【ITエンジニア】フリーランスと正社員の違いとは?メリット・デメリットも紹介
ITエンジニアとしてのキャリアパスは多岐にわたりますが、「正社員」と「フリーランス」のどちらのキャリアが自分に向いているか判断するのは簡単ではありません。本記事では、フリーランスを検討しているエンジニアの方に向けて、正社員とフリーランスの違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
自分自身のキャリア像に合った選択をするための一助として、この記事をご活用ください。
正社員とフリーランスの違いとそれぞれのメリット・デメリット
この章では「契約」「働き方」「給与福利厚生」「社会的立場」の4項目に関しての、正社員とフリーランスの違いを解説します。また、それぞれのメリット・デメリットについても紹介します。
契約面における違い
- フリーランスのメリット:案件ごとに契約条件を更新できる
- フリーランスのデメリット:業務の遂行する方法を自己責任で決定しなければならない
- 正社員のメリット:企業から指示された範囲内で業務を遂行すれば良い
- 正社員のデメリット:始業・就業時刻、休憩時間、勤務地などが企業によって定められている
正社員とフリーランスでは企業との契約方法が異なります。
正社員は企業と雇用契約を結びます。雇用契約とは、労働者が使用者の指示によって労働に従事し、その労働に対して賃金を受け取る約束を行う契約です。
一方で、フリーランスは雇用契約ではなく、業務委託契約を結びます。業務委託契約は、企業や組織が内部で行う業務の一部を、外部の企業・個人に委託する際に使用される契約形態です。主に、労働力ではなく成果物の提供を目的としています。
働き方に関する違い
- フリーランスのメリット:業務場所・業務時間などを自分自身で決定することができる
- フリーランスのデメリット:業務の遂行する方法を自己責任で決定しなければならない
- 正社員のメリット:企業から指示された範囲内で業務を遂行すれば良い
- 正社員のデメリット:始業・就業時刻、休憩時間、勤務地などが企業によって定められている
働き方の自由度に関してもフリーランスと正社員には違いがあります。
正社員は労働法が適用されます。そのため、始業・就業時刻、休憩時間、勤務地などが企業によって定められ、労働者は企業の指示に従う必要があります。一方でフリーランスは労働法の適用外であり、企業による指揮命令権の下で働くわけではありません。
フリーランスは業務場所・業務時間などを自分自身で決定しやすい働き方です。自身の希望するライフスタイルや収入に合わせて仕事内容や量を調整できるのがフリーランスのメリットです。
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給与・福利厚生面における違い
- フリーランスのメリット:希望に合わせて収入や仕事量を調整できる
- フリーランスのデメリット:月々の案件数や案件ごとの報酬額によって大きく変動する
- 正社員のメリット:毎月一定の給与を会社からもらえる。福利厚生(有給休暇、社会保険など)のサポートが受けられる
- 正社員のデメリット:基本的に収入が大きく変動することがない
正社員は雇用先から毎月一定の給与を受け取れます。その上、源泉徴収の手続きを会社が行ってくれるため、個人での税金対応は基本的に不要です。また、有給休暇、社会保険、退職金などの福利厚生が提供されることが一般的です。
一方で、フリーランスの収入は月々の案件数や案件ごとの報酬額によって大きく変動します。案件が多ければ稼働時間を増やして収入を増やすことが可能ですが、案件が少ない時は収入が減少するリスクもあります。
また、フリーランスの平均年収は200万円以上300万円未満が最も多く(※1)、会社員の平均年収は約443万円となっています。(※2)(いずれもITエンジニア以外の職種全般を含む)
その他、フリーランスは自身で税金の申告と支払いを行う必要があり、社会保険や退職金などの福利厚生は自分で用意するか、あるいは無しで経営しなければなりません。
社会的立場に関する違い
- フリーランスのデメリット:安定した収入を得ている実績を示せなければ、クレジットカードなどの審査に通りにくい
- 正社員のメリット:「クレジットカードの申請」「住宅ローン」「賃貸契約」「自動車ローン」などの審査において有利
正社員とフリーランスでは、社会的立場や信用にも差が見られます。正社員は「クレジットカードの申請」「住宅ローン」「賃貸契約」「自動車ローン」などの審査において有利です。
例えば、住宅ローンでは平均返済期間が分譲マンションで32年、分譲戸建てで34.1年と長期にわたるため、(※)安定した収入が求められます。そのため、正社員はフリーランスに比べて審査に通りやすい傾向にあります。
しかし、フリーランスでも継続的に安定した収入を得ている実績を示せば、社会的に信用され、審査を通過することが可能です。
正社員とフリーランスそれぞれに向いている人の特徴とは
次に正社員とフリーランスに分けて、向いている人の特徴を解説します。自分がどちらに向いているか判断する参考となれば幸いです。
正社員に向いている人の特徴
正社員に向いている人の特徴として以下の3つが挙げられます。
- 安定した収入を確保したい人
- 1つの組織で協調性を持って働ける人
- リーダーや管理職を目指したい人
特徴①:安定した収入を確保したい人
安定した収入を確保したい方には、正社員として働くことがおすすめです。
当然のことではありますが、正社員の場合、毎月一定の収入が保証されます。一方で、フリーランスとして働く場合、収入は月々で変動します。正社員は安定した収入が見込めるため、将来設計や金銭管理を行いやすいという点が正社員のメリットです。
その他の収入に関するメリットとして、正社員の利点は昇給や賞与がある点が挙げられます。日本経済団体連合会による調査では、2020年の正社員の月例賃金の昇給率は約2%とされており(※)、勤務実績に応じて収入が増える可能性があります。
特徴②:1つの組織で協調性を持って働ける人
正社員に向いている人は、一つの組織内で協調性を持って働ける方です。一般社団法人日本経済団体連合会が発表した「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」によると、82.4%の企業が選考時に重視している能力の一つとして協調性を挙げています。(※)
協調性とは、さまざまな背景を持つ人々と共に仕事を進める能力のことです。フリーランスよりも協調性が求められる理由は、以下の通りです。
- 会社が一つのチームとして機能するため
- 同僚との意見交換やサポート、部下のマネジメントなど、同僚とコミュニケーション取り、良好な関係を築くことが求められるため
- 自分個人よりも組織全体について考えることが求められるため
正社員は特に、自分と異なる性格の人や年齢が離れている人とも協力することが必要になります。
※2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果/一般社団法人 日本経済団体連合会
特徴③:リーダーや管理職を目指したい人
リーダーシップを発揮し、管理職を目指す方には、正社員としてのキャリアパスが適しています。
プロジェクトのメンバーとしてスタートし、経験を積むことで将来的にはプロジェクトリーダーやマネージャーへとステップアップしていくのが一般的な流れです。
未経験から直接プロジェクトマネージャーになることは難しく、多くの場合、プログラマーやシステムエンジニアなどの役割からスタートし、徐々にスキルアップしていきます。
フリーランスに向いている人の特徴とは
フリーランスに向いている人の特徴として以下の4つが挙げられます。
- 自己管理が得意な人
- 高い専門性を持っている人
- 会社勤めよりも高収入を狙いたい人
- クライアントとのコミュニケーションが苦ではない人
特徴①:自己管理が得意な人
自己管理が得意な人はフリーランスに向いています。フリーランスの仕事では、スケジュール管理が重要になります。スケジュール管理とは、主に自身の仕事量を正確に把握し、それに応じて効率的なスケジューリングを行う能力のことです。
スケジュール管理を怠ってしまうと、納期遵守に支障をきたし、クライアントとの信頼関係に影響を及ぼす可能性があります。
スケジュール管理以外にも、フリーランスは、「金銭管理」や「健康管理」など、生活のあらゆる面で自己管理を行う必要があります。
特徴②:高い専門性を持っている人
高い専門性を有している人ほど、フリーランスとしての活躍が期待できます。フリーランスエンジニアは即戦力となる人材が求められるため、実務経験がない状態では、案件獲得が難しいことも少なくありません。
フリーランスエンジニアを目指す方は、実務経験2年以上を独立の目安とすればよいでしょう。ITフリーランスエンジニア向けの募集案件を見ると、特定の言語や技術に関して「1年以上〜3年未満」の経験が求められることがよくあります。
独立を考える場合、まずは自分の現在のスキルや専門性がどのような案件の要件を満たしているかを確認することが大切です。
特徴③:会社勤めよりも高収入を狙いたい人
フリーランスに向いている人は、会社勤めよりも収入アップを狙いたい方です。
ITエンジニアがフリーランスに転身した後の収入に関する調査では、約54.5%の人が収入が上がったと回答しており、変わらないと答えたのは36.6%です。(※)フリーランスエンジニアとして高単価案件の獲得を狙っていくことで、年収のUPを狙うことは可能でしょう。
ただし同額の年商(年収)で比較したとき、フリーランスは正社員よりも手取り額が少なくなることに注意が必要です。
フリーランスエンジニアの案件紹介サービスTECH STOCKには、高単価案件・上場企業案件が多数ございます。スキルやご希望にマッチする案件をコーディネーターがご紹介いたします。フリーランスになって年収アップを狙うならTECH STOCKにお任せください。
※【2023年版】フリーランスエンジニア白書/Relance
特徴④:クライアントとのコミュニケーションが苦ではない人
フリーランスに向いている人は、クライアントとのコミュニケーションを苦としない方です。
フリーランスエンジニアは、クライアントと直接やり取りをする機会が多くあります。コミュニケーションが必要とされる場面として、営業活動や既存クライアントへの提案、単価交渉などが想定されます。
もちろん正社員であってもコミュニケーション能力は必要です。しかし、フリーランスの場合はコミュニケーション能力が売上に直結する分、重要性は増します。クライアントとの信頼関係を築くことができれば、継続して案件を発注してもらえることが期待できます。
フリーランスになるために知っておきたいこと
フリーランスになるために事前に知っておきたいことを解説します。万全な準備を行うことで、フリーランスとしての成功の道が近づきます。
案件の獲得方法
フリーランスが直面する主な悩みの一つは案件の獲得です。実際に、フリーランスを対象とした経済産業省中小企業庁の調査では、全体の41.0%(最も多い回答)がフリーランスになる際に直面した課題として「顧客の確保」を挙げています。(※1)
フリーランスエンジニアにおすすめする案件獲得方法には「クラウドソーシング」「コネクション」「案件紹介サイト」の3つがあります。
- クラウドソーシング:比較的ハードルが低い案件を見つけやすく、フリーランスとしての実績を積むのに適しています。誰でも応募できるため競争が激しいのがデメリットです。
- コネクション:「フリーランス白書2022」によると最も多い方法で、65.9%が人脈から仕事を得ています。(※2)コネクションによる案件獲得は、互いの情報がある程度共有されているため、案件のミスマッチを防ぐことが期待できます。
- 案件紹介サイト:エージェントのサポートを受けて案件を探すことが可能です。この場合、エージェントが間に入ることで営業活動にかける時間を減らし、本来の業務に集中できるというメリットがあります。
上記の方法を活用することで、フリーランスとしての案件獲得の可能性を高めることができます。
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確定申告等の税務手続き
雇用されている場合とは異なり、フリーランスは自ら「確定申告」を通じて所得税の支払いを行わなければなりません。正社員の場合は会社が源泉徴収し、年末調整を通じて税額を調整しますが、個人事業主は毎年3月中旬までに前年の収入から支払うべき税額を自ら算出し、申告する義務があります。
確定申告は事業の収支記録を基に行われ、必要経費を差し引いた実質の所得に基づいて税額が計算されます。確定申告は複雑で時間がかかるため、業務に集中したい場合は税理士への依頼を検討することも一つの方法です。
また、フリーランスは健康保険や厚生年金といった社会保険料も自分で支払う必要がある点にも注意が必要です。
リスク管理
フリーランスになる際は、リスク管理が欠かせません。正社員の場合、失業や労災時に経済的な支援を受けることができる雇用保険や労災保険がありますが、個人事業主にはそのような保障がありません。
そのため、病気や収入の途絶えなど、万が一のリスクに備えて自身で管理策を講じる必要があります。病気や怪我などで働けなくなった場合でも家計の負担を軽減したい方は、「収入保障保険」や「就業不能保険」を活用するとよいでしょう。
フリーランスに関するよくある質問
最後にフリーランスに関するよくある質問を紹介します。紹介する内容は以下の3点です。
- フリーランスから正社員に戻ることはできますか
- フリーランスエンジニアになる前にやるべきことは?
- フリーランスエンジニアのキャリアパスについて教えて
フリーランスエンジニアから正社員に戻ることはできますか
フリーランスエンジニアから正社員に戻ることは十分に可能です。フリーランスで培ったスキルや経験は、特に即戦力を期待する企業側には魅力的な資産となり得ます。履歴書や面接でのアピールポイントになるため、転職活動における強みとなります。
正社員への転職方法としては、転職エージェントの利用が一般的です。また、フリーランスとして取引のあった企業から正社員として再就職するケースもあります。
技術者向け転職支援サービスのテクストキャリアでは、ITエンジニアのスキル・人柄を適切に評価し、戦略的に長期を見据えたキャリアのご提案が可能です。ITエンジニア・WEB業界での求人情報はテクストキャリアにお任せください。
フリーランスエンジニアになる前にやるべきことは?
フリーランスエンジニアになる前にやっておくべきことは以下の通りです。
- 副業を行う:営業や実際の業務を通して独立に必要なスキルが把握できます
- 独立のための貯金をする:収入の見通しが立たなくなる場合に備えて生活費の半分程度を貯金しましょう
- 案件獲得のためのネットワークを築く:正社員時代のつながりから案件を依頼してもらえる可能性があります
- クレジットカードを作成する:事業用とプライベート用のカードを作成しておくと、確定申告を効率的に進められます
- 会計や税金に関する知識を身につける:確定申告の方法や独立した場合に支払わなければならない税金など、基本的なことを押さえておきましょう
フリーランスエンジニアのキャリアパスについて教えて
ITエンジニアのキャリアパスは以下の通りです。
フリーランスのエンジニアは、目標とするキャリアを定め、それに基づいたキャリアパスを自分で設定し、積極的にキャリア形成を進める必要があります。キャリアの方向性を早期に明確にし、将来に備えて適切なアクションを起こすことが重要です。
まとめ
この記事では、独立を検討しているエンジニアの方に向けて、正社員とフリーランスの間の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて解説しました。エンジニアとして必要なスキルや実績を持っていれば、フリーランスエンジニアとして案件を獲得していくことは難しいことではありません。
しかし、フリーランスエンジニアは、正社員時代には必要とされなかった営業力や会計知識など、新たなスキルを身につけなければなりません。
「高収入に繋がる案件に挑みたい」「自分だけのキャリアを築いていきたい」という思いのある方は、ぜひフリーランスとしての道に挑戦してみてください。
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