IT・ビジネス知識

Society5.0(ソサエティ5.0)の目的をわかりやすく解説

更新日 2023/12/12

Society 5.0とは、日本が提唱する未来社会の姿です。いずれ諸外国が直面するであろう課題にいち早く取り組み、経済成長と社会的課題解決の両立を目指す仕組みでもあります。
ここでは、Society5.0の目的や解決しようとする課題、それを支える技術、分野別の事例を紹介します。

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society 5.0 とは

Society 5.0とは

まずは、Society 5.0がどのような社会なのかを見ていきましょう。

Society 5.0が示す新しい社会とは

Society 5.0は、これから日本が目指していく新しい社会像です。2016年1月22日に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」で策定されました。具体的には、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」とされています。
サイバー空間とは、コンピューターやネットワークを基盤として構築される仮想空間です。フィジカル空間とは、自分の体が存在する現実空間です。この2つの空間を上手に組み合わせて、経済発展と社会的課題の両方を解決する仕組みを備えた社会だといえます。
1990年代に、日本にインターネットが広まり始めてから約30年が経過しました。現在では、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ロボットなどが次々と開発されています。日常生活でも、徐々にそのような製品やサービスに触れる機会が増えています。

経済成長と社会的課題解決の両立

Society 5.0が目指しているのは、経済成長と社会的課題解決の両立です。経済成長なくして経済的に豊かな生活は営めません。しかし、経済成長していれば、自動的に社会的課題が解決されるものでもありません。
日本には目下の課題として、少子高齢化や地方の過疎化、貧富の格差などがあります。それに加えて、SDGsのように、地球規模で社会的課題を考えていこうとする機運が高まっています。
こうした中で、それぞれの分野で取得されたデータを人間が分析して新しい価値を作っています。しかしこれからは、デジタルテクノロジーを活用し、膨大なデータをAIが分析して新しい価値を提示し、人間が価値を選択する社会に変わろうとしています。

Society1.0から4.0を経て5.0へ

Society1.0から4.0を経て5.0へ

Society 5.0になるには、1.0から4.0までの経緯があります。簡単に説明しましょう。

  • Society 1.0:狩猟社会
  • Society 2.0:農耕社会
  • Society 3.0:工業社会
  • Society 4.0:情報社会
  • Society 5.0:新しい社会

Society1.0から3.0まで

Society1.0は、狩猟社会です。空腹を満たすために野生動物の狩猟・捕獲や木の実・貝などの採集をしていた時代です。この時代には食糧確保のためにチームが組まれていたとされています。人類が誕生したといわれる20万年前から始まりました。
続くSociety2.0は、農耕社会です。縄文時代にはすでに農耕が始まっていたとされています。今から約3000年前といわれています。
そこから進んでSociety3.0の工業社会になるのは、18世紀後半にイギリスで起こった産業革命がきっかけです。日本では、19世紀半ばから20世紀の初頭にかけて紡績工場が次々と誕生したことを皮切りに、工業が盛んになりました。

Society4.0から5.0へ

そして、現在はSociety4.0情報社会です。1960年代にアメリカで始まった情報通信ネットワークの研究からインターネットが誕生したといわれています。日本で初めてインターネットプロバイダーが設立された1992年から、インターネットは瞬く間に普及していきました。PCに加えて、タブレットやスマートフォンが登場したことで、ネットワークに接続することは、今や日常的なことです。
そして今、情報社会から新しい社会Society 5.0へと歩み出そうとしています。そこには社会の進化にともなって顕在化してきた課題があります。次章では、Society 5.0が解決しようとしている課題を見てみましょう。

Society 5.0が解決しようとしている社会的課題

現在の情報社会が抱えている社会的課題には、以下のようなものがあります。

  • 温室効果ガス排出の削減
  • 食料の増産や食品ロスの削減
  • 持続可能な産業化の推進
  • 地域間格差の解消
  • 少子高齢化による社会コスト増加の抑制

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

温室効果ガス排出の削減

温室効果ガスは地球温暖化の主な原因のひとつとされ、異常気象や大規模な災害を引き起こしています。
気象庁によると、世界の気温は100年あたり0.73℃上昇しているとしています。特に、1990年代半ば以降、高温になる年が増えているという事実があります。 異常気象を引き起こす原因は、長期的な気温上昇です。具体的には、海面上昇や洪水、豪雨、水害によるインフラの停止、熱中症、干ばつなどによる水や食料不足、生態系の損失など、課題はさまざまです。
温室効果ガス排出の削減は、地球規模の課題です。2016年に発効したパリ協定に基づいて各国が取り組んでいます。二酸化炭素やフロンガスが温室効果ガスとしてよく知られていますが、そのほかにもメタンや一酸化二窒素があります。そのいずれもできるだけ早く、かつ継続的に削減することが必要です。

食料の増産や食品ロスの削減

食料問題も解決しなければならない課題のひとつです。日本は少子高齢化が課題ですが、インドやアフリカなどでの人口増を受け、2022年11月に世界の人口は80億人を突破しました。
人口の増加には、食料増産という課題がついて回ります。2021年の時点で、その日の食料に困っている飢餓人口は、世界中で8億人を超えています。2020年の新型コロナウイルス感染症による影響を受け、1億5000万人急増したともいわれています。気球温暖化による干ばつや豪雨、農地開拓による森林減少という課題とも関連しています。
そのような状況の中、日本でも食品ロスの問題が注目を集めるようになっています。食品ロスとは、まだ食べられるにもかかわらず廃棄される食品のことです。日本では、2020年の食品ロスが522万トンと推計され、2020年に世界中で飢餓に苦しむ人々に対して行われた世界の食料支援の総量420万トンを超えています。

持続可能な産業化の推進

温室効果ガスや食料などの課題を克服するためには、持続可能な産業化が欠かせません。目先の利益にとらわれ過ぎて、地球環境や社会、労働者を犠牲にするのではなく、それらを守りながら長く共存できるような産業へと変化していかなければなりません。
そのためには、原材料や素材、製造方法、輸送、販売方法、利用方法にいたるまで、見直す必要が生じることもあるでしょう。SDGsでも同じことが叫ばれ、社会全体で行動を変えていくこと(行動変容)や、あらゆる関係者が一体になって取り組んでいかなければならない課題だとしています。

地域間格差の解消

世界には、豊かな国と貧しい国があります。1割の富裕層が8割の富を所有する世界ともいわれます。地域格差の解消は重要な課題です。
日本に目を向けると、国内にも地域間格差があることに気づきます。所得の上位は東京や愛知、大阪などの大都市圏です。高い所得の働き口を求めて都市部に人口が集中し、地方から都市への人口移動は続いています。特に、若年層の流出が目立ちます。
物価や生活費、住環境を含めた生活環境などの違いもあるため、所得や人口だけで一概に比較はできませんが、地域間格差の要素となる産業や雇用、人口などの格差を解消することは重要な課題です。

少子高齢化による社会コスト増加の抑制

少子高齢化による社会コスト増加という課題の解決も重要です。日本は、世界の国々の中でも少子高齢化が進んでいる国のひとつです。内閣府の『令和4年版高齢社会白書』によると、日本の高齢化率は28.6%で、人口の3.5人に1人が65歳以上ということになります。
なお、アメリカは16.6%で、中国は12.0%です。また別の統計では、2位がイタリア(23.6%)、3位がポルトガル(23.2%)、フィンランド(23.0%)、ギリシャ(22.6%)と続きます。
高齢化は寿命が延びているという喜ばしいことでもありますが、その一方で医療や介護、年金などの社会コストも増加します。医療や介護については、人手不足も深刻な問題です。人口ピラミッドがほぼ逆三角形のまま推移すると予測されている現状で、このようなコストをどのように抑制するかは、緊急の課題といっても過言ではないでしょう。

Society 5.0を支える技術

ここで一旦、Society 5.0を支える技術を見ておきましょう。前章で触れた解決すべき課題にテクノロジーがどのように貢献するか、またすでに日常生活にどれだけ浸透しているか理解しておきましょう。

Society 5.0を支える技術

IoT

IoT(Internet of Things)とは、モノをインターネットに接続し、そのIoT機器のセンサーからデータ収集できるようにしたり、スマートフォンなどから遠隔操作できるようにしたりする仕組みです。モノのデータ化や処理の自動化を進めます。
具体的には、バス・タクシーなどの位置情報を取得できるシステム、リアルタイムに生産状況を管理・把握できるようにする製造機器や高齢者の転倒など住宅内での事故を知らせる住宅設備、スマートフォンから遠隔操作できるエアコン・浴室用給湯器などのスマート家電です。話しかけて使うスマートスピーカーもIoTの代表といえます。

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IoT市場が活発です。2016年に1.4兆ドルといわれていた、IoT市場は2020年には3兆ドルを超えるとも予想されており、AppleやGoogle、Facebookといった、世界的に有名なIT企業も相次いで参入しています。
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しかし、IoTとはいったい何なのでしょうか。定義や事例などから、今後の動きや将来性についてまとめてみました。

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ロボット

ロボットは、産業用ロボットからサービスロボットへと幅が広がりつつあります。工場内の生産ラインで組み立てなどに使われる産業用ロボットはよく知られているでしょう。こちらは、同じ作業を正確に繰り返す自動化が狙いです。
サービスロボットは、人間と協働するという点で、従来の産業用ロボットにない、複雑で立体的な動きを必要とします。例えば、ホテルのフロント(受付)ロボットや空港の案内ロボット、医療や生活支援ロボットなどです。
身近なところでは、駅の清掃ロボットや手荷物運搬ロボット、ショッピングモールでは案内ロボット、飲食店では配膳ロボットなどが活躍しています。

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AI(人工知能)

AI(Artificial Intelligence 人工知能)は、コンピューターの技術を使ってデータを分析し、最適解を見つけ出すという人間の知的活動を再現するものです。大量のデータを使って学習させ、正確さを向上させることもできます。
外国語の翻訳や医療での画像診断、自動運転などは、AIの活用事例です。囲碁や将棋のようなボードゲームやカードゲームなどに加えて、コンピューターと対戦できるゲームにはAIの技術が使われています。
近年では、Webサイトやアプリで、質問に答えるチャットボットを見かける機会が増えました。閲覧履歴・購入履歴からおすすめを提案したり、自分の写真や好みを入力すると似合う色や服などを診断してくれたりするサービスもあります。

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ビッグデータ

ビッグデータとは、人間が全部を把握するのが難しいほど膨大なデータ群です。量的にも質的にも豊富なものとされ、一般的には、量(Volume)、種類(Variety)、速度または頻度(Velocity)という3つのVを備えている必要があります。
前述したWebサービス分野での閲覧履歴や購入履歴は、すでにビッグデータの活用が始まっている分野です。ほかにも、SNSの利用履歴や音楽・動画といった配信サービスの利用履歴、店舗のレジ情報(POSシステム)、GPSやICカード、スマートフォンなどからの位置情報もあります。オフィスで利用されるシステムやメールなどのデータ、顧客情報、取引情報など、ビッグデータにはさまざまな情報が含まれます。
従来、それぞれの分野ごとに取得されていたデータを統合し、AIと組み合わせることで、新しい価値を生み出すことがビッグデータの真価といえるでしょう。

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【分野別】新しい価値の事例

ここでは、Society 5.0で提供される新しい価値について詳しく見ていきましょう。

防災

Society 5.0での防災は、災害の被害を軽減し、被災者の安全確保に必要な情報を素早く届け、1日も早く復興へと向かえるようになります。防災上の課題には、次のようなものがあります。

  • 迅速な救助
  • 被災地への救援物資配送
  • 避難情報の提供

防災の新しい価値

災害が発生した際、人が立ち入ると危険な場所には救助ロボットが出動します。アシストスーツを着た救助隊は、スーツの力で重量のあるものでも動かすことが可能です。救援物資を車で配送できない被災地の場合、ドローンが配送し、車が通れる場所であれば、自動配送車が届けます。避難所がわからない人には、個人のスマートフォンに避難情報を提供し、最寄りの避難所まで道案内できるでしょう。

  • 救助ロボットやアシストスーツによる迅速な救助
  • ドローンや自動配送車による救援物資の配送
  • 被災者が安全に避難するための情報提供(スマートフォン)

人工衛星や地上の気象レーダー、ドローンによる被災地の観測データ、建物に備えつけられたセンサーからの被害情報などの情報を含むビッグデータをAIで解析し、上記のような解決策を可能にします。

エネルギー

Society 5.0では、家庭や地域、災害時のエネルギーの安定供給に加えて、温室効果ガス排出の削減が期待できます。現在の課題には、次のようなものがあります。

  • 被災時のエネルギー供給
  • 需要に応じた安定供給
  • エネルギー不足の可能性
  • 地球温暖化問題

エネルギーの新しい価値

Society 5.0では、気象情報や発電所の稼働状況、家庭でのエネルギー消費量、EV(電気自動車)充電器の使用状況などを含むビッグデータをAIで分析することにより、以下のことを可能にします。

  • 気象予測や需要予測などを組み合わせた的確なエネルギー需要の予測と安定供給
  • EVや水素製造によるエネルギーの地産地消
  • 家庭でのエネルギー節減につながる消費状況のお知らせ

夏や冬にはエネルギー消費量が上がります。天気も大きく影響しますので、気象予測や発電量を組み合わせて、エネルギーの過不足を調整できるようになるでしょう。EVが広まって各家庭で太陽光発電するようになれば、仮に大型の発電所が一時的に停止したり、被災地にエネルギーを融通したりしても、大きな問題になりにくくなります。家庭のエネルギー消費量とその内訳、料金がわかるようになれば、エネルギー消費に対する意識が変わってくるでしょう。

農業

Society 5.0は、農業従事者の高齢化や人手不足にも大きな変革をもたらします。農業の課題は、次のとおりです。

  • 生産者の高齢化と人手不足
  • 天候への対応

農業の新しい価値

このような課題をスマート農業へと大きくシフトすることで解決します。

  • 作業の省力化と生産力の向上
  • 市場のニーズに対応した生産・出荷

生産現場では、トラクターやコンバイン、田植機、追肥、水量調整などが自動化され、ドローンによって作物の生育状況が自動的に把握できるようになります。収穫された作物は、自動配送で販売先へと出荷されます。
精度の高い気象予測から次の作業や日照り、台風などの気候の変化に備えることも可能です。食のトレンド・ニーズや市場での価格、作物の育成情報などを含むビッグデータをAIで解析し、生産計画を立てられるようになります。

食品

食品分野では、食品ロスやアレルギー対応を解決します。健康寿命をのばして高齢者の社会的コストを抑制する効果も期待できるでしょう。今ある主な課題は次のとおりです。

  • 家庭や店舗での食品ロス
  • 自分の健康状態に合わせた体によい食品がわからない
  • アレルゲンが含まれているかわかりにくい

食品の新しい価値

Society 5.0では、家庭の冷蔵庫内の食品情報や店舗の在庫情報、市場情報、個人のアレルギー情報、食品の原材料、添加物などの情報、などのような情報を含むビッグデータをAIで解析することにより、以下のように解決します。

  • 家庭の食材管理(冷蔵庫の食材表示)やメニュー提案
  • 市場トレンドに基づく店舗の仕入れ管理
  • アレルギー情報や添加物などを店頭での購入時にデジタルデバイスで閲覧可能にすることによる食の安全向上

食品ロスの約半分は家庭からとされていますので、買い過ぎないことや使い切ることに役立ちます。また、健康維持のため、注意しなければならない食品は人によって異なります。食品のアレルギーや添加物などの情報が買うときにスマートフォンなどで詳しく確認できれば、食の安全につながります。

ものづくり

ものづくりにおいては、以下のような課題を解決し、顧客満足度を向上させることが可能です。

  • ニーズの多様化
  • 過剰在庫の発生
  • 人手不足

ものづくりの新しい価値

これまで以上に産業用ロボットの導入が進みます。消費トレンド・ニーズに加えて、サプライヤーの在庫情報、メーカーの生産状況、配送情報などを含むビッグデータをAIで解析し、原材料と生産、供給の連携をスムーズにします。

  • 産業用ロボットやAIの活用による省人化
  • ニーズに基づく多品種少量生産
  • 適正在庫の維持
  • トラック隊列走行(自動運転)による効率的な配送

サプライヤーやメーカー、配送業者のいずれにとっても、在庫過多は大きな課題です。顧客や消費者のニーズを捉えた製品を作り、店頭での販売の機会を逃さないようタイムリーに配送することで在庫過多を解消します。

医療・介護

医療・介護の分野では、医療費や介護費などの社会コストの抑制と人手不足を解決します。現時点では、次のような課題があります。

  • 医療従事者の人手不足
  • 介護を必要とする人への生活支援

医療の新しい価値

医療・介護ロボットや自立した生活を送りたい人向けの生活支援ロボットが普及します。個人の心拍や血圧、血糖値などの生理計測データがリアルタイムに収集され、感染症などを含む医療情報や診察機関の混雑状況といった情報を含むビッグデータがAIによって解析されます。

  • 医療や介護の現場でのロボット支援
  • 患者に対する適正な治療の提案
  • 日常的な生理データ計測による異常や病気の早期発見

AIによる診断のアシストや日常的なデータ収集による病気の早期発見は、早期治療やすみやかな回復につながります。医療や介護の社会コストを抑制する力となるでしょう。

交通

交通分野では、温室効果ガス排出の削減や地方の活性化に寄与します。現状の課題を見てみましょう。

  • 交通機関の混雑や道路の渋滞
  • 車いすでの移動

交通の新しい価値

自動運転技術が進んで、車に運転を任せられるようになります。自動車に搭載されたセンサーからの情報や各種交通機関の混雑情報、天気、宿泊、食事、観光地などの情報を含むビッグデータをAIで解析し、事故や渋滞を避けたスムーズな移動が実現します。

  • 自動走行により運転の負担を軽減
  • 目的地までの最適な移動手段を提案
  • 自立型車いすによる移動支援で同行者の負担を低減

移動と観光情報が一体になれば、空いているところを狙って観光を楽しめるようになったり、天気によって移動先を提案してもらったりすることもできるでしょう。

スマートシティ(自治体)

スマートシティとは、Society 5.0を支える技術を先行して活用し、その地域が抱える課題の解決を目指している都市のことです。
具体的には、医療機関や商業施設を集めて利便性を向上させたり、地域で収集した防災や交通のデータを公開したり、市民参加型のまちづくりのために行政情報アプリがリリースされたりしています。
国内にはすでにいくつもの事例があります。 代表的なスマートシティは、以下のとおりです。

ここにあげたものは、事例の一部です。自治体によって、現在は準備中または検討中ということもあるでしょうが、プロジェクトが行われている上記の都市から、スマートシティは徐々に周辺へと広がっていくでしょう。

Society 5.0の課題

ここまでSocitey5.0が目指す未来像についてご紹介してきました。日本が理想的な未来へ近づくためには、Society 5.0の実現に向けて改善しなければならない課題があります。最後に、その点に触れておきましょう。主な課題は、次のとおりです。

  • 技術的な問題
  • インフラの整備
  • セキュリティシステムの構築

技術的な問題

Society 5.0に代表される技術のひとつにAIがあります。しかし、残念ながら、日本のITテクノロジーは世界の先端を行っているといえません。ITテクノロジーの研究に対する予算不足や人材不足がかねてから指摘されています。

インフラの整備

インフラでは、通信速度やデータセンターの問題があります。日々収集されるデータは高速に処理されることが求められます。集めたデータを管理・保管しておく場所も必要です。AI自体もコンピューターのプログラムですから、一連の処理を行える能力を備えたコンピューターが不可欠といえます。

セキュリティシステムの構築

ビッグデータは、多種多様なデータの集まりです。その中には、個人情報や事業のノウハウなど、機密情報も含まれています。そのような情報が流出すると大変です。プライバシーや利権を守りながら、活用していくためのセキュリティシステムが構築されなければなりません。
しかし、技術的な問題が解決されれば、ここで取り上げたSociety 5.0の実現は、すぐそこまで来ているといえるでしょう。

まとめ

Society 5.0とは、日本の近未来図です。一歩ずつ前進し、近づきつつある現実だといえます。日本が世界に先駆けて提唱する未来社会を実現できるよう、私たち一人ひとりが協力していきましょう。

 

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