フロントエンドエンジニアの平均年収は?年収アップの方法や将来性も解説
フロントエンドエンジニアは、Webサイトのユーザーが実際に触れる部分を設計・制作するエンジニアです。カテゴライズされてからまだ日が浅く、サイト設計からWebデザイン・サイトコーディングまでの広大な範囲を担っています。
この記事では、よく対比されるバックエンドエンジニアと比較しつつ、平均年収や年収アップの方法・必要なスキル・将来性などを解説します。
将来を見据えたキャリアプランを立てる際の参考となれば幸いです。
フロントエンドエンジニアの仕事内容
フロントエンドエンジニアの仕事内容はWebサイトのユーザーが触れる部分を設計・構築することです。主にサイトのUI/UXの設計を行っています。
近年はスマートフォンの普及が進んでいることから、モバイル用のUIの設計も増えているのが特徴です。
使用する言語としては、HTML・CSS・JavaScriptなどがあります。会社の規模や予算感によってはデザインをWebデザイナーではなく、フロントエンドエンジニアが担当する場合もあります。
また、Webサイトはフロントエンドエンジニアだけでは作れません。例えば、バックエンドエンジニアは、Webサイトのユーザーからは見えないサーバーサイドの構築をするエンジニアです。
バックエンドエンジニアやデザイナーなど他職種との連携が必要な職種であるといえます。
フロントエンドエンジニアの平均年収
日本人全体の平均年収433万円(※1)に対して、フロントエンドエンジニアの平均年収は557.6万円(※2)と高い傾向にあります。
また、スキルを身につけていけば、平均年収の2倍以上の年収の獲得も夢ではありません。
よく比較されるバックエンドエンジニアの平均年収は689.4万円(※3)で、フロントエンドエンジニアよりも高くなる傾向にあります。フロントエンドエンジニアに比べると必要なスキルの習得難易度が高いことから、平均年収も高くなっていると考えられます。
※参考1:令和2年分 民間給与実態統計調査|国税庁
※参考2:職業情報提供サイト|厚生労働省
※参考3:職業情報提供サイト|厚生労働省
年代別の平均年収
フロントエンドエンジニアの年収は年代によって大幅に変わります。
年代 | 平均年収 |
20代 | 392万円 |
30代 | 553万円 |
40代 | 636万円 |
50代 | 659万円 |
ただし、上記の数値はあくまで平均であり、経験年数や所有スキルによって年収は決まります。
フリーランスの平均年収
フロントエンドエンジニアのフリーランスの平均年収は、会社員に比べて高くなる傾向があります。以下はフリーランス案件紹介サイトから算出した平均年収です。
参考サイト | 平均年収 |
TECH STOCK | 834万円 |
レバテックフリーランス | 864万円 |
収入を上げるためには高いスキルと知識を要求されますが、十分に年収アップを狙える職種であるといえるでしょう。
フロントエンドエンジニアで年収1,000万円は可能?
結論として、フロントエンドエンジニアで年収1,000万円は可能です。
ただし、高いスキルや豊富な経験を求められるため、実際に年収1,000万円を実現しているフロントエンドエンジニアは少ないと考えられます。
前章で解説したように、フロントエンドエンジニアの年収はフリーランスの方が高い傾向にあるため、ここでは、年収1,000万円以上を狙えるフリーランス案件を2つご紹介します。(※月額報酬×12で算出)
年収1,000万円を狙える案件①
〈ECショップのフロントエンド開発(リーダー)〉
月額報酬:~95万円
業種 :複合サービス事業
勤務形態:フルリモート
【業務内容】
- ECショップの構築(HTML, CSS, Javascript, Ruby on Rails)及びディレクション
- CSS設計及びCSSフレームワーク・UIコンポーネントの開発と構築
- Google Analyticsなどを活用したアクセス解析と開発企画提案
- SQLやPythonを使用したデータ解析業務
- 社内ツールの開発
【必須スキル】
- デザインデータからGulpなどのタスクランナーを使用したHTML/CSSデータの作成経験
- データベース設計経験
- Ruby, Python
―フロントコーディング - 業務経験3年以上
- HTML / CSS
- SCSS
―JavaScript - jQuery
- npm
- Gulp.js
- EJS
年収1,000万円を狙える案件②
〈【Next.js/React】新規プラットフォームサービスのフロントエンド開発〉
月額報酬:~90万円
業種 :サービス業
勤務形態:一部リモート(週4回出社)
【業務内容】
- 新規プラットフォームのフロントエンドの開発
【必須スキル】
- React v16.8以降を使った実装経験あり(1年以上)
- TypeScript に関する基本的な知識を保有
- JavaScript による RESTful API の呼び出しの理解
- デザインカンプを見て、 CSS or Sass/SCSS のコーディングで実装可能
フロントエンドエンジニアが年収をアップさせる方法
フロントエンドエンジニアが年収をアップさせる方法としては、主に以下の4つです。
- スキルの幅を広げる
- 転職する
- 独立する
- キャリアアップする
一つずつ詳しく解説していきます。
スキルの幅を広げる
年収を上げる方法として、スキルの幅を広げることが挙げられます。
フロントエンドエンジニアの必須スキルであるHTML・CSS・JavaScriptはもちろん、そのほかにも複数の言語やフレームワークを使えるようになると、希少性が上がり年収アップにつながります。
また、開発スキルだけでなく、マネジメントスキルや企画力も企業から求められているスキルです。
リーダーとしてのマネジメント経験や企画段階から携わった経験があると、他のエンジニアとの差別化にもなります。
転職する
現在の会社が評価されにくい人事制度であり、年収を上げること自体が難しい職場環境である場合は、転職することで年収が上がる可能性があります。
同じスキルであっても会社によって給与は異なるので、より給与や待遇の良い会社はないか探してみると良いでしょう。
独立する
すでに専門的なスキルや十分な実績がある場合は、フリーランスとして独立する方法もあります。
前述のように、実力があれば年収1,000万円を目指すことも可能です。
ただし、継続して案件を獲得するためには、技術力だけでなく、営業力やコミュニケーション能力・セルフマネジメント力も必要になります。
フリーランスになりたい場合は、上記のスキル磨きも欠かさず行うと良いでしょう。
キャリアチェンジする
その他にも、フロントエンドエンジニアから他の職種にキャリアチェンジする方法もあります。
例として考えられるのが、以下の3つです。
- Photoshopやillustratorのスキルを磨いてWebデザイナーになる
- JavaやRuby・PHPなどの言語を習得してバックエンジニアになる
- マネジメント力や顧客分析スキルなどを身につけてWebディレクターになる
新たにスキルを習得する必要はありますが、より給与や将来性の高い職種にキャリアチェンジすることで、年収アップを見込めます。
フロントエンドエンジニアの年収アップに必要なスキル
フロントエンドエンジニアが年収をアップさせるために必要なスキルを3つご紹介します。
フロントエンドエンジニアの業務内容は広範囲に及ぶため、ご自身の希望するキャリアパスに沿って、必要なスキルを習得することが重要です。
実践的な開発スキル
実践的な開発スキルとしては、まずフロントエンドエンジニアのほとんどが扱うことになるHTML・CSS・JavaScriptの言語が挙げられます。
また、CMS構築スキル(特にWordPress)も身につけておくと良いでしょう。
インターネット上で自社サイトを構築しPRできるようになったことで、多くの企業がサイト構築のためにCMSを導入しています。Web Technology Surveys(※)によると、日本国内でCMSに占めるWordPressのシェア率は84.2%に上ります。(2022年11月時点)
WordPressの操作やWordPressを用いたWebサイト構築の知識を学んでおけば、広い範囲の業務知識を兼ね備えたエンジニアを目指せるでしょう。
ほかにも、バックエンドエンジニアが担当することの多いRubyやPHPなどの言語を習得しておけば、Webアプリケーションの作成やCMS自体の構築・改良といった専門的な業務まで行えます。
バックエンドエンジニアとも同じ知識量で会話できることで、よりプロジェクトを円滑に進行させることもできます。
UI/UX設計・Webデザインスキル
Webデザイナーが行う業務知識を習得すれば、コーディング作業をより円滑に進めることができるだけでなく、WebデザイナーとUI/UX設計について協議することも可能です。
ユーザーの満足度に直結するスキルでもあるので、フロントエンドエンジニアには重要なスキルです。
ユーザビリティを考慮したコーディングを行うことができるようになり、テックリードとしてWebの設計も行えます。
SEOに関する知識
WebサイトのSEOは、サイト外部施策やサイト内部施策など範囲が広大です。
サイト内部の施策にあたるテクニカルSEOについては、サイト構造やクローラーの動きなどを理解し、検索エンジンによるクローリング速度を上げることで、結果的には自社の認知・収益アップにつながります。
未経験からフロントエンドエンジニアになる方法
未経験からフロントエンドエンジニアになるためには、基礎であるHTMLやCSS・JavaScriptの言語を扱える必要があります。
書籍やWebを活用して、独学でスキルを身につけることもできますが、時間がかかるうえに途中で挫折してしまう可能性も高いです。
また、どのくらいのレベルになったら仕事にできるのかも自分ではなかなかわかりません。
そのため、プログラミングスクールやe-learingにより講師から学ぶ方法がより確実です。
習得したスキルを証明するために、HTML5プロフェッショナル認定試験やWebクリエイター能力認定試験などの資格を取得するのも良いでしょう。
フロントエンドエンジニアの需要と将来性
フロントエンドエンジニアの需要は今後も減りにくいと考えられます。
総務省が公示している情報通信白書(令和4年版)(※)の「我が国におけるスマートフォンの世帯保有率の推移」では、2021年には88.6%の世帯がスマートフォンを所持しているという調査結果が示されました。
現在ではパソコンだけではなく、モバイルでも多くのユーザーがアプリケーションサービスやインターネットサービスを利用しています。
今後もアプリやWebサービスは増え続けることを考えると、これからもWeb業界は発展していくと予想されます。
一方で生成AIを始めとする技術の発展により、知識がなくても開発ができるだけでなく、開発そのものに人の手をかける必要のない時代がやってくる可能性も考えられるでしょう。
そのような未来に備えて、今からスキルの幅を広げておくことが重要です。
※参考:情報通信白書(令和4年版)
フロントエンドエンジニアのキャリアパス
フロントエンドエンジニアのキャリアパスとしては、一般的にはコーダーからマークアップエンジニアになり、フロントエンドエンジニアになる流れが多いです。その後のキャリアパスは選択肢が多いのが特徴です。
コーダーは、HTMLやCSSをコーディングする仕事であり、知識がない状態からでも学びやすいことから初心者に人気の職種です。
マークアップエンジニアは、コーダーよりも高いコーディングスキルを持っている人を指し、HTMLやCSSだけでなく、動的ページを制作する際に利用されるJavaScriptなどのスキルが求められます。
上記の言語はもちろんのこと、より複雑なJavaScriptやPHPなどを扱え、サーバーサイドの知識も有し、デザイン設計も担える人をフロントエンドエンジニアと呼びます。サイト設計の全工程を、俯瞰的に見て理解できる能力が必要です。
その後のキャリアパスとしては、フロントエンドエンジニアのスペシャリストになるほか、どのようなスキルを身につけていくかでキャリアの幅が広がります。
選択肢の一例としては、Webデザイナーやバックエンドエンジニア・Webディレクターなどです。複数の言語やスキルを身につけて、フルスタックエンジニアにもなる人もいます。
キャリアチェンジにより大幅な年収アップを狙えるのが特徴です。
まとめ
この記事では、フロントエンドエンジニアの平均年収や年収アップの方法・将来性などを解説しました。
職業として呼ばれるようになってからまだ日が浅いですが、フロントエンドエンジニアの業務範囲は広がりを見せています。
フロントエンドの知識だけではなく、幅広い分野のスキルを習得することで、年収アップを狙えます。ご自身で考えたキャリアパスに沿ったスキルから習得していき、計画的にステップアップすることが重要です。
ぜひ本記事をフロントエンドエンジニアとしてのキャリアアップの参考にしてみてください。