ITスキルとは?ITSSの具体例やITスキル、スキルマップ活用法を解説!
IT技術者として活躍するためには、身につけておきたいスキルが数多くあります。プログラミングスキルやネットワーク知識などの技術面だけでなく、コンサルティング力やマネジメント力などのソフト面のスキルも重要です。 ITスキルを身につけるためには、スキルの棚卸しを行い、自分に必要なスキルを見極めることが求められます。本記事では、ITSS認定資格の具体例やIT技術者として高めたいスキル、それらのスキルを身につけるための具体的なステップについて解説します。
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IT技術者は技術力だけでは生き残れない
IT技術者として活躍することを志したときに身につけるべきスキルとして、プログラミングの知識やネットワークの知識を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。もちろんIT技術者として現場で働くためには技術力が欠かせませんが、実は技術力だけでは長く生き残ることは難しいという実情があります。
実際に、エンジニア人財サービスを提供するVSNが2019年にエンジニア向けに実施した「今後、求められる能力や自身の仕事の将来に関する意識調査」の結果のなかでは、「今後、エンジニアが技術的なスキルだけで生き残れると思うか」という質問に対して、55.9%もの人が「生き残れない」と回答しています。(※)
この割合はエンジニアとしての経験年数が長くなるほど高まる傾向にあり、特に経験年数26~30年の人に限ると61.3%もの人が技術だけでは生き残れないと回答しており、技術力以外のスキルも求められていると感じているようです。 このことから、IT技術者として活躍するためには、技術的な分野はもちろん、その他の部分も磨いていくことが重要になると考えられます。
※参考:MONOist『ITエンジニアの約6割が「技術的スキルだけでは生き残れない」と回答』
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IT技術者として高めたいスキル(技術面)
IT技術者として高めたいスキルには、大きく分けて、技術面とソフト面の2種類があります。CompTIA米国本部の調査チームが公開している調査によれば、『2022年に求められるITスキル』としてプログラミング言語やユーザーエクスペリエンス、クラウドコンピューティングなど、合計22のスキルが紹介されています。(※)
そこで、22のスキルのなかでも特に必要性の高いものを、技術面から4つ紹介します。
※参考:2022年に求められるITスキル(CompTIA米国本部ブログより)|CompTIA JAPAN (コンプティア 日本支局)
プログラミング言語
システムエンジニアやプログラマーとして活躍するためには、プログラミング言語の習得が必要不可欠です。これから新しく言語を学ぶ人は、働きたい現場で必要とされているプログラミング言語を身につけなければなりません。
また、既にシステムエンジニアやプログラマーとしての就業経験があり、転職を検討しているのであれば、習得済みの言語以外の新たな言語を学んだり、得意な言語をさらに極めたりすることが考えられます。
ネットワークの知識・スキル
昨今ではインターネットを活用した業務が当たり前になり、クラウドも普及しています。ネットワークが整備されていなければ、業務の継続が難しくなる現場も増えてきました。このような現状から、ネットワーク技術者はもちろん、システムエンジニアやプログラマーであっても、ネットワークの知識やスキルを身につけておくことが望ましいといえます。
ネットワークの知識やスキルを極めれば、ネットワークエンジニアをはじめとしたインフラエンジニアとしての活躍も期待できます。
本記事では、ネットワークエンジニアの仕事内容や待遇、需要や将来性について説明します。もちろん、ネットワークエンジニアの需要が高まることが予想できても安心してはいけません。技術に栄枯盛衰があるように、それを使いこなすエンジニアのスキルセットにも流行り廃りがあります。
よって、同じネットワークエンジニアでも現在と未来では求められるスキルセットに大きな違いがあることも考えられます。このことを踏まえた上で、ネットワークエンジニアの仕事について将来求められるだろうスキルも含めて説明します。
セキュリティ関連の知識・スキル
サイバー攻撃の脅威は高まる一方で、世界的にも業種・業態を問わず、さまざまな被害が生まれています。そのため、自社の重要な情報や資産を守りながら安全に開発を進めるための、セキュリティ関連知識やスキルが求められるようになります。
セキュリティ対策を万全にするには、外部からの不正アクセスを遮断するためのネットワーク知識や、セキュリティを強固にするためのサーバー運用など、多岐にわたる知識が必要です。
ネットワーク、サーバー、クラウドなど、幅広い知識を身につけることが求められます。
クラウドの知識・スキル
働き方改革やDXの推進が進むなか、リモートワークなどの普及も手伝って、企業や組織においてクラウドの利用は広まっています。このような流れにおいて、クラウドアプリケーションを開発・運用する機会は増えてきており、同時にIT技術者にとってもクラウドの知識やスキルが求められる場面は増えてきています。
特に近年ではクラウドエンジニアなどの職種も登場しており、クラウドの開発をメインに働きたい人にとっては、知識・スキルを極める必要があります。
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IT技術者として高めたいスキル(ソフト面)
前述の技術面で紹介したスキルは、IT技術者がソフトウェアやインフラを開発するために必要不可欠です。一方で、次のようなソフト面のスキルを備えておくことも、現場で円滑な開発を進めるためには重要になります。
コンサルティング力
顧客が抱えている課題を解決するまでには、ヒアリングを通して課題を発見し、具体的な解決への道筋を立て、顧客の理解を得て、実際に開発を進める必要があります。コンサルティング力の高いIT技術者は、自社の技術やサービスのなかから、顧客にとって最良な提案を行い、課題を効率的に解決できます。
このような背景から、IT技術者がコンサルティング力を高めることは、顧客にとってより有用な提案を行う上で重要であると考えられます。
マネジメント力
システムエンジニアなどの技術職においては、プロジェクトを統括してスケジュール調整や開発状況の確認、予算管理などのマネジメント業務を行う必要があります。そのため、プログラム開発などの技術だけでなく、マネジメント能力を磨かなければなりません。
高いマネジメント能力を身につけられれば、チームメンバーとこまめなコミュニケーションを取りながらプロジェクトを円滑に進行させ、納期遅延や予算超過などを招くことなく、品質の高い成果物を顧客へ納品できます。
交渉力
IT技術者は、単にソフトウェアやインフラなどの開発を行うだけでなく、顧客と直接商談を行って、案件の受注金額などを調整する場面もあります。そのため、開発工数の算出や、開発時の諸条件まで細かく調整できる交渉力が求められます。
自社が開発する予定のソフトウェアやインフラにかかる工数を正確に見積もり、顧客の予算とすり合わせて納得を得た上で、利益を最大化するためには、見積もりスキルや顧客とのコミュニケーション力を身につける必要があります。
最新のIT知識
IT技術は常に進化するため、最新の情報にアンテナを張り、学び続ける姿勢が重要になります。日々、最新のIT知識とスキルを磨き、積極的に情報収集を続けることが大切です。
トレンドが変化したことに気がつかないままシステムやサービスの開発を行うと、市場で既に陳腐化しているサービスをリリースしてしまい、顧客から早く飽きられてしまったり、競合他社との競争力が落ちたりする危険性があるため、注意が必要です。
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ITSSとは何か
IT技術者のスキルレベルを計測するためによく活用されるのが、「ITSS」という指標です。ITSSとは、経済産業省が作成したIT人材のスキルレベルを評価するためのスキル体系で、「ITスキル標準」と呼ばれることもあります。
IT人材を教育・養成するために、ITSSを活用して対象者の現在のスキルを数値化し、今後、どの部分をさらに伸ばしていく必要があるのかを明らかにできます。 ITSSのレベルは全部で7段階あり、スキルに応じて適切なレベルを設定します。
レベル1のようにIT技術者にとって最低限必要なスキルを身につけている状態を示すものから、レベル7ではプロフェッショナルかつ世界で活躍できるIT技術者であることを示すものまでさまざまです。
ITSS認定資格の具体例
ITSS認定資格の具体例として、ITパスポート試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験が挙げられます。これらの資格はいずれもIPA(情報処理推進機構)が主催する国家資格で、取得しておくとIT技術者として必要なスキルが身についていることを証明できます。
ここでは、ITSS認定資格に属する3つの資格について詳しく解説します。
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ITパスポート試験
ITパスポート試験は、これからIT知識を学び始める人など、IT知識・スキルを習得中の初心者向けの試験です。取得すると、ITに関する初歩の知識が身についていることを証明できます。
前述のITスキル標準では「レベル1」に該当するため、これからIT技術者としての基礎を身につけたいと考えている人にはおすすめです。
試験の内容は、ストラテジー系、マネジメント系、テクノロジー系からITの基礎的な問題が幅広く出題されるため、ITに触れる入り口としても活用できます。CBT試験であり、受験の機会が多い点もメリットです。
試験の平均合格率は50%前後と比較的高いため、事前に十分な対策を行っていれば、初めてITに触れる人でも合格は可能です。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITパスポート試験よりも上位に位置する国家資格で、IT技術者としてより実践的な知識を求められる試験です。
システムエンジニアやプログラマーとして現場で本格的に働くのであれば、まずは押さえておきたい資格のひとつです。既にITの初歩の知識が身についている人は、ITパスポート試験ではなく基本情報技術者試験から受験を始めるのも手段のひとつです。
ITスキル標準では「レベル2」に該当しており、上位の監督者から指示された作業を問題なく遂行できる水準のスキルを持っていることを証明できます。現場で開発業務を担える基本的なIT知識・スキルが身についていることを示すためには、おすすめの試験です。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験よりも上位の国家資格で、システムエンジニアとしてのより実務的な能力をアピールできます。現場で開発作業を担える基本的なIT知識・スキルが身についており、さらに応用的に開発に参加できることを証明できます。
ITスキル標準では「レベル3」に相当し、要求された作業を全て自分の力で遂行でき、専門分野を確立するとともに、プロフェッショナルとして活躍するために必要な知識やスキルを所持していることを証明できます。上位の監督者から与えられた作業をこなし、さらに応用力を身につけている人に向いている資格です。
チームメンバーとして働く技術者だけでなく、現場を統括するプロジェクトリーダーなどの上級エンジニアにもおすすめです。
ITスキルを身につけるための具体的なステップ
ITスキルを身につけるための具体的なステップとして、現状のスキルの棚卸しを行い、自分のスキルと目指しているスキルの差を見極めた上で、不足している分野を身につけるための効率的な学習方法を見極める必要があります。
ここでは、ITスキルを身につけるための3つのステップを紹介します。
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現状のスキルを棚卸しする
まずは現状のスキルを棚卸しして、自分が身につけているスキルを明らかにしましょう。プログラミングスキル、ネットワークスキル、セキュリティ知識など、現場で身につけた知識やスキルを振り返り、自分がどのような分野を得意としているのかが分かれば、伸ばすべき知識やスキルが明らかになります。
また、過去に就業経験がある人なら、自身が関わったプロジェクトを振り返ったり、他者からの評価を聞いたりすることも参考になります。特にコンサルティング力や交渉力などのソフト面のスキルへの評価については、自分だけでは気がつかない他者からの意見が役立つ場面も多いでしょう。
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目指したい姿と必要なスキルを明らかにする
スキルの棚卸しした結果を参考に、これから自分が目指したい姿を明確にしていきます。自分が将来的に目指したい姿はどのようなものなのか、理想的な姿にたどり着くために不足しているスキルは何かを明らかにできれば、これから身につけなければならないスキルを把握できます。
まだIT技術者として働いたことがない人なら、前述のITSS認定資格などを取得するための学習を通して、得意な分野と苦手な分野を把握する方法も効果的です。既にIT技術者として働いており、他の職種への転職を検討している人は、自身の経験に加えてどのようなスキルが必要なのかを明確にしましょう。
身につけるスキルに合わせた方法で学習する
自分に必要なスキルが明らかになったら、身につけなければならないスキルに合わせた方法で、実際に学習を進めていきます。IT知識やスキルの学習方法はさまざまであり、書籍やオンラインサービス、プログラミングスクールなど多様な選択肢があるため、自分に適した方法を選ぶことが大切です。
コンサルティング力などのソフト面のスキルは、書籍などから学ぶことは難しいため、ビジネスにおける日常会話を意識的に改善したり、他者からのアドバイスをもらって取り入れたりするなど、ひと工夫が必要です。最新のITトレンドを押さえて、知識を吸収することも忘れずに行いましょう。
まとめ
ITの知識やスキルを身につけることは、IT技術者として活躍する上で必要不可欠です。ITSSなどの指標も参考に現状の自身の立ち位置を明らかにして、次に身につけなければならないスキルはどれなのかを把握しましょう。ITパスポート試験や基本情報技術者試験、応用情報技術者試験など、ITSS認定資格を取得するのもおすすめです。
IT技術者として身につけるべきスキルは、技術力だけとは限りません。コンサルティング力やマネジメント力をはじめとした、ソフト面のスキルも身につけた技術者こそが、将来にわたってIT技術者として長く活躍できます。
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