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フリーランスエンジニアの月々の手取り額は?納める税金もご紹介

更新日 2023/04/13

フリーランスエンジニアを目指すにあたって、月々報酬がいくら手に入るかは大きな懸念材料となります。特に会社員からフリーランスになる場合には、加入する社会保険制度が変わり、関係する税金も増えてしまいます。

そこでこの記事では、フリーランスエンジニアになりたい人に向けて、関係する社会保険・税金の種類や、月々の手取り額のシミュレーション及び、その計算方法などをご紹介します。

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黒田 悠介

この記事の監修者

税理士法人Bridge 代表
税理士・政治資金監査人

黒田 悠介

大手税理士法人で相続対策・事業承継業務に従事。 その後、金融機関・IPO企業・富裕層コンサルティング会社を経て、税理士法人Bridge東京・静岡事務所を創設、現在まで代表を務める。
「お客様に幸せの架け橋を」というビジョンを掲げ、IPOコンサル・相続事業承継…

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フリーランスエンジニアに関係する社会保険の種類

フリーランスエンジニアになるとどのような費用を払うことになるのか、まずは社会保険からご紹介します。

国民健康保険

国民健康保険は、都道府県や市町村が運営している公的な医療保険制度です。健康保険組合など他の健康保険に入らない人は、国民健康保険への加入が必須となります。保険料は人によって異なります。

毎年都道府県や市町村によって保険料率が算定され、この保険料率と前年の所得や世帯人数などを勘案して計算するのが基本です。なお国民健康保険には扶養という考え方はなく、世帯ごとに保険料を納付する方式を採っています。

国民年金

国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務付けられている年金制度です。フリーランスは国民年金に加入します。会社を退職するなどしてフリーランスになる場合は、自分で国民年金に加入しなければなりません。

国民年金制度には働いている状況によって第1号、第2号、第3号という区分があります。フリーランスは第1号被保険者となります。第2号が厚生年金や共済の加入者、第3号に該当するのは第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者です。

会社員は厚生年金に加入することで国民年金にも加入する扱いとなり、保険料は労使折半で給与から天引きされます。一方のフリーランスは保険料は全額自分で支払わなければならず、保険料が高くなります。

国民年金の保険料は一定ではなく、毎年度見直しが行われます。令和4年度(2022年度/令和4年4月~令和5年3月まで)の国民年金保険料の金額は、1か月あたり16,590円です。国民年金保険料の支払い方法は、納付書での支払い、口座振替、クレジットカード払いから選べます。

※参考:国民年金の保険料はいくらですか。|日本年金機構

消費税

消費税は、原則として国内におけるすべての物やサービスの販売や提供の際に課される税です。エンジニア業務に対しても消費税が発生するため、業務の依頼元から消費税が支払われることになります。また仕入れが発生したときは、消費税を含めた金額を相手に支払うことになります。

フリーランスとして働く人も、支払われた消費税を国へ納めることが必要です。ただし課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であるなど、一定の基準を満たす場合には免税事業者となり、消費税の納付が免除されます。

2023年10月からはインボイス制度が開始される予定で、免税事業者だったフリーランスも課税事業者になるかどうかを早急に決める必要があります。

フリーランスエンジニアに関係する税金の種類

フリーランスエンジニアが納税する可能性がある税金は、下記の通りです。

所得税

所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた課税所得の金額に、所得税の税率をかけて税額を計算します。所得が高くなるにつれて税率も高くなる累進課税制度となっており、税率と控除額は課税される所得金額に対して下記の通りとなっています。

※参考:所得税の税率|国税庁

課税される所得金額税率控除額
1,000円 ~1,949,000円5%0円
1,950,000円 ~3,299,000円10%97,500円
3,300,000円~6,949,000円20%427,500円
6,950,000円~8,999,000円23%636,000円
9,000,000円~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円 ~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
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毎年確定申告の時期になると、個人事業主が向き合わなければならないのが税金です。1年間の収入にかかる所得税を自分で計算して納めます。会社員は勤務先が計算して納税までしてくれるので、税の知識がなくても済んでしまうこともありますが、個人事業主の場合は、「気がついたらお金は使ってしまって税金が払えない」などというような事態に陥ることも。一方、税制には優遇制度もあるので、税の仕組みをよく理解して、手元にお金が残るよう上手に利用しましょう。

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復興特別所得税

復興特別所得税は、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づいて徴収される税です。平成25年(2013年)1月1日から令和19年(2037年)12月31日までの間、所得税の2.1%相当の額を、源泉徴収の際にあわせて納めることになります。

住民税

住民税は、住んでいる都道府県や市町村に納める地方税です。住民税には個人住民税と法人住民税があります。ここではフリーランスに関わる個人住民税について記載します。

個人住民税は教育や福祉、消防・救急、ゴミ処理といった、地域社会の費用に使われる税です。市町村民税と道府県民税で構成されており(※1)、1月1日に両方合わせて課税されることになります。

※1 東京都の場合は道府県民税は都民税、東京都23区の場合は特別区民税という名称です。ほか、地域で名称が異なるケースがあります。

個人住民税の税額は、均等割と所得割の2種類で算出されます。

算出方法説明市町村民税都道府県民税
均等割所得に関係ない定額の負担3,500円1,500円
所得割所得に応じた負担課税所得 × 6%課税所得 × 4%

なお住民税納付に関する通知が届くのは、毎年6月頃です。確定申告の時期とは異なるので、注意しましょう。

消費税

消費税は、原則として国内におけるすべての物やサービスの販売や提供の際に課される税です。エンジニア業務に対しても消費税が発生するため、業務の依頼元から消費税が支払われることになります。また仕入れが発生したときは、消費税を含めた金額を相手に支払うことになります。

フリーランスとして働く人も、支払われた消費税を国へ納めることが必要です。ただし課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であるなど、一定の基準を満たす場合には免税事業者となり、消費税の納付が免除されます。

2023年10月からはインボイス制度が開始される予定で、免税事業者だったフリーランスも課税事業者になるかどうかを早急に決める必要があります。

個人事業税

個人事業税は、個人で事業を行っている人に対して、都道府県が課税している税です。対象は、地方税法第72条の2で定められている第一種事業、第二種事業、第三種事業を営んでいる個人です。

フリーランスエンジニアの場合は契約の内容によって、個人事業税が課税される場合と課税されない場合があります。第一種事業に「請負業」が含まれているため、請負契約の場合は課税されることになります。

固定資産税

固定資産とは、土地や家屋、工場の機械、会社の備品などの資産を総称した呼び名です。固定資産税はこの固定資産にかかる税であり、所有者が固定資産のある市町村に税を納めます。固定資産税の税額は、固定資産の評価額から課税標準額を算定し、それに税率をかけて算出されます。

月収別のシミュレーション

フリーランスが支払う社会保険や税金を踏まえ、以下の前提条件で月々の手取り額を試算しました。試算ですのであくまで目安としてご参照ください。

  • 東京都江東区在住、30歳独身 ※税率や計算方法は江東区の方法に準じています。
  • 必要経費、個人事業税、固定資産税、介護保険料は0円とします。
  • 国民年金は1ヶ月ごとの支払い額16,600円を用います。※毎年変動するため、概算としています。
  • 前年の所得を本年と同様として算出しています。

月収30万円の場合の手取り

月収30万円の場合、社会保険料・税金の支払額は約8万2,000円、支払額を差し引いた手取り額は約21万8,000円となります。

<月収30万円の場合の社会保険料、各種税額>

社会保険料・税額年額月額
国民年金199,200円16,600円
国民健康保険354,548円29,545円
所得税および復興特別所得税162,441円13,536円
住民税264,100円22,008円
合計980,289円81,689円

社会保険料、各種税額計算式は以下になります。

国民年金(年額)

16,600円 * 12 = 199,200円
※国民年金保険料は毎年変動するため、16,600円の概算としています。

国民健康保険(年額)

国民健康保険料は、年間所得額(前年中の総所得金額から基礎控除額430,000円を差し引いた金額)に以下の料率をかけて計算します。

<計算の流れ>
国民健康保険料 = 年間所得額 × 所得割額の税率 + 加入者数 × 均等割額
区分所得割額均等割額年間限度額
基礎賦課分(医療分)年間所得額×7.16%加入者数×42,100円650,000円
後期高齢者支援金等分(支援金分)年間所得額×2.28%加入者数×13,200円200,000円
介護納付金分(介護分)(40歳~64歳の方)
年間所得額×2.31%
40~64歳の
加入者数×16,600円
170,000円

※東京都江東区ホームページ「国民健康保険料試算シート」を使用して算出。地域や年度によって変わるので注意。

国民健康保険料 = 年間所得額 × 所得割額の税率 + 加入者数 × 均等割額
= (3,600,000 − 430,000) × (7.16%+2.28%) + 1 × (42,100+13,200)
= 354,458円

所得税および復興特別所得税(年額)

課税所得を算出し、それに各税率をかけて計算します。

<計算の流れ>
課税所得 = 年収(事業所得)− 所得控除(国民年金 + 国民健康保険 + 所得税の基礎控除)
所得税 = 課税所得 × 税率 − 税率に応じた控除
復興特別所得税 = 所得税 × 2.1%
  • 課税所得 = 年収(事業所得)− 所得控除(国民年金 + 国民健康保険 + 所得税の基礎控除)
    = 3,600,000 − (199,200 + 354,548 + 480,000)
    = 2,566,252円
  • 所得税 = 課税所得 × 税率 − 税率に応じた控除
    = 2,566,000× 10% − 97,500(税率10%の場合の控除額)
    = 159,100円
  • 復興特別所得税 = 所得税 × 2.1%
    = 159,100 × 2.1%
    = 3,341円

よって、所得税および復興特別所得税は、以下となります。
所得税および復興特別所得税 = 159,100 + 3,341 = 162,441円

住民税(年額)

住民税は所得割+均等額割で算出し、調整控除額を差し引きます。

<計算の流れ>
課税所得(※千円未満は切り捨て) = 年収(事業所得)− 所得控除(国民年金 + 国民健康保険 + 住民税の基礎控除)
所得割 = 課税所得 × 10%(都民税4% + 特別区民税6%)
調整控除額 = 人的控除の差額の合計額 −(合計課税所得金額 − 200万円)
住民税 =所得割 + 均等額割 − 調整控除額

①所得割 

  • 課税所得 = 年収(事業所得)− 所得控除(国民年金 + 国民健康保険 + 住民税の基礎控除)
    = 3,600,000 − (199,200 + 354,548 + 430,000)
    = 2,616,000円(千円未満は切り捨て)
  • 課税所得は2,616,000円(千円未満は切り捨て)。
  • 所得割 = 2,616,000円(課税所得)× 10%(都民税4% + 特別区民税6%)
    = 261,600円

②均等額割

一律5,000円

③調整控除額

調整控除額 = 人的控除の差額の合計額 −(合計課税所得金額 − 200万円)
(この額が5万円より小さいとき、調整控除額は2,500円(都民税1,000円、特別区民税1,500円)となる)
人的控除の差額は5万円(基礎控除のみ)となる(※2)ため、

  • 50,000円(基礎控除)−(2,616,000円 − 2,000,000円)=−約56万円

5万円より小さいため、調整控除額は2,500円となります。

※2 参考:人的控除の差と調整控除の計算方法 - 諏訪市公式ホームページ 

よって、住民税は以下の計算で求められます。
住民税 = 261,600円(①所得割)+ 5,000円(②均等額割)− 2,500円(③調整控除額)
= 264,100円

月収50万円の場合の手取り

月収50万円の場合、社会保険料・税金の支払額は約14万9,000円、支払額を差し引いた手取り額は約35万1,000円となります。

<月収50万円の場合の社会保険料、各種税額>

社会保険料・税額年額月額
国民年金199,200円16,600円
国民健康保険581,108円48,425円
所得税および復興特別所得税531,226円44,272円
住民税481,400円40,116円
合計1,792,934円149,413円

社会保険料、各種税額計算式は以下になります。

国民年金(年額)

16,600円 * 12 = 199,200円
※国民年金保険料は毎年変動するため、16,600円の概算としています。

国民健康保険(年額)

国民健康保険料 = 年間所得額 × 所得割額の税率 + 加入者数 × 均等割額
= (6,000,000 − 430,000) × (7.16%+2.28%) + 1 × (42,100+13,200)
= 581,108円
(参考)東京都江東区ホームページ「国民健康保険料試算シート」を使用して算出

所得税および復興特別所得税(年額)

課税所得を算出し、それに各税率をかけて計算します。

  • 課税所得 = 年収(事業所得)− 所得控除(国民年金 + 国民健康保険 + 所得税の基礎控除)
    = 6,000,000 −(199,200 + 581,108 + 480,000)
    = 4,739,000円(千円未満は切り捨て)
  • 所得税 = 課税所得 × 税率 − 税率に応じた控除
    = 4,739,000 × 20% − 427,500(税率20%の場合の控除額)
    = 520,300円
  • 復興特別所得税 = 所得税 × 2.1%
    = 520,300 × 2.1%
    = 10,926円

よって、所得税および復興特別所得税は、以下となります。
所得税および復興特別所得税 = 520,300 + 10,926 = 531,226円

住民税(年額)

住民税は所得割 + 均等額割で算出し、調整控除額を差し引きます。

①所得割

  • 課税所得 = 年収(事業所得)− 所得控除(国民年金 + 国民健康保険 + 住民税の基礎控除)
    = 6,000,000 − (199,200 + 581,108 + 430,000)
    = 4,789,692
  • 課税所得は4,789,000円(千円未満は切り捨て)。
  • 所得割 = 4,789,000円(課税所得)×10%(都民税4% + 特別区民税6%)
    = 478,900円

②均等額割

一律5,000円

③調整控除額

調整控除額 = 人的控除の差額の合計額 −(合計課税所得金額 − 200万円)
(この額が5万円より小さいとき、調整控除額は2,500円(都民税1,000円、特別区民税1,500円)となる)
人的控除の差額は5万円(基礎控除のみ)となるため、

  • 50,000円(基礎控除)−(4,789,000円 − 2,000,000円)= −約273万円

の計算式で、5万円より小さいため、調整控除額は2,500円となります。

よって、住民税は以下の計算で求められます。
住民税 = 478,900円(①所得割)+ 5,000円(②均等額割)− 2,500円(③調整控除額)
= 481,400円

月収100万円の場合の手取り

月収100万円の場合、社会保険料・税金の支払額は約33万9,000円、手取り額は約66万1,000円となります。

<月収100万円の場合の社会保険料、各種税額>

社会保険料・税額年額月額
国民年金199,200円16,600円
国民健康保険850,000円70,833円
所得税1,959,401円163,283円
住民税1,054,500円87,875円
合計4,063,101円338,591円

社会保険料、各種税額計算式は以下になります。

国民年金(年額)

16,600円 * 12 = 199,200円
※国民年金保険料は毎年変動するため、16,600円の概算としています。

国民健康保険(年額)

国民健康保険料 = 年間所得額 × 所得割額の税率 + 加入者数 × 均等割額
→年間限度額の上限を超えるため、限度額上限の850,000円
(参考)東京都江東区ホームページ「国民健康保険料試算シート」を使用して算出

所得税および復興特別所得税(年額)

まずは課税所得を算出します。

  • 課税所得 = 年収(事業所得)− 所得控除(国民年金 + 国民健康保険 + 所得税の基礎控除)
    = 12,000,000 − (199,200 + 850,000 + 480,000)
    = 10,470,000円(千円未満は切り捨て)
  • 所得税 = 課税所得 × 税率 − 税率に応じた控除
    = 10,470,000 × 33% − 1,536,000(税率33%の場合の控除額)
    = 1,919,100円
  • 復興特別所得税 = 所得税 × 2.1%
    = 1,919,100 × 2.1%
    = 40,301円

よって、所得税および復興特別所得税は、以下となります。
所得税および復興特別所得税 = 1,919,100 + 40,301 = 1,959,401円

住民税(年額)

住民税は所得割+均等額割で算出し、調整控除額を加えます。

①所得割 

  • 課税所得 = 年収(事業所得)− 所得控除(国民年金 + 国民健康保険 + 住民税の基礎控除)
    = 12,000,000 − (199,200 + 850,000 + 430,000)
    = 10,520,800
  • 課税所得は10,520,000円(千円未満は切り捨て)。
  • 所得割 = 10,520,000円(課税所得)×10%(都民税4% + 特別区民税6%)
    = 1,052,000円

②均等額割

一律5,000円

③調整控除額

調整控除額 = 人的控除の差額の合計額 −(合計課税所得金額 − 200万円)
(この額が5万円より小さいとき、調整控除額は2,500円(都民税1,000円、特別区民税1,500円)となる)
人的控除の差額は5万円(基礎控除のみ)となるため、

  • 50,000円(基礎控除)− (10,520,000円 − 2,000,000円)= −約847万円

の計算式で、5万円より小さいため、調整控除額は2,500円となります。

よって、住民税は以下の計算で求められます。
住民税 = 1,052,000円(①所得割)+ 5,000円(②均等額割)− 2,500円(③調整控除額)
= 1,054,500円

フリーランスエンジニアができる節税方法

すべてのフリーランスエンジニアが節税できるのは、所得税と住民税です。所得税は毎年2月中旬~3月中旬に確定申告を行い、その額が確定します。確定申告の際に各種控除を受けて課税所得を低くすれば、その分所得税額も低くなり、節税につながるのです。

また住民税も確定申告をした際に算出された課税所得に応じて算定されるため、納税額がおさえられます。ここでは控除できる項目について記載します。

青色申告をする

確定申告には白色申告と青色申告があります。青色申告は最大65万円の青色申告特別控除を受けられる方式です。青色申告で最大額の控除を受けるためには、あらかじめ税務署へ所得税の青色申告承認申請手続を行う必要があります。また確定申告の際には、下記の条件を満たさなければなりません。

  • 貸借対照表と損益計算書を添付する
  • 複式簿記を行う
  • 確定申告を期限内に申告する
  • e−taxで電子申告する

※参考:国税庁 -65万円の青色申告特別控除の適用要件

e−taxでの電子申告をしない場合には、55万円の控除となります。複式簿記を行わず簡易的な記帳を行う場合は、青色申告特別控除は10万円です。青色申告はほかにも、家族への給与を経費にできるなどメリットがあります。そのためフリーランスとしては利用しておきたい制度です。

保険やローンの控除

基礎控除のほかに、住宅ローンや生命保険、NISAや小規模企業共済、ふるさと納税やその他寄付などを行っていると、控除に組み込めます。下記は控除の種類です。

控除の種類控除を受けられるケース
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)住宅を新築した場合や改修した場合、中古住宅を購入した場合など
雑損控除震災や火災、盗難などで家財に被害を受けた場合
医療費控除本人と生計を一にする家族の医療費が発生した場合
社会保険料控除国民年金や国民健康保険、厚生年金などの社会保険を支払った場合
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済に加入している場合
生命保険料控除生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払っている場合
地震保険料控除地震保険料を支払っている場合
寄附金(寄付金)控除国や地方公共団体、特定公益増進法人などに寄付を行った場合(ふるさと納税も含まれる)
障害者控除本人が障害者である場合
寡婦・寡夫控除本人が寡婦・寡夫である場合
勤労学生控除本人が勤労学生である場合
配偶者控除控除対象配偶者がいる場合
配偶者特別控除本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計 所得金額が48万円~133万円以下である場合
扶養控除16歳以上の控除対象扶養親族がいる場合
基礎控除すべての人に適用される控除

※参考:
国税庁 住宅ローン控除を受ける方へ
国税庁「所得から差し引かれる金額」(所得控除)

必要経費

事業収入を得るために使った費用は、必要経費として計上でき、その分課税所得額がおさえられます。必要経費の計上は法律で認められているにもかかわらず、もし記載漏れがあれば損をしてしまいます。したがって必要経費は漏れなく洗い出し、計上することが大切です。

フリーランスエンジニアが関係する経費は、下記が挙げられます。

  • PC、スマートフォン、タブレットなどのハードウェア代
  • 開発環境などのソフトウェア代
  • プリンタ、イヤホンマイク、Wi−Fiルーターなどの周辺機器
  • 書籍、資料
  • 文房具、切手代
  • 机や椅子、照明など
  • 技術フォーラムへの参加費
  • オンライン講座の受講費
  • 交通費 ほか

必要経費として計上するためには、支払い証明として領収書やレシートが必要となります。領収書やレシートの保管期間は原則7年です。事業と関係ない費用は、必要経費として計上できません。

家事按分

家賃や水道光熱費なども経費ではありますが、生活空間と事業空間が混在している場合には、全額を経費にはできません。あくまで「事業に使った分」を計上することが必要です。そこで家賃や水道光熱費を計上するには、一定の割合を算出する「家事按分」を用います。

家事按分では、「プライベート60%:事業40%」というように、使った割合を決めます。この割合には、事業のための支出であることの明確な根拠が必要です。たとえば自宅の一部で業務を行っている場合、部屋の床面積の割合や、部屋の使用時間を根拠とすることができます。

家事按分できる費用は、下記が挙げられます。

  • 水道光熱費:ガス・水道・電気の代金です。
  • 地代家賃:作業場所の代金です。
  • 通信費:インターネットを家族と共用している場合は、家事按分となります。
  • 損害保険料:オフィスの火災保険料や自動車の自動車保険料などです。
  • 減価償却費:車やPCなどの10万円以上の資産が対象です。「減価償却」として数年にわたって計上します。

経費節約の方法

事業に使った費用は経費として計上できるとはいえ、無計画に経費を使ってよいというわけではありません。費用を抑えられるところは抑えていきましょう。社会保険や保険商品でも、費用を節約できる方法があります。

国民年金の前納

国民年金保険料は、一定期間の保険料を前納(前払い)が可能です。まとめて前納を行うと、割引が適用され、支払額が少なくなります。また期間は、2年前納、1年前納、6カ月前納、次の月の保険料を当月に支払う当月末振替(早割)の4パターンです。

2年前納の場合が最も保険料が安くなり、またクレジットカード・納付書払いよりも口座振替の方が保険料が安くなります。令和5年度の場合は口座振替で2年前納が総費用が最も安く385,900円となり、割引額が16,100円となります。

※参考:「国民年金保険料の前納|日本年金機構」

国民健康保険を保険料の安いところに変える

国民健康保険ではなく、国民健康保険組合に入る手もあります。国民健康保険組合は、医師や弁護士、製造業や建築業など、同種の職業や業界、企業グループごとに運営されている健康保険組合です。

国民健康保険組合の例としては、デザイナーやデザインに関わるエンジニアなどが所属できる「文芸美術国民健康保険組合」があります。国民健康保険よりも保険料が安くなるため、条件が合えば検討の余地があります。

小規模企業共済やNISA、iDeCoに加入する

将来の退職金や年金を増額するためのサービスの中には、控除が受けられるものがいくつかあります。控除を受けられるサービスに加入し、節税につなげるのもひとつの手です。国民年金に加入している場合は、厚生年金に比べて将来もらえる年金の額が低くなるため、こういったサービスの利用は節税だけでなく将来への備えになります。

下記はサービスの例で、いずれも控除が可能です。

小規模企業共済

小規模企業の経営者や役員、自営業、フリーランスなどが、廃業時や退職時の備えとして積み立てを行える制度です。

NISA

一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる「少額投資非課税制度」です。2024年から制度の内容が大幅に変更になります。

iDeCo

個人型確定拠出年金という私的年金制度です。自分で金融商品を選び、運用することで利益を得られます。

個人事業主から法人化すると得られるメリット

節税のために、法人化を決断した元・フリーランスは少なくありません。法人化(法人成り)とは、個人事業主が法人登記し、会社を設立することです。法人ならではの手続きの手間はありますが、税制の優遇があったり経費計上の範囲が広がったりと、高額報酬を得ている人にとってはメリットが大きくなります。

メリット1.納税がお得になる

個人事業主の立場で所得税を納める場合、所得税率は累進課税となっており、税額は事業で得た利益に比例して税率が高くなっていきます。法人では、所得税の代わりに法人税を納めることになります。下記は課税所得に対する税率の例です。同じ報酬でも納める税率が違うのがわかります。

例)※法人は資本金1億円以下のケース

課税所得法人税所得税
800万円の場合

800万円以下:15%
800万円を超えた部分:23.2%

23%
1,000万円の場合800万円以下:15%
800万円を超えた部分:23.2%
33%

メリット2.役員報酬や退職金を経費計上にできる

個人事業主の場合、事業主の報酬は経費となりません。法人の場合は、役員報酬(事業主の給料)が経費計上でき、給与所得控除が適用されます。そのほか、退職金を損金として経費計上できます。

メリット3.赤字(欠損金)の繰越控除が10年間可能

法人になると、赤字(欠損金)の繰越控除が最大10年間可能となります。欠損金を将来に繰り越すと、将来の所得(黒字)と欠損金を相殺し、納める予定だった法人税を減らせます。
原則、所得金額の50%を限度に相殺の処理ができ、中小企業については、所得の全額まで損金処理が可能です。

メリット4.節税以外にも社会的信用度が上がる

法人は登記を行うため、個人事業主よりも社会的信用度が高くなります。特に金融機関からの融資や、人材採用の募集などは、個人事業主に比べて有利です。

法人化には人によってデメリットも

法人化にはメリットばかりでなくデメリットもあります。法人設立のコストや手間がかかる、赤字でも住民税が発生する、全社員の社会保険加入が義務づけられるため社会保険料のコストがかかるといった具合です。また経理や税務などの事務作業も増えます。

ただこれらのデメリットを税制優遇のメリットが上回れば、挑戦する価値はあると言えます。フリーランスの働き方が軌道に乗ったときに、検討してみてください。

まとめ

フリーランスエンジニアの手取りの目安と、節税や節約の為の方法をご紹介しました。具体的な目標の手取り額を決めれば、フリーランスエンジニアとして働く際にモチベーションをキープできます。フリーランスになりたい方は、ぜひ具体的に手取り額を計算して、収入に対する不安を解消してみてください。

監修者プロフィール

黒田 悠介
税理士法人Bridge 代表税理士・政治資金監査人
大手税理士法人で相続対策・事業承継業務に従事。 その後、金融機関・IPO企業・富裕層コンサルティング会社を経て、税理士法人Bridge東京・静岡事務所を創設、現在まで代表を務める。
「お客様に幸せの架け橋を」というビジョンを掲げ、IPOコンサル・相続事業承継対策など多角的な税務サービスを行っている。
【⇒税理士法人Bridge HP( https://bridge-tokyo.co/ )】
【⇒lit.link( https://lit.link/yusukebridge )】

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