【無料テンプレート】フリーランスが領収書を受領・発行する際の書き方・管理方法を解説
フリーランスとして活動する上で、領収書の発行と管理は重要です。
領収書は取引相手との金銭の授受を証明するだけでなく、税務上の経費申告の際にも必要な書類です。領収書の記載事項や保管方法を正しく理解することで、トラブルを回避し、経費管理を効率的に行うことができます。
本記事では、領収書の発行方法や記載項目、保管方法など、フリーランスが知っておくべきポイントを詳しく解説します。
無料のテンプレートも配布していますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
領収書の役割とは【無料テンプレートDL】
領収書とは、金銭の受領を証明するための重要な書類です。
支払いや受領が行われたことを記録し、税務や取引におけるトラブルを防ぐ役割を果たします。例えば、取引先からの二重請求や過払いを防止し、支払った金額の証明にもなります。
また、領収書は経費の証明としても有効です。税務申告や税務調査の際、領収書を提出することで業務関連の支出(例: パソコン、家賃、交通費、飲食代など)を経費として申告できます。
領収書の管理はフリーランスにとって節税に直結するため、必須といえるでしょう。
なお、フリーランスにおすすめな領収書は、以下リンクより登録不要でダウンロード可能です。
電子情報は領収書として認められるか?
電子帳簿保存法では、電子データやPDF形式の領収書も正式な証憑書類として認めています。電子帳簿保存法の改正により、紙の領収書をデジタルで保存できることに加えて、電子取引における領収書の電子保存が義務化されました。
電子データの領収書を扱う際には以下の要件を満たす必要があります。(※)
- 真実性の確保:保存したデータが削除や改ざんされていないことを証明するために、タイムスタンプの付与などの適切な保存方法を採用する必要がある
- 可視性の確保:保存したデータはいつでも表示でき、日付や金額で検索できるようにしておく必要がある
フリーランスが領収書を発行する際に準備すべきもの
フリーランスが領収書を発行する際に準備すべきものと注意点を解説します。最後に領収書発行にすぐ使える領収書のテンプレートも用意していますので、ぜひご活用ください。
収入印紙
収入印紙が領収書に必要かどうかは金額によって決まります。税抜きで5万円以上の取引に関する領収書(※1)には、収入印紙を貼付しなければなりません。
収入印紙は、取引にかかる印紙税を納めるためのもので、コンビニや郵便局で購入可能です。領収書の発行者が代金を負担し、金額に応じた収入印紙を貼り付ける仕組みです。
なお、収入印紙を貼り忘れた場合、本来納めるべき印紙税額の3倍の過怠税が課される可能性があります。(※2)また、貼付した収入印紙には消印をする必要があり、消印を忘れた場合も罰則が発生します。(※3)
印章・封筒・切手
領収書を発行する際に印章、封筒、切手が必要です。主な注意点は以下の通りです。
- 印章:収入印紙を領収書に貼った後には消印処理が必要です。印章は、契約時に使った印章ではなく、シャチハタであっても問題ありません。
- 封筒:領収書を入れる封筒は、長形3号(120mm×235mm)が一般的で、郵送や手渡しに使用します。
- 切手:郵送の場合は適切な切手を貼ります。信書に該当するため、宅配便やメール便で送らないよう注意が必要です。
領収書テンプレート
領収書の記載事項
ここでは領収書の記載事項を具体的なポイントとともに紹介します。
日付
領収書は、支払者から代金を受け取った日付を記載する必要があります。日付の記載が金銭の授受が行われた証拠となり、二重請求や支払いの防止に役立ちます。
日付は西暦でも和暦でも構いませんが、「2024年10月1日」や「令和4年12月1日」のように正確に記載しましょう。
空欄にしたり、不正確な日付を記入したりすると、税務署から指摘される可能性があります。記載する日付は、取引日ではなく、支払いが行われた日であることを忘れないようにしましょう。
宛名
領収書の宛名は、支払者の氏名や会社名を正確に記載する必要があります。略称や「上様」といった表記は避け、必ず正式名称を使いましょう。例えば、会社名の場合は「(株)〇〇」ではなく「株式会社〇〇」と記載します。
宛名が不適切だと、税務上無効と見なされる可能性があるため注意が必要です。
取引金額
取引金額は、実際に受け取った金額を税込で記載します。
金額の冒頭には「¥」または「金」と記載し、金額の末尾には「ー」や「円也」と記入するのが一般的です。また、数字は3桁ごとにカンマで区切り、桁数や「0」の数を確認しながら、誤解のないように丁寧に書きましょう。
但し書き
但し書きは、受け取った金額が「何に対する支払いか」を具体的に記載する項目です。単に「お品代」と書くのではなく、「LP制作代金として」「コンサルティング費用として」など、取引内容を明確に示しましょう。
特にインボイス制度に基づく領収書では、具体的な商品やサービス名を明記する必要があります。複数の商品がある場合は、高額なものを優先的に記載し、語尾には「として」をつけるのが一般的です。
発行者
発行者の欄には、自分の氏名や屋号、住所を記載します。事務所がある場合は事務所の住所、事務所がない場合は自宅の住所を記入します。
記載方法は手書きでも印刷でも構わず、ゴム印を使用することも可能です。
印鑑
領収書に印鑑を押すことは法的に必須ではありません。ただし、偽造を防止する対策として押印は有効です。押印がない場合でも領収書としての効力は失われませんが、取引先によっては押印を求められることがあります。
取引相手の要望に応じて、印鑑を使用することが一般的です。
領収書発行時の注意点
領収書を発行する際に押さえておくべき注意点として以下の2点を解説します。
- 5万円以上の場合は収入印紙が必要となる
- 相手から求められたら発行をしなければならない
5万円以上の場合は収入印紙が必要となる
領収書に記載された金額が税抜で5万円以上の場合、原則として収入印紙を貼付する必要があります。これは、印紙税法の「金銭または有価証券の受取書」に該当するためです。
収入印紙を貼付した後は、印紙が再利用されないように必ず消印処理を行わなければなりません。
例外として以下のように収入印紙が不要となるケースもあります。
電子領収書の場合(※1):
電子的に発行された領収書(PDFなど)は課税文書に該当しないため収入印紙は不要です。紙での交付が行われない場合、印紙税は課税されません。電子領収書は紙の領収書と同じく法的効力を持っています。
クレジットカード決済の場合:
現金が直接受け取られていないため、領収書に「クレジットカード決済」などと明記し、現金が受領されていないことを示す必要があります。
そのほかに税務署への事前届出によって、収入印紙を貼付せずに納付する方法もあります。大量の領収書を発行する場合などに適用される手続きで、収入印紙を貼る手間を省略できますが、納税義務は発生します。
相手から求められたら発行をしなければならない
領収書の再発行については、原則として再発行の義務はありません。
ただし、取引先との関係や特別な状況で、どうしても再発行が必要な場合には、再発行分であることを明確に記載して対応するようにしましょう。
二重計上などのリスクを回避しつつ、取引相手との信頼関係を保つことが重要です。
領収書の受け取り時の注意点
領収書を受け取る際にも注意点があります。
- 領収書の宛名は明記してもらう
- 領収書がないときは出金伝票を発行してもらう
上記の2点について解説していきます。
領収書の宛名は明記してもらう
領収書を受け取る際には、宛名を正確に記載してもらうことが重要です。宛名が「上様」や空白になっていると、誰が支払いをしたのかが明確にならず、後に税務調査などで問題視される可能性があります。
特に、法人の場合は会社名を省略せず、前株・後株の順序も間違えないように確認しましょう。一方、個人事業主の場合は、「屋号+個人名」または「個人名」を正しく記載してもらうことが求められます。
適切な宛名が記載されることで、経費の証拠としてしっかりとした領収書が手に入り、後のトラブルを防ぐことができます。
領収書がないときは出金伝票を発行してもらう
領収書をもらえなかった場合や、発行を依頼しにくい状況では、出金伝票を作成して代用することが可能です。例えば、自動販売機での支払い、駐車場の支払い、取引先へのご祝儀や香典など、領収書が発行されないケースが該当します。
出金伝票には、支払日、支払先名称、勘定科目、内容、金額などを記載します。出金伝票を作成することで経費としての記録を残すことができ、後の税務申告に備えられるでしょう。
インボイス制度においても、一部のケース(例: 3万円未満の公共交通機関利用)では、領収書の発行が免除される(※)ため、出金伝票の作成が重要となります。
また、領収書を紛失した場合にも、出金伝票が有効な代替手段として使われる場合があります。必要に応じて出金伝票を作成・管理しましょう。
領収書の保管方法
紙と電子データによって保管方法は異なります。それぞれの保管方法と領収書の保管期間について解説します。
紙の保管方法
紙の領収書の保存方法としては、月ごとに整理するのが便利です。例えば、領収書をA4の紙に貼り付けてノートにまとめたり、クリアファイルに保存したりする方法があります。
また、1日の領収書の数が多い場合は、クリップやホチキスで日ごとにまとめると、確認しやすくなります。さらに、封筒に月別で入れるという方法も有効です。月ごとに封筒を用意し、発生した領収書を該当する封筒に入れることで、月別の帳簿整理もスムーズに進みます。
感熱紙のレシートを保存する場合には注意が必要です。感熱紙は、長期間保管すると文字が薄れたり、変色して読めなくなる可能性があります。感熱紙のレシートはスキャンして電子データ化したり、コピーを取って保存する対策がおすすめです。
電子データの保管方法
電子データの領収書を保管する際は、電子帳簿保存法に基づいた要件を満たすことが必要です。
2022年の法改正により、ハンドスキャナや複合機によってスキャンした領収書や、スマートフォンやデジカメで撮影した領収書も保存が認められるようになりました。さらに、2024年からは取引で使用した電子データはそのまま保存することが義務化されています。(※)
電子データには、タイムスタンプの付与や、日付や金額での検索機能が求められます。保存時は、フォルダごとに整理する、クラウド会計ソフトを活用して効率的に管理するなどの工夫が必要です。
領収書の保管期間
領収書の保管期間は、申告方法によって異なります。
青色申告の場合は、基本的に7年間の保管が必要です。ただし、前々年分の所得が300万円以下の場合には、保管期間は5年間に短縮されます。
一方で白色申告の場合は、原則として5年間の保管が求められます。収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)に関しては7年間です。(※)
また、2023年に開始されたインボイス制度に基づき、適格請求書発行事業者として登録した場合、インボイスを含む領収書は7年間の保管が必要です。
保存期間は、領収書を発行・受領した日からではなく、該当する課税期間の末日の翌日から数えられます。領収書の保管期間を守ることは、税務調査に備えるためにも重要です。
まとめ
領収書はフリーランスにとって、日々の取引を記録し、経費を証明するための重要な書類です。収入印紙の有無や記載事項に注意しながら正確に発行・保管することで、税務処理がスムーズに進むだけでなく、取引先との信頼関係を築けます。
フリーランスの場合、領収書を受領するだけでなく、発行する場面も少なくありません。どちらの場合でもスムーズに業務をこなせるよう準備できるのが理想的です。
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