Facebook
「来年からすべての国民に毎月10万円を給付します。」
もし政府から突然このような発表を受けたら、あなたはどう思いますか?

実業家の堀江貴文さんが主催するベーシックインカムの試験的な取り組みの中、月10万円のベーシックインカムを得ている対象者はこのように語りました。
「お金の心配に集中せずに、自分のやりたいことに集中して活動できるのが、一番大きなところです。」

もはやベーシックインカムはただの夢物語ではなく、フィンランドやオランダでは政策的に試験が行われています。
本記事では、「ベーシックインカムという言葉に聞き覚えはあるけど、詳しくはわからない!」という方に向けて、ベーシックインカムについての概要をわかりやすくご紹介したいと思います。

目次

1.ベーシックインカムとは

1.ベーシックインカムの定義

ベーシックインカムとは、ベーシックインカム推進の国際機関BIENにより「定期的な現金での給付で、資産調査や労働要件なしにすべての個人に無条件に提供されるもの」と定義されています。
※BIENより(http://basicincome.hateblo.jp/entry/2016/11/13/international-biens-clarification-ubi

つまりは、どのような(個)人であっても定期的にお金をもらうことができるという仕組みです。

「働かなくてもお金がもらえる。」
という何とも夢のような話ですが、実は多くの指導者がこのベーシックインカムを下記のように推奨しています。

・Facebook CEO マーク・ザッカーバーグ(https://www.businessinsider.jp/post-33905
「誰もが新しいことにチャレンジできるよう、何らかのクッションを作る必要がある。そのためにもユニバーサル・ベーシックインカムのようなシステムを検討すべきだ。」

・テスラ CEO イーロン・マスク (https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4053/)
「(AIの導入により)もし働く必要がなくなったとき、私たちはどうなってしまうのか。ベーシックインカムの導入は必要なのです。」

・実業家 堀江貴文(https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4053/
「『こうなったらいいな』ではなくて、ここから社会が荒れずに健全な社会であり続けるためには(ベーシックインカムを)やるのが最適解だ。」

さらに、既にベーシックインカムは世界中で試験的に導入されています。

・フィンランド(http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6733.php
2000人の失業者に対して、およそ600ドル(約6万8000円)を2年間毎月支給するというもの。

・オランダ(http://www.huffingtonpost.jp/2015/07/12/dutch-basic-income-experiment_n_7782056.html
250人のオランダ国民に対して、およそ1100ドル(約12万4000円)を2年間毎月支給するというもの。

・カナダ(http://www.afpbb.com/articles/-/3126368
4000人に対して、単身者の場合でおよそ1400ドル(約11万6000円)を3年間毎月支給するというもの。

多くの指導者、または世界の様々な都市が勢力的に推進しているところにも、ベーシックインカムへの注目度の高さが伺えます。

2.なぜいま、ベーシックインカムなのか

現在のベーシックインカムに通ずる、賃金補助制度の考え方は15世紀から数多くの有識者によって提唱されていました。
ではなぜいま、その議論が白熱しているのか。
社会保障制度の複雑化や収入格差の拡大など様々な要因が考えられますが、その最大の要因は2045年問題に代表される「AIの進化」です。

AIが飛躍的に進化し続けている現在、日本では今後10~20年で現在人類が行っている仕事の49%が機械に取って代わられると言われています。

※野村総研調べ(https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx

人類によって行われているほとんどの仕事が機械によって取って代わられるからこそ、仕事が無くても最低限の生活を保障されるベーシックインカムが注目されているという背景があります。

3.ベーシックインカムのメリット・デメリット

・メリット
一般的に言われているベーシックインカムのメリットは次の3つです。

1.起業しやすくなる
2.ブラック企業がなくなる
3.行政の効率化

1.起業しやすくなる
FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏や実業家の堀江貴文氏がベーシックインカムを推奨している最も大きな点がここです。

これまでは失敗のリスクを考え、起業を諦めていたケースが多々ありました。
しかし、ベーシックインカムが導入されれば起業が失敗しても必要最低限の生活レベルが保障されるため、起業自体のハードルが下がり、これまで以上に起業する人が増えると考えられています。

2.ブラック企業が無くなる
これまでは劣悪な環境であっても生活のために働かざるを得なかった人も、ベーシックインカムが導入されれば会社を辞め、自分にあった会社または仕事を探すことが容易になります。

3.行政の効率化
これまでの社会保障制度は「失業保険」「生活保護制度」「介護保険」「医療保険」「年金制度」「育児手当」「扶養控除」など様々で、近年はどんどんと複雑化しています。
しかし、ベーシックインカムとしてすべての保障制度を一本化することで、システムを単純化することができます。
また、これにより個々人が自分の意図に沿って適切に給付金を使うことができるようになります。

つまりは、いままで以上に個々人の意思を尊重した時間・お金の過ごし方ができるようになるということです。現在推進されている働き方改革との親和性が、非常に高いことが伺えます。

・デメリット
一般的に言われているベーシックインカムのデメリットは次の2つです。

1.財源の確保
2.勤労意欲の減退

1.財源の確保
ベーシックインカムのデメリットについての様々な意見がありますが、最も大きな問題として取り上げられているのはこの財源の問題です。2017年時点での日本の人口はおよそ1.27憶です。もし日本の国民すべてに毎月10万円を支給するとなると、これにかかる財源は152兆4,000億円ということになります。さらに、生活費に医療費を含めないとすると医療費分の社会保障費が必要になります。

現行の社会保障費をあてること、税率を上げることなどによる財源の確保も考えられていますが、いまだに解決策は出されていない状態にあります。

筆者の意見としては、相続税率の引き上げは比較的合理的な選択肢の一つになりうると考えられます。
現在、60歳以上の高齢者世帯(1.5人)の平均貯蓄額は約1,600万円、65歳以上の人口は約3,500万人であるため、一人当たりの貯蓄額は約350兆円という計算になります。
この貯蓄にかかる相続税率を高めることで、眠っていた財産をベーシックインカムという形で市場に再分配し、経済を活発化することができると考えられます。
※内閣府調べ(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_2.html

また、相続税以外にも消費税率の引き上げによる財源の確保という案もあります。
仮にベーシックインカムの支給額を10万円にし、消費税率を現在の8%から20%に引き上げるとします。
その場合、月20万円の消費が見込まれる人の納税額は4万円、つまり6万円のお釣りが来ますが、一方、月50万の消費が見込まれる人の納税額は10万円、つまりプラスマイナスゼロという計算になります。

このように消費税率の引き上げによる財源の確保は一見すると累進課税的な平等さがあるように見えます。
しかし、上記の貯蓄に関する観点で見ると65歳以上の高齢者が毎月50万円以上の消費をすることは考え難く、むしろこれにより高齢者の貯蓄額がさらに多くなる、つまり市場に出回るお金がさらに少なくなり経済の停滞を加速してしまう可能性があると考えられます。

2.勤労意欲の減退
ベーシックインカムによって働かなくても最低限の生活ができるようになるため、「お金がもらえるなら、自分で働かなくてもいいや」と感じる方は増えるでしょう。

しかし、ベーシックインカムで支給される額はあくまで必要最低限の生活ができる程度です。

つまり、「月収10万円の人が10万円の支給を受けて、働かずにギリギリの生活で満足する。」はたまた「月収100万円の人が10万円の支給を受けて、働かずにギリギリの生活で満足する。」ということはなかなか現実的ではなく、ベーシックインカムがあるから働かなくなるというのは一部の限られた人たちに留まるのではないかと考えられます。

しかし、学生などの生活費以外の目的で働いている人は働く必要がなくなるため、アルバイトによって、成り立っているサービス業や飲食業は深刻な人材不足に陥るかもしれません。

2.ベーシックインカムの導入

最近の象徴的な出来事として、希望の党がベーシックインカム導入についての公約を掲げたということがあります。
これまでベーシックインカムの支持母体となる組織がなかった日本において、これは非常に前向きな出来事であったと言われています。
また、ベーシックインカムの導入により従業員の生活が保障されるため、企業が人材雇用をより柔軟に行えるようになるという意見があり、IT業界を中心にベーシックインカムを後押しする動きはどんどんと活発になっていくことが予想されます。

筆者としては2020年に東京オリンピックが終ることによる経済の鎮静化、またAIがより推進されることに伴い遅くても2025~2030年頃にはベーシックインカムが(試験的にも)実現するのではないかと思います。

3.ベーシックインカムがある生活

最後にベーシックインカムを試験的に経験した、ある対象者の生活がどのようなものだったのかご紹介致します。

■氏家幸大さん (28歳)
・半年前、会社を辞めました。
・夢は、アフリカで気象観測のデータを提供する会社を作ることで、現在は毎月10万円で生活しながら、今は観測用のグライダーの開発に取り組んでいます。
・生活の心配がなくなったため、やりたいことに取り組むスピードが加速。念願のアフリカに行き、現地調査も始めました。
・お金の心配に集中せずに、自分のやりたいことに集中して活動できるのが、一番大きなところです。
・最終的には、アフリカのサブサハラ地域に気象観測機器を2万か所以上設置したいと思っています。

4.まとめ

「働かなくても、お金がもらえる。」
そんな夢のような制度が現実味を帯びてきました。

転職や起業のリスクが減り、自分の可能性を伸ばすことができる人もいれば、目の前の欲に溺れ、ただ消費してしまうだけの人もいるかもしれません。つまりは、ベーシックインカムがあってもその使い道は変わらず自分次第ということです。

あえて、冒頭での質問をもう一度します。

「来年からすべての国民に毎月10万円を給付します。」
もし政府から突然このような発表を受けたら、あなたはそのお金をどのように使うでしょうか?