IT・ビジネス知識

ITコンサルタントは、企業にとって本当に必要か?

更新日 2022/05/16
「ITコンサルタント」という職種があり、どんなサービスを提供してくれるのか、企業の情報システム部やIT業界に関わる方であればご存知でしょう。また、コンサルティングサービスに支払う報酬単価は、SEやプログラマーと比較して一般的に高単価となります。本記事では、高単価の報酬を支払ってでも、企業にとってITコンサルタントが必要か否かを掘り下げて考えてみたいと思います。

1.ITプロジェクトの段取り

ITプロジェクトの段取りを概要レベルで述べさせていただきます。

1.一般的なITプロジェクトの進め方

一般的なITプロジェクトの進め方とは。今回、「ERP導入により業務の効率化・ITの刷新をウォーターフォール型で推進するプロジェクト」を実施する場合を例に、工程の概要を述べさせていただきます。



上図のように❶~❻の工程に分けることができ、工程の呼称は違っても、読者の方々はなんとなく想像いただけると思います。プロジェクト推進にあたっては、工程ごとにマイルストーンを設定し、進捗や品質・コスト・スコープなどを日々マネジメントすることを重要になります。

では、各工程でどのようなタスクを実施していくかを次章で見ていきましょう。

2.各工程のタスク例

以下を例にご自身が担当するプロジェクト特性と合わせて、具体的なタスクをご想像ください。

①戦略策定
・事業計画を基に、“ありたい業務の姿“、それを実現するための”IT像“を描く
・プロジェクトの目的を定義し、投資対効果の試算、KGI(Key Goal Indicator)/KPI(Key Performance Indicator)の設定、CSF(Critical Success Factor)の策定を実施する。
・IT実装にむけた基本的な方針(例:クラウドの利用・AIの活用等)を策定する

②計画策定
・ITで実現する業務スコープの定義を実施する
・スケジュール・コスト・品質・人的リソース・ステークホルダー・コミュニケーションといった切り口で計画と管理手段の定義を実施する。
・WBS(Work Breakdown Structure)を定義する。

③要件定義
・プロジェクトの目的を実現するための業務要件(例:要件一覧作成・業務フローの定義)を文書化する。
・業務要件を実現するために必要なシステム要件を定義し、文書化する。
・データ移行・業務移行の要件を定義し、文書化する。

④実現化
・システムの基本設計を実施する。
・ハードウェア・パッケージの導入、パッケージの設定・追加機能の開発を行う。
・単体テスト・結合テスト・総合テストを実施する。

⑤移行&リリース
・データ移行・業務移行を実施する。
・利用者向けトレーニングを実施する。
・システムをリリース(本稼働)する。

⑥本稼働定着化
・新システムで業務運用・システム運用が円滑に実施できるよう、トラブル/問い合わせ対応を実施する。
・本稼働の状況を監視し、改善事項の抽出、改善対応を実施する。

3.トラブルケース

よくあるトラブルとして、以下のようなケースをしばしば聞くことがあります。読者の皆さんもご自身が経験されたことや、周囲で起きたことを聞いたことがあるのではないでしょうか。

・コストが大幅に超過した
・スケジュールが遅延して本稼働日を後ろ倒しにした
・いつのまにか、手段が目的と化してしまっていた(IT実装はあくまでも手段であり目的ではない)

2.ITコンサルタントの必要性の検討

端的に言うと、前述タスクが社内人員で実行できるのであれば、ITコンサルタントは不要ですし、そうでなければ、外部のITコンサルタントを利用することは有益と言えるでしょう。
また、トラブルが発生するリスクを企業内人員で管理できるか否かも、ITコンサルタントを利用するか否かの判断材料になります。

1.ITコンサルタントには分野がある

前述したフェーズにより、どのフェーズを得意とするITコンサルタントが必要か変わってきます。ここでは、例として、「ビジネスアナリシス」・「ITソリューション」・「プロジェクトマネジメント」という3つの分野で、どのフェーズにどのようなITコンサルタントのアサインをするのかをイメージとして、下図で述べさせていただきます。


また、各分野でITコンサルタントの必要性を検討するひとつの目安として次章をご覧ください。

2.自社状況チェックリスト

ご自身が担当するプロジェクトにおいて前述した3つの領域毎に、自社の力量がどのような状況か、以下のようなチェックリストを用いるのも一つの判断基準になると思います。

※チェックリストのダウンロードはこちら

ビジネスアナリシス
1.現状のビジネス環境・ビジネスプロセスを把握し、漏れなく正確にステークホルダーのニーズを理解することができるかどうか
2.経営課題・業務課題を論理的・多角的に分析し、ステークホルダーへ説明することができるかどうか
3.ビジネス部門の要求に対してその妥当性を検証することができるかどうか
4.衝突する部門間のビジネスニーズに対して、何が経営課題の解決に最適かを考え、合意形成をすることができるかどうか
5.ビジネスプロセスのうち、「標準化すべき」領域と、「自社の特異性・独自性を発揮すべき」領域を論理的・客観的に分析・仕分けすることができるかどうか

ITソリューション
1.最新技術を常に把握している、もしくは把握するための情報収集・分析を実施することができるかどうか
2.既存の自社システムを使い続けることのメリット・デメリットを整理することができるかどうか
3.ビジネスニーズを満たすための、ITロードマップ(時間軸・ソリューション軸を描くことができるかどうか
4.IT導入の具体的な施策を設定し、ソリューションの定義と定義したソリューションの技術的検証を実施することができるかどうか
5.導入時のみならず、ITの全体運用ライフサイクルを俯瞰したソリューションの定義を実施することができるかどうか

プロジェクトマネジメント
1.各フェーズにおいて、体系化した方法論(例:PMBOK)を習得しており、それを発揮した管理を実施することができる。
2.方法論を展開するための管理ツールの実装または実装指示を実施することができるかどうか
3.社外リソース(SIerなど)に対する管理経験があり、ベンダーロックインにおけるリスクを回避することができるどうか
4.ITプロジェクトの計画・管理を複数経験しており、プロジェクトが陥りがちなトラブルケース(前述など)を予測し、対処法の考案・指示ができるかどうか
5.複数プロジェクトが並行して推進されている場合、プロジェクト間で生じる利害について、調整・合意形成ができるかどうか

3.コンサルタントの必要性判断

さて前章のチェックリストの結果はいかがだったでしょうか?
定量的な判断基準を見出すことは困難ですが、少なくとも

・“何が自社だけでは賄えない”
・“ITコンサルタントの力を借りたほうが良い”


という切り分けの材料になるのではないでしょうか。

また、違った切り口では、

・“自社でITコンサルタントと同等のスキルを習得すれば、何も問題ないのでは?”

という考え方もあると思います。そのような考えもあって当然と思いますが、ITコンサルタントと同等のスキルを前述した分野で習得するには、相応の時間とコストがかかります。

また、

・"社員は固定費になる"

ということも忘れてはいけません。いうなれば、高い報酬を支払ってでも、ITコンサルタントを利用するということは、

・“時間をお金で買う”

と言ってもよいかもしれません。

3.まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました。

IT無くしてビジネスを進めることが困難な時代になってきている現在、複数のITプロジェクトが同時並行的に推進されることも珍しくありません。また、技術変化が激しい現在では、豊富な知識と経験をもったITコンサルタントを利用することで、結果的にトラブルが発生するリスクを低下でき、プロジェクトを成功させる可能性を上げられるのではないでしょうか。

当記事がコンサルタントを利用するか否かの判断材料のお役にたてば幸いです。

執筆者:金栗 一憲

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