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プロジェクトが始まると、通例、課題管理や進捗管理といったプロジェクト管理が開始されますが、作成するのを忘れがちになるもの、また、あまり作られないものの一つに「プロジェクト憲章(Project charter)」があります。
特に日系企業のほとんどのプロジェクトでは、プロジェクト憲章が作成されていない、もしくは作成されていたとしても形骸化していることが多いように感じますが、みなさんの現場ではいかがでしょうか。確かにプロジェクト憲章が無くてもプロジェクトは進みますし、別にそれで弊害は無いように思われがちです。今回、どうしてプロジェクト憲章の作成が必要なのかを、あらためて検証したいと思います。

目次

1.それ、プロジェクト憲章が原因かも?~プロジェクト問題チェックリスト~

プロジェクト憲章が作られていない、もしくは形骸化していると、プロジェクトで下記のような事象が発生します。あなたの参画しているプロジェクトは大丈夫でしょうか?ぜひ一度チェックしてみてください。

・プロジェクトの目的がはっきりせず、メンバー毎に課題判断が異なる、あるいは課題がなかなか解決しない。
・いつの間にかプロジェクトの目的が変わり、これまで合議できていたはずの成果物の記載内容が「おかしい」と言われだす、もしくは修正となる。
・大半のメンバーが「中止したほうがいいのに…」と思っているプロジェクトが、ずるずると続く。
・当初想定していたよりもプロジェクトのコストが大幅に膨れ上がる。
・最終成果物の品質が、当初想定よりも悪くなっていく。
・ 顧客(クライアント)がプロジェクトの取り組みに積極的に関与してくれない。

もし、あなたのプロジェクトが上記いずれかの事象に当てはまるようなら、それはプロジェクト憲章について見直すサインなのかもしれません…。

2.プロジェクト憲章の具体的な内容

プロジェクト憲章の構成要素は、おおむね下記の通りです。

・プロジェクトの目的と、その妥当性
・プロジェクトの測定可能な目標、および成功基準(ゴール)
・プロジェクトへのハイレベル要求事項
・前提条件、制約条件
・ハイレベル(現時点で判明している)マイルストーン、スケジュール、予算
・ハイレベル(現時点で判明している)プロジェクトスコープ
・ハイレベル(現時点で判明している)リスク
・プロジェクトマネージャーの責任レベル、権限レベル
・ステークホルダー一覧

一見すると項目数が多そうですが、それぞれ各項目を簡潔に記載するのが作成上のポイントです。文章量が多くなると、プロジェクトメンバーが読んでくれません。個人的には、記載する項目を抜粋してプロジェクト検証を作成するよりも、プロジェクト規模に関わらず、簡単でよいので、上記全項目について記載を網羅したほうがよいと思います。

似たようなものに、アジャイル(スクラム)の「インセプションデッキ」がありますが、プロジェクト憲章の代わりに、こちらを作成しても構いません。

3.プロジェクト憲章は、プロジェクトメンバーにプロジェクトオーナーの想いを伝えるためのツール

プロジェクト憲章は、プロジェクトオーナーやスポンサーが、プロジェクトメンバーに「プロジェクトに対する想い」を伝えるために作成するものです。なので、プロジェクトメンバーであるプロジェクトマネージャーが、プロジェクト憲章を作成するわけではありません(順序的には、プロジェクトマネージャーはプロジェクト憲章作成後にアサインされます)。

プロジェクトオーナーやスポンサーが「忙しいから」「面倒だから」と言う理由で、稀にプロジェクトマネージャーがプロジェクト憲章を代筆してしまうケースがありますが、これではプロジェクト憲章の意義が半減します。先述の通り、プロジェクト憲章は、プロジェクトオーナーやスポンサーが、プロジェクトメンバーに『プロジェクトに対する想い』を伝えるために作成するものなので、プロジェクト憲章がプロジェクトオーナーやスポンサー本人の言葉で表現されないと説得力が損なわれ、形だけのプロジェクト憲章は作成しても形骸化してしまう恐れがあります。

また、皆がプロジェクト憲章に従ってプロジェクトを推進したとしても、「俺はそんな指示・方針を出していない」とプロジェクトオーナーやスポンサーが急に方針を変えてしまうこともあります。プロジェクト憲章は、その内容にも意義がありますが、誰が作成したのかという点においても意義があるのです。

4.プロジェクト憲章は、迷ったときの判断指針

プロジェクト憲章は、プロジェクトメンバーなら誰でも、いつでも参照できるようにしておきます。なぜなら、そこにはプロジェクトの目的ゴールが記載されているためです。プロジェクトを進めていくと、どうしても難しい課題に直面することがありますが、プロジェクト憲章がその対応指針となります。

プロジェクト活動におけるプロジェクト憲章は、企業活動における企業理念・行動指針みたいなものです。プロジェクトで迷ったときの判断指針がプロジェクト憲章なのです。

なので、プロジェクト憲章に記載するプロジェクトの目標やゴールは、抽象的や定性的であってはいけません。読み手(プロジェクトメンバー)の解釈次第で捉え方が異なるようでは、その意味を成さないのです。この観点からも、プロジェクト憲章はシンプルで分かりやすく、短文による構成としたほうが良いと思います。

5.最後に

プロジェクト憲章というのは、長いプロジェクト活動の中で、変わらない指針となるものです。指針の無いプロジェクトが右往左往するのは当然のことですし、途中でプロジェクト方針がひっくり返るのは、プロジェクトメンバーなら誰しもが避けたいところでしょう。
もし、現在、あなたの参画しているプロジェクトがうまく進んでいないようなら、プロジェクト憲章の作成・見直しを促してみてはいかがでしょうか。