所を掛け合わせた「ハイブリッドアプリ」の開発も可能です。ハイブリッドアプリは、OSなどに依存しない「デバイス固有の動作」を可能にするアプリのことで、環境の異なるさまざまなユーザーにサービスを提供するためのマルチプラットフォーム開発に向いています。
SNS開発
昨今では、APIを活用したSNS開発もよく行われています。APIとは、異なるサービス同士がデータを連携するための「窓口」の役割を果たすプログラムのことで、SNS運用には必要不可欠です。このAPIを開発する際に、Rubyのフレームワークである「Ruby on Rails」がよく用いられます。
「Ruby on Rails」を活用することで、シンプルな記述で本格的なAPI開発を行えます。Ruby on Railsには、APIのほかにもSNSに欠かせないさまざまな機能を簡単に実装するための土台となるプログラムが数多く用意されており、1からプログラムを記述する場合に比べてSNSに必要な機能を効率的に開発できます。
スクレイピング
Rubyは、Web上の指定したデータを抽出する「スクレイピング」という処理にも活用できます。スクレイピングは、主にデータリサーチや分析に利用される処理であり、市場ニーズの理解が重要な近年のマーケティングにおいて、企業や個人がRubyによるスクレイピングを取り入れているケースもあります。
例えば、Web上で更新され続ける天候情報やニュースサイトの最新のニュースを取得するなど、リアルタイムで変化していく情報の取得が重要な場面で役立ちます。取得したデータは必要に応じて統計処理へと回され、ビッグデータ解析などに活用されることもあります。
Rubyには、スクレイピングを行う際に便利なライブラリが用意されており、指定した文字列を抽出するなど、柔軟な操作を行うことが可能です。
このように、Rubyが得意としている開発領域は、日常生活に深く関わっている分野が多く含まれています。そのため、将来性が高く、日本だけでなく海外でも活用されている例が見られます。
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Rubyを学習するメリット
Rubyを学習するメリットとして、以下の点が挙げられます。
- これからプログラミングを始める初心者でも学びやすい
- ほかの言語に比べるとコードの記述を短く済ませられる
- テストでバグを発見しやすい
初めてプログラミングを学ぶ人や、Rubyを知っていれば、Web開発の分野の中でも特に開発速度を重視する現場などで重宝されます。ここでは、上記3つのメリットについて詳しくみていきましょう。
初心者でも学びやすい
Rubyは記述したプログラムを実行する際に、プログラムを1行ずつ読み込んで変換する「インタプリタ」を利用するため、「コンパイル」と呼ばれるプログラム全体の変換作業が不要です。そのため、コンパイルを必要とするJavaなどに比べると、学習が容易であるというメリットがあります。
また、Rubyは日本発祥のプログラム言語なので、書籍やWebなどを通して日本語の資料を豊富に得られるため、初心者でも学びやすい言語です。
ほかの言語に比べてコードの記述が短い
Rubyは、ほかの言語に比べてコードの記述が短い点もメリットのひとつです。前述のようにコードの構造がシンプルであり、文法がわかりやすいため、短い記述で実装したいプログラムを再現できます。
Rubyの記述がシンプルな理由は、Javaのように「変数宣言」と呼ばれる、プログラムの記述を始める際の型の定義付けを行う必要がないという部分にあります。クラスやメソッドを記述する複数行のコードが不要なぶん、全体のコード量を圧縮することができます。
テストでバグを見つけやすい
Rubyはオブジェクト指向と呼ばれる言語で、「オブジェクト」や「ひな形」と呼ばれる単位ごとに独立して扱うことができます。オブジェクト指向のポイントは、一つひとつの機能ごとにプログラムのまとまりが生まれる点にあります。
オブジェクト指向によってプログラムのまとまりが明確になることで、オブジェクトごとの影響範囲を容易に把握でき、プログラムに変更を加えたときの変化や、バグが起こったときの問題箇所を特定しやすくなります。
Rubyの需要・将来性
日本国内において、Rubyには多くの求人や案件情報があり、今後も安定的な需要が期待できます。日本発祥の言語ではありますが、日本だけでなく海外で採用されている例も多く、特に新進気鋭のベンチャー企業では、Rubyが積極的に取り入れられています。
弊社のフリーランスエンジニア向け案件紹介サイトであるTECH STOCKでは、Rubyの案件は155件あります(※1)。また、業界大手のレバテックフリーランスでも、Rubyの該当求人数は3,380件(※2)あります。
案件ごとの単価は開発内容やプロジェクト規模などによって異なりますが、高単価の案件獲得も十分に期待できるため、需要や将来性は高いと考えられます。
※1 参考:Rubyの案件・求人一覧|TECH STOCK 2024年01月08日時点
※2 参考:Rubyのフリーランス案件一覧|レバテックフリーランス 2024年01月08日時点
Rubyの学習方法
Rubyを学ぶ方法はいくつか考えられますが、主な方法として、書籍の購入、無料または有料Webサイトの活用、プログラミングスクールの受講などが挙げられます。
プログラミングの習得にかけられる予算や、スケジュール管理の得意・不得意などに合わせて、自身に合った方法を利用しましょう。
書籍を購入する
Rubyの学習法のひとつとして、書籍を購入する方法があります。書籍は情報量が豊富で、Rubyを学ぶための基礎知識が1冊にまとまっている点が魅力的です。Rubyが日本発祥のプログラミング言語である点からも、さまざまな書籍が出版されており、購入の選択肢が広いというメリットもあります。
ただし、1人で学習を進めていると、わからない部分が出てきたときにつまずきやすい点はデメリットです。疑問が出てくるたびにトライ&エラーを繰り返して、自己解決できる人に向いている方法といえるでしょう。
以下にRubyを学ぶうえで代表的な書籍の例を挙げたため、ぜひ参考にしてください。
プロを目指す人のためのRuby入門[改訂2版] 言語仕様からテスト駆動開発・デバッグ技法まで (Software Design plus)
著者:伊藤淳一
出版社:技術評論社
定価:3,278円
概要:
Rubyの言語仕様や開発で役に立つRubyの知識を説明したものであり、Rubyの入門書です。豊富なサンプルコードで文法を学べるため、プログラミングの流れを体験することも可能です。
参考:プロを目指す人のためのRuby入門[改訂2版] 言語仕様からテスト駆動開発・デバッグ技法まで (Software Design plus)
たのしいRuby 第6版 (Informatics&IDEA)
著者:高橋征義、後藤裕蔵
出版社:SBクリエイティブ
定価:2,860円
概要:
プログラミング初心者でも読み解けるように、チュートリアル、基礎、クラス、実践とテーマを分けて、解説しており、Rubyを基礎から応用まで学べる一冊です。
無料のWebサイトを参考にする
無料のWebサイトを参考にすることによって、Rubyを学ぶ方法も考えられます。近年では無料でRubyの記述ルールや基礎知識を学べるWebサイトも数多くあるため、うまく活用できれば、最小限のコストで学習できます。
ただし、無料のWebサイトは情報元が不確かな個人が運営しているブログなども含まれるため、参考にするサイトを精査しなければ、情報の精度が低下するおそれがあります。無料のWebサイトを利用する際は、そのサイトの情報が信頼できるかを精査するステップが必要となるでしょう。以下、おすすめのサービスを2つご紹介します。
Ruby入門編|プログラミング学習サイト【paizaトレーニング】
paizaトレーニングは、初心者~中級者向けのプログラミング学習サイトです。学習動画と演習問題で基礎からRubyを学習することができます。Ruby入門編の講座はすべて無料で受講することができるため、まずは基礎から学びたいという方にはおすすめです。
参考:Ruby入門編|プログラミング学習サイト【paizaトレーニング】
Ruby|プログラミング入門なら基礎から学べるProgate
Progateは、イラスト付きのスライドでプログラミングの学習をすることができるサービスです。動画や書籍よりも、分かりやすく自分のペースで学習できることを強みとしています。
Rubyの基礎については、無料プランで学習をすることができます。スライドで学習後は、ブラウザ上でコードを書いて復讐できるため、自身の理解度を確認することができます。
有料のWebサービスを利用する
無料のWebサイトだけでなく、企業などが運営している、オンラインの有料Webサービスを利用する方法もあります。月額契約などの形で利用料金を支払う必要があるため、一定のコストはかかりますが、教材の内容が充実しており、問い合わせなどのサポートも受けられる点がメリットです。
ただし、基本的には学習者が計画を立てて自分のペースで学ぶことになるため、計画を立てることが苦手な人や、スケジュールどおりに学習を進めるのが不得意な人は、学習の進め方を工夫する必要があります。
プログラミングスクールに通う
Rubyを専門に扱うプログラミングスクールに通い、基礎知識を学ぶ方法も有効です。開発現場でエンジニアとして活躍してきた経験豊富な講師から学べるので、わからないところをすぐに聞いて解決できる点は、プログラミングスクールを利用するメリットといえるでしょう。
一方で、スクールに支払うためのコストがかかる点は、人によってはデメリットに感じられる場合もあります。また、スケジュールがある程度決まっているため、自分のペースで学びたい人にとっては窮屈に感じられる可能性もあります。
以下にて、Rubyを学ぶことができる代表的なスクールを紹介いたします。
教養コース|侍エンジニア
侍エンジニアは、現役エンジニア講師によるマンツーマンレッスンとオリジナルカリキュラムが特徴のオンラインプログラミングスクールです。
教養コースでは、WEBデザイン制作、WEBアプリ開発、Java資格取得、LPIC資格取得を選択することができ、RubyはWEBアプリ開発にて学ぶことができます。
参考:教養コース|侍エンジニア
Rubyコース|オンラインのプログラミングスクール忍者CODE
忍者CODEは、未経験からでもプロを目指すことができるプログラミングスクールです。忍者CODEのRubyコースでは、転職支援プランと独学プランの二つがあり、基礎から応用まで学ぶことが可能です。
充実したサポート体制や実践的カリキュラムで、未経験からでもスキルを身に付けることができます。
まとめ
日本発祥のプログラミング言語であるRubyは、Web開発、スマホアプリ開発、スクレイピングなど、さまざまな開発に利用されています。有志が開発した「Ruby on Rails」などの開発を強力にサポートするフレームワークなどを活用することで、SNSなどの複雑性の高い開発も容易にします。
Rubyは国内のみならず、海外の多くのベンチャー企業でも採用されており、安定的に多くの案件を見つけられます。これから新しく学ぶプログラミング言語を選ぶのであれば、ぜひ検討したい言語のひとつです。
書籍の購入やWebサービスの利用、プログラミングスクールへの通学など、自分に合った方法を選択して、Rubyの学習に挑戦してみましょう。