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ITパスポートとは?資格取得のメリットや合格率・魅力などを解説!

更新日 2024/11/18

ITパスポートとは、近年注目を集めている情報処理技術者の入門ともいえる資格です。試験開始から10年超で受験者数は110万人を超えました。企業や大学などへの導入も進んでいます。ここでは、ITパスポートの概要やメリット、合格率、出題範囲、受験までの流れについてお伝えします。

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ITパスポート とは

ITパスポートとは

ITパスポートとは、IPA(情報処理推進機構)が実施し、経済産業省によって認定される情報処理技術の国家資格です。国家資格として初めてコンピューターを使って回答するCBT試験が導入されたことでも知られます。近年、受験者数が伸びている人気の資格で、合格すれば更新の必要はありません。

ITの基本的な知識はもちろんのこと、経営などについても学べることが特徴です。従来の情報処理技術者のように専門的な内容ではなく、ITを利用するすべての人が身につけておきたい情報技術の基礎が学習対象となっています。

情報処理技術者試験のひとつ

ITパスポートは、10種類以上ある情報処理技術者の資格の中のひとつです。情報処理技術者という資格は、情報技術の発達にともなって、随時追加・統合されてきました。現在では、アプリケーションやデータベース、システム開発、ネットワーク、情報セキュリティなどの資格試験があります。

情報処理技術者試験は体系化され、ITを利用する人から、情報処理技術の基本、応用、専門分野までを広くカバーしています。その中でもITパスポートは、もっともユーザー寄りとされる比較的取得しやすい国家資格といえます。

ITパスポートが新設された理由

ITパスポートは2009年からスタートした比較的新しい資格です。これからの社会では、どのような業種や職種にもITを利用する力が必要とされることから新設されました。昨今では、IT利用は情報技術の専門家などに限られたことではなく、一般的な会社の従業員にも必要とされることになってきています。

そのようなニーズの変化を受けて、2009年の試験制度改定の際、初級シスアド(システムアドミニストレータ)が廃止された一方で、新設された資格がITパスポートです。実用的な資格として、社内研修や採用時のエントリーシートへの記入が求められるなど、利用される機会が増えています。

ITパスポートを取得するメリット

次に、ITパスポートがどのようなシーンで役立つのか見ていきましょう。主なメリットは5つあります。

  • ITユーザーとして基本的な知識が学べる
  • ITだけではなく幅広い知識を習得可能
  • 在学中の合格で単位認定されることも
  • 社内での評価向上や昇格要件を満たすことも
  • 体系的な資格構成でキャリアアップが可能

ITユーザーとして基本的な知識が学べる

現在は、ITとまったく関わらない生活を送るほうが難しいといえるでしょう。ITを利用するユーザーとして、基本的なITの知識を学べるのがメリットといえます。日常的に見聞きするIT用語の意味や自分が何気なく使っているアプリやシステムに、どのようなITテクノロジが採用され、何ができるかが分かるようになります。

ITデバイス(機器)やサービスについても理解が深まります。セキュリティについても学習可能です。インターネット利用時の注意や万が一の際の対処法を知っていれば、より快適にインターネットを利用できるようになるといえるでしょう。

ITだけではなく幅広い知識を習得可能

ITに加えて、経営や管理の仕事についても学べます。経営戦略をどのように立案するのかや業務をどのように管理するのかについて知っていれば、ITの知識がすぐに役立ちます。

著作権や個人情報の取り扱い、不正アクセスなどの情報倫理は、IT利用が当たり前のようになったからこそ、知っておきたい知識だといえるでしょう。

また、数字や理論で構成されるITテクノロジの世界を理解するために必要とされる、論理的な考え方(ロジカルシンキング)についても学べます。

在学中の合格で単位認定されることも

近年では、在学中に合格すると、単位として認定する学校が増えています。これから社会人になる学生にも有益だと判断されているからでしょう。

ITパスポートの試験対策講座を開講するなど、在学中の受験を推奨するのはもちろんのこと、合格をすることで単位と認定したり、受験者や合格者に一部受験料を補助したりする学校もあります。AO入試や推薦入試で、資格取得者を優遇する学校もあります。

社内での評価向上や採用時のアピールも

仕事への活用や就転職時にアピールできることも、ITパスポートを取得するメリットのひとつです。仕事では、学習した知識を業務に活かして周囲からの評判が高まったり、人事評価上で業績評価が向上したり、資格手当が支給されたりします。昇格要件のひとつとする組織や企業もあります。

新卒採用ではエントリーシートへ入力を求める企業が増えていますし、中途採用では履歴書・職務経歴書に記入されていれば注目されるでしょう。企業内での評価や昇格、給与に直結するため、採用時に取得していればプラスに働くはずです。

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体系的な資格構成でキャリアアップが可能

情報処理技術者試験は、ITパスポートのように学生からビジネスマンまでも対象とするものから、IT技術者としての入門やシステム監査技術者のように高度な知識と技術が求められる専門的なものまで、体系的に構成されています。

情報処理技術者の認定制度が発足したのは1969年で、その歴史は半世紀以上です。当初はエンジニア向け5種類の資格試験から始まり、現行の制度では、ユーザー向け2種類とエンジニア向け11種類の計13種類になっています。

ITユーザーとしてステップアップしたいなら、ITの基礎となるITパスポートの次に、ITの安全な利用に欠かせない情報セキュリティマネジメント試験へ進みましょう。

情報処理技術者のスペシャリストを目指すなら、まずは基本情報技術者試験と応用情報技術者試験を取得します。さらに、システムの運用保守やシステム開発、ネットワーク構築、システム監査、ITコンサルタントなどに役立つ資格を取得することで、キャリアアップが可能です。

ITパスポートの出題範囲と試験内容

ここでは、ITパスポートの出題範囲と試験内容を見ていきます。出題は、「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」の計3分野からです。

出題範囲一覧表

ストラテジ系 企業と法務 企業活動
法務
経営戦略 経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
システム戦略 システム戦略
システム企画
マネジメント系 開発技術 システム開発技術
ソフトウェア開発管理技術
プロジェクトマネジメント プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント サービスマネジメント
システム監査
テクノロジ系 基礎理論 基礎理論
アルゴリズムとプログラミング
コンピューターシステム コンピューター構成要素
システム構成要素
ソフトウェア
ハードウェア
技術要素 情報デザイン
情報メディア
データベース
ネットワーク
セキュリティ

ストラテジ系

ストラテジ系は、経営全般が出題範囲です。ストラテジ(Strategy)とは、英語で戦略を意味します。企業活動や経営とは何かというビジネスの基本を問われる部分だといえるでしょう。

企業活動と法務

「企業活動と法務」では、IT利用の動向や業務上の課題解決方法、データを使っての分析方法や業務改善方法、会計や財務などの基本的な知識や考え方などが出題範囲です。知的財産権やセキュリティ、労働に関する法律も対象です。コンプライアンスなど情報面での倫理観やソフトウェアライセンスの考え方・特徴を理解しているかなども含まれます。

経営戦略

「経営戦略」で問われるのは、経営戦略と技術戦略のマネジメントという観点から、戦略立案の基本的な考え方や立案の手法、戦略の必要性などを理解しているかです。ビジネスインダストリでは、よく使われているシステムやAI、IoTなどについても出題されます。

システム戦略

「システム戦略」で求められるのは、システム戦略と企画に対する理解です。情報システム戦略の目的や意義、効率的なコミュニケーション、業務の自動化、ソリューションビジネスの考え方などについて聞かれます。システム企画時の要件定義なども欠かせません。

マネジメント系

マネジメント系の出題範囲は、管理の仕事です。開発技術やプロジェクトマネジメント、サービスマネジメントなど、システム開発や管理について問われます。

開発技術

システム開発は、どのようなシステムが望まれているのかという顧客へのヒアリングに始まり、設計、プログラミング、テスト、運用保守などの一連の流れがあります。「開発技術」で問われるのは、このようなシステムやソフトウェアの開発・管理方法についてです。

プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント

「プロジェクトマネジメント」と「サービスマネジメント」では、それぞれのマネジメントの目的や意義、考え方、プロセスなど、管理という仕事に対する理解が問われます。それに加えてサービスマネジメントでは、サービスデスク(ヘルプデスク)やシステム監査も出題対象です。

テクノロジ系

テクノロジ系は、IT技術について問われます。具体的には、コンピューターやソフトウェア、ネットワークなどの仕組みです。

基礎理論

「基礎理論」では、2進数や演算などの基本的な考え方に加えて、確率や統計などについても出題されます。ビットやバイトなど情報量の表し方などの基本やアルゴリズム、プログラミング言語の役割と種類、特徴なども同様です。

コンピューターシステム

「コンピューターシステム」を構成するのは、コンピューター構成要素とシステム構成要素、ソフトウェア、ハードウェアの4項目です。コンピューターやシステムは、どのような要素(部品・機器)や機能を持ち、どのような仕組みで動いているかが問われます。

技術要素

「技術要素」は、情報デザイン、情報メディア、データベース、ネットワーク、セキュリティの5つからなります。情報デザインでは、情報の見やすさや探しやすさを、情報メディアでは、音声や静止画、動画、AR、VRの仕組みや特徴について聞かれます。データベースの仕組みや基本的な考え方も範囲です。

ネットワークやセキュリティでは、現在の商品やサービスを支えている技術や仕組みに加えて、情報セキュリティの仕組みやサイバー攻撃、情報漏洩のリスクについて理解しているかが求められます。

ITパスポートの合格率と難易度

ITパスポートの合格率と難易度について見ていきましょう。社会人と学生の合格率の違いなどもご紹介します。

受験者と合格者数

ITパスポートは2009年の春季に試験が開始され、2021年11月までに累計で約112万人が受験しています。年間平均受験者数は10万人超です。2019年に年間受験者数が10万人を突破し、2020年には13万人、2021年には21万人と受験者数が増えています。

平均合格率は51.3%で、受験者の2人に1人が合格できる資格試験だといえるでしょう。合格率は、CBT試験開始当初は40.7%と低めでしたが、この数年は50%以上です。しかし、社会人と学生では、合格率が異なります。

社会人と学生で異なる合格率

社会人の平均合格率は57.3%、学生の場合は39.8%で、17.5%という差異があります。これはITパスポートが、企業活動や経営、マネジメントというビジネスの基本を多く含んでいるからでしょう。

なお、社会人の中でもIT系と非IT系で合格率を比べると、IT系が54.3%で非IT系が58.0%と、非IT系のほうが高い合格率を示しています。このことからも、ITの知識や技術に加えてビジネスにITをどのように活かすか、という視点が求められる資格です。

ITパスポート試験の申し込みと受験までの流れ

ITパスポートの試験申し込みと受験までの流れに加えて、学習時間の目安とポイントをお伝えします。試験概要については、末尾の表をご覧ください。

申し込みから受験までの流れ

試験申し込みから受験までには、大きく3つのステップがあります。「利用者ID登録」「受験申し込み」「受験」です。

  1. (初めての場合)利用者IDとパスワードを登録する
    登録にはメールアドレスが必要です。携帯電話キャリアのメールアドレスは迷惑メールの設定によって受信できないメールがあるため、注意しましょう。
  2. 試験会場と日程、受験料の支払い方法を選択し申し込む
    支払い方法は、クレジットカードとコンビニ店舗での支払い、バウチャー(次章で詳しく解説します)の3つです。支払いが確認されると、確認票がダウンロードできるようになります。試験当日に必要ですので、早めに済ませておきましょう。
  3. 確認票と顔写真のある本人確認書類を用意し受験する
    試験当日は、確認票と顔写真のある本人確認書類が必須です。受験を終えてから数時間で結果が出ますので、試験結果レポートをダウンロードしましょう。合格発表は受験翌月の中旬です。

バウチャーならスコアが可視化される

バウチャーとは、ITパスポートの受験料支払いに利用できる電子チケットです。個人でも団体でも利用でき、1枚から購入できます。ただし、受験に不可欠な利用者IDとは別に、バウチャー購入用のIDを作成しなければなりません。

バウチャーでの支払いを選ぶと、各分野のスコアが詳しくわかります。有効期限は1年です。社会人や学生の平均と受験者(または受験団体)の成績が一覧表とレーダーチャートで表示されるため、成績の比較もできます。

合格証書について

ITパスポートでは、合格証書が簡易書留で郵送されます。合格証書の氏名などに間違いがないか事前に確認しましょう。利用者ID登録時に正式な漢字で登録できなかったなどの理由から、氏名の表記修正が必要な場合、メールか郵送のどちらかで変更依頼が可能です。

いずれの方法でも、申し込み期限がありますので、定められた期間内に手続きを終えるようにしましょう。なお、合格証書は再発行されません。

学習時間の目安

ITパスポートに合格するには、目安として約100~150時間の学習が必要だとされています。出題範囲の3分野(ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系)には、9つの項目が含まれていますので、それぞれに約10時間超という概算です。

苦手分野がある場合は、そこを中心に問題を解いていきましょう。よく出題されるのは、ストラテジ系では法務や企業活動、経営戦略マネジメント、マネジメント系ではプロジェクトマネジメント、テクノロジ系ではセキュリティ関連です。公式サイトに過去問題が公開されていますので、有効に活用しましょう。

ITパスポート試験概要

ITパスポート試験の概要は以下のとおりです。

試験時間 120分
出題数 100問
回答形式 CBTによる四肢択一式
出題分野 ストラテジ系:35問程度
マネジメント系:20問程度
テクノロジ系:45問程度
合格基準 1と2の条件を満たすこと
1 総合評価点600点以上/1,000点
2 各分野の評価点も300点以上/1,000点
受験料 7,500円(税込)
開催 随時
会場 全国

CBTが初めての方には、CBT疑似体験ソフトウェアが用意されていますので、受験までに慣れておきましょう。

まとめ

ITパスポート試験は、情報処理技術者の資格の中でも比較的取得しやすい人気の国家資格です。取得時点でのスキルの証明として活用することも、将来的にほかの情報処理技術者の資格を取得してスキルアップを狙うことができる点も魅力といえます。人気のITパスポートを取得して、仕事や就職に役立てましょう。

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