クラウドエンジニアとは?将来性やおすすめ資格、勉強方法を徹底解説
近年では多くの企業がクラウドサービスを利用しており、クラウドエンジニアを求めている現場も増えてきました。
クラウドエンジニアとして働くのであれば、仕事内容や必要なスキルを押さえた上で、資格試験などを通して知識を身につけていくことが大切です。本記事では、クラウドエンジニアの仕事内容や将来性、クラウドエンジニアになるためにおすすめの資格について解説します。
この記事の監修者
TECH STOCK エンジニアチーム
大川 勇
大手SIerでのキャリアをスタートし、ITベンチャーを経て、現職。基幹システム再構築、Webメディア、マーケティングツールの構築など幅広い支援実績をもつ。また、システムエンジニアとしてEDIシステム構築支援では、要件定義~構築~運用まで支援。現在は、エンジニア…
クラウドエンジニアの仕事内容
クラウドエンジニアとは、クラウドを活用してネットワークの設計・開発・運用・保守を行う仕事です。運用しているクラウドを最適化し、効率よく動作させられるように工夫することが求められます。
クラウドの利便性は、企業が自社内にサーバーやソフトウェアを持たずに運用できる点です。従来のオンプレミスによる運用では、社内で構築したサーバーを運用する必要がありましたが、クラウドにおいては、事業者が保有するサーバーを利用するため、自社にサーバーを置く必要がありません。
また、リソースを柔軟に拡張・縮小できる点も強みであり、企業の成長に合わせてリソースを追加したり、事業の縮小に伴ってリソースを削減したりと、コストの最適化にも役立ちます。クラウドサービスを利用したシステム運用は、業務効率化とコスト効率化の双方に貢献します。
クラウドエンジニアに必要なスキル
クラウドエンジニアとして活躍するためには、次のスキルが必要になります。
・クラウドの専門知識
・プログラミングスキル
・論理的な課題解決力
・コミュニケーション能力
ここでは、クラウドエンジニアに必要な上記の4つのスキルについて詳しく見ていきましょう。
クラウドの専門知識
クラウドエンジニアは、ユーザーが求めている商品やサービスに合わせて適切なクラウドサービスを選定する必要があります。
最近では多種多様なクラウドサービスが登場しているため、自社の要件を満たすクラウドサービスを正しく選定するだけでも、豊富な知識が必要です。クラウドの種類やサービス、運用方法など、幅広い知識と経験を身につけることが求められています。
また、グローバルな運用が当たり前になった昨今では、インターネットの国際規格などに関する知識を備えることも重要です。
オンプレミスの専門知識も身につけておくことが大切
クラウドにおけるシステム開発と、オンプレミスにおけるシステム開発には、実はそれほど構造上の大きな違いはありません。
自社でサーバーを構築し、その環境下でシステム開発を行うか、仮想空間上に開発環境を構築してシステム開発を行うかだけの違いであることから、クラウドエンジニアとして活躍するためには、オンプレミスの専門知識も身につけておくことが大切です。
クラウドの運用中に、OSやサーバーなどのハードウェア面や、ネットワークなどのインフラでトラブルが発生することも考えられるため、クラウドにこだわらず、多様な知識を身につけましょう。
プログラミングスキル
クラウドエンジニアとして働くためには、プログラミングスキルも必要不可欠です。
一般的に、クラウド環境におけるシステム開発ではシステムの構築業務を自動化するケースが多いです。この「システムの構築業務を自動化するプログラム」を構築する過程で、プログラミングを行う必要があることから、プログラミングスキルが求められます。
クラウドエンジニアが使うプログラミング言語はさまざまですが、JavaやJavaScript、Ruby、Pythonなどが比較的よく選ばれています。これらの言語は求人サイトでの募集も数多くあるため、クラウドエンジニアに限らず、IT業界に携わるエンジニアに広く人気があります。
論理的に課題を解決する力
クラウドエンジニアは、自社のクラウド環境を俯瞰的に捉えて、最適な開発環境を整える必要があります。そのため、論理的に課題を解決するための思考力が重要になります。
自社が抱えている課題やクライアントの悩みを的確に導き出し、クラウドを活用してどのように課題や悩みを解決できるのかを明確にする作業は、クラウドエンジニアの腕の見せ所です。
特に、システム構築や運用中に想定外のエラーを防止することは、円滑な経営と顧客満足度の向上において欠かせません。どのような設計をすれば安定的にシステムを運用し続けられるのかをロジカルに考えられる力は、クラウドエンジニアになくてはならないスキルです。
チームで円滑に取り組むためのコミュニケーション能力
オンプレミスのシステム開発と同様に、クラウドにおけるシステム開発でも、チームで業務を行う場面が多々あります。そのため、チームで円滑に取り組むためのコミュニケーション能力を身につけることは、プロジェクトを円滑に運用する上で重要です。
プロジェクトがどのようなタスクを抱えており、自身はその中でどういった役割を果たさなければならないのかを正確に理解しましょう。こまめにコミュニケーションを取りながら作業を進めることは、仕様違いや納期遅れなどの致命的なトラブルを回避するためのポイントになります。
クラウドエンジニアの市場
クラウドの市場が発展していくに伴って、クラウドエンジニアの市場も拡大しています。実際にクラウドエンジニアとして働くにあたり、年収や将来性はどのようなものか気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで、クラウドエンジニアの年収や将来性について、データも交えながら詳しく解説します。
クラウドエンジニアの年収
クラウドエンジニアの年収は、年齢や能力・スキルに大きく左右されます。年功序列ではなく成果主義を採用する企業も一定数あるため、一概に年収を言い切ることはできません。
ただし、多くの求人情報を参照すると、おおむね400〜800万円程度の年収に収まるケースが多いようです。これらの求人には、プロジェクトの1メンバーとして参画するものから、プロジェクトのリーダー格として参画するものまで広く含まれます。
2019年に政府が発表した「賃金構造基本統計調査」によれば、システムエンジニアの月額平均賃金は38万円でした。12か月分換算で年収456万円に年間賞与の112.9万円を加算する
と568.9万円になるため、クラウドエンジニアの年収は、平均的に高い水準にあると考えられます。
クラウドエンジニアの将来性
近年ではクラウドの利用が当たり前になりつつあり、多くの企業が何らかのクラウドサービスを利用しています。このような社会情勢の中、豊富なクラウド知識を持ったクラウドエンジニアが求められており、クラウドエンジニアの需要は高いと考えられます。
総務省の「令和3年 情報通信白書」によると、約7割もの企業が何らかのクラウドサービスを導入しています。このことからも、多くの現場でクラウドエンジニアが必要とされており、将来性が高いといえるでしょう。
クラウドエンジニアが描くキャリアパスとは?
クラウドエンジニアのキャリアパスには、主に技術職のキャリアパスとマネジメント職のキャリアパスの2種類があります。
技術職のキャリアパスとしては、クラウドエンジニアとしてのスキルを極めるクラウドスペシャリストや、ネットワーク・サーバー構築の専門家であるインフラエンジニア、よりクリエイティブなWebエンジニアなどが考えられます。
マネジメント職のキャリアパスは、クラウドを活用して企業や組織の課題を解決するクラウドコンサルタントや、プロジェクトを統括して進行管理や予算管理、クライアントとの折衝などを行うプロジェクトマネージャーなどを目指すことができます。
クラウドエンジニアとしての技術を活かしつつ、自身の市場価値を上げるためにも、早い段階からキャリアパスを描くことが重要です。
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クラウドエンジニアにおすすめの資格
クラウドエンジニアとしての価値を高めるなら、資格取得を目指して最新の知識やスキルを身につける方法がおすすめです。
ここでは、クラウドエンジニアにおすすめの3つの資格を紹介します。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家資格です。
ITの基礎知識を網羅できる試験となっており、これからIT人材として活躍していきたいと考えている人におすすめです。現場で働くエンジニアの受験者以外に、学生の受験者も一定数おり、現場経験がなくても合格を目指すこともできます。
将来的にクラウドエンジニアとして活躍していきたいと考えているものの、どこから学び始めれば良いのかわからないという人は、まずは基本情報技術者試験の取得を目指すのがおすすめです。
出題形式は選択式となっており、コンピューターを使ったCBT試験が採用されているため、最寄りの会場で受験でき、受験機会が多い点もメリットです。
Microsoft Azure認定資格
Microsoft Azure認定資格は、Microsoft社が公式に認定しているAzureの資格試験です。設定されている試験は全部で57種類あり、それぞれ初級、中級、上級の3つのレベルのいずれかに振り分けられています。
57種類の試験のうち、初級レベルに振り分けられているのは全部で9種目あります。その中で、特におすすめしたいのは下記の3種目です。
・Azure Fundamentals:AZ-900
・Azure AI Fundamentals:AI-900
・Azure Data Fundamentals:DP-900
これから初めてクラウドに触れる人や、Azureを学び始めたばかりの人は、上記の3種類からチャレンジすると良いでしょう。特におすすめなのは、基本的な知識を広く網羅できる「Azure Fundamentals:AZ-900」です。
Azure認定資格は、同社のクラウドサービスに関する知識やスキルを証明するMicrosoftの資格試験です。全部で27種類あり、難易度や役割によって分類されています。ここでは、どの資格を取得すればいいのかが分かるよう、資格試験の概要に加えて取得のメリット、難易度別資格一覧、学習方法についてお伝えします。
AWS認定ソリューションアーキテクト
AWS認定ソリューションアーキテクトは、Amazon社が公式に認定しているAWSの資格試験です。それぞれ基礎レベル、アソシエイトレベル、プロフェッショナルレベルの3つのレベルに振り分けられており、全部で12種類の試験を受験できます。
基礎レベルには受験目安となる経験年数などが設定されていないため、初心者でも試験対策を行えば合格も可能です。これからAWSを学ぶなら、まずは基礎レベルに挑戦することをおすすめします。
クラウドエンジニアとしてある程度の実務経験を積み、AWSの専門知識をより深めたいと思ったタイミングで、アソシエイトレベルやプロフェッショナルレベルに挑戦すると良いでしょう。
クラウドエンジニアとして働く上で必要なツール
ここでは、クラウドエンジニアがそろえておきたい4つのツールについて、それぞれの特徴を解説します。
コードエディター
プログラミングのコードを記述するための「コードエディター」と呼ばれるツールも、クラウドエンジニアにとって必要不可欠です。
コードエディターは通常のメモ帳とは異なり、コードの行数を表示したり、不正な構文を自動的に検知してアラートを表示したりといった、エンジニアがコーディングを行う上で便利な機能を数多く搭載しています。開発を大きく効率化できるので、必ず導入しておきたいツールといえるでしょう。
コードエディターにはさまざまな種類があるため、いくつか無料のツールを使ってみて、自分に合うものを選ぶことをおすすめします。
スケジュール管理ツール
納期を詳細に管理し、遅延が発生しないように作業を行うためには、スケジュール管理が欠かせません。スケジュール管理ツールは、チーム全体の開発状況や自身の進捗を可視化できるため、円滑な開発をサポートしてくれます。
開発環境の構築やコードエディターとは異なり、スケジュール管理ツールがなくてもシステム開発を行えないというわけではありません。しかし、スケジュール管理ツールを導入せずに開発を続けていると、チーム内の進捗を把握しにくくなって確認もれが発生したり、開発の遅れに気がつかなかったりするおそれがあるため、できる限り導入しておくことをおすすめします。
情報共有ツール
チームで開発を進めるにあたって、こまめにコミュニケーションを取り、情報共有をはかることは大切です。情報共有ツールは、チーム内のコミュニケーションを容易にして活発な意見交換を促すことができます。
例えば、リアルタイム性の高い情報共有ならビジネスチャットツールが適しています。ファイルを共同編集する機会が多いのであれば、ドキュメントを作成して同時に編集できるツールを使用すると良いでしょう。
他にも、社内外のファイル共有に特化した情報共有ツールなどさまざまな種類があるため、自身が携わっているプロジェクトに合ったものを選ぶことが大切です。
まとめ
クラウドを活用してネットワークやサーバーの設計・開発・運用・保守を担うクラウドエンジニアは、多くの企業がクラウドサービスを利用するようになった近年、需要が高まっている仕事です。
今後もこの傾向が続いていくと考えられることから将来性も高く、これからクラウドエンジニアに転身したとしても、安定的に仕事を獲得できる可能性が高いでしょう。
クラウドエンジニアとして活躍していくのであれば、情報処理技術者試験などの国家資格や、Azure・AWSなどの国際的に著名な民間資格を取得することをおすすめします。書籍やWebサイト、スクールなどをうまく活用して、クラウドエンジニアとしての専門知識を身につけましょう。