Go言語(golang)とは? 特徴・できること・将来性を徹底解説
Go言語は、2009年にGoogleから発表されたプログラミング言語です。正式名称は「Go」ですが、この記事では便宜上、慣用的に使われている「Go言語」と表記します。Go言語は、記述のシンプルさと処理速度の高さが評価されており、2020年には「エンジニアが学びたいプログラミング言語ランキング」で1位を獲得しています。またIoTやコンテナ技術など、将来性の高い分野で使われているため、Go言語に強いエンジニアの需要は高まっています。
この記事では、Go言語を使うことによってできることや特徴を紹介した上で、具体的な将来性や学習方法を解説します。
出典:HackerRank’s 2020 Developer Skills Report
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Go言語とは
Go言語は、2009年にGoogleによって開発されたオープンソースのプログラミング言語です。
シンプルな構文で「誰が読んでも分かりやすいプログラム」であることが最大の特徴です。このような言語が誕生した背景には、開発の歴史が関わっています。
Go言語誕生の歴史
Go言語の開発には、
C言語の前身であるB言語を開発した、世界的にも有名なコンピューター科学者ケン・トンプソン氏
Java用コンパイラー「HotSpot」などの開発に携わった、同じくコンピューター科学者ロバート・グリースマ氏
Plan 9やInfernoなどのOS開発に携わった、ソフトウェア工学者ロブ・パイク氏
などが関わっています。
Go言語が開発された当時、コンピューターの処理速度向上やマルチプロセッサの登場により、システムが大規模化・複雑化していきました。その環境の変化に対応すべく、よりシンプルで簡単に扱えるよう設計されたのがGo言語です。
Go言語の特徴 - メリットとデメリット
Go言語は効率の良さとコードのシンプルさを追求した言語で、多くのメリットがあります。
しかしその一方で、構文によるデメリットも存在します。
ここからは、Go言語のメリットとデメリットを通じて、その特徴を解説していきます。
メリットとデメリットのどちらも知っておくことで、スムーズにGo言語の学習や開発をはじめることができます。
Go言語のメリット5つ
Go言語には、以下のような5つのメリットがあります。
- 記述がシンプル
- 高速処理が可能
- 並行処理・並列処理が可能
- 複雑なシステム構築に最適
- メモリーの安全性が高い
本章では、それぞれについて詳しく解説します。
1.記述がシンプル
Go言語は記述量が少なく、加えて、コードの書き方が厳密に決まったプログラミング言語です。そのため、シンプルで可読性が高いと言われています。初心者でもわかりやすく、プログラミングが初めてという場合でも、簡単なアプリケーションであれば作ることができます。
2.高速処理が可能
Go言語は、記述したコードを実行する際、事前に機械語へ変換できるコンパイラー言語です。それに対して、PHPやPythonなどのインタプリタ言語は、プログラムを実行する際、一行づつ機械語に変換します。
そのため、コンパイラー言語はインタプリタ言語に比べ、処理速度が速いという特徴があります。
また、Go言語はJavaやC#とは異なり、仮想マシンを介さずに処理を実行できるため、より処理が速く、メモリーの消費も抑えることができます。
3.並行処理・並列処理が可能
Go言語は、並行処理と並列処理の両方ができるという特徴があります。
並行処理とは、1つのコアで複数のプロセスを1つずつ切り替えて、順不同に行うものです。
対して並列処理では、複数のコアで同時に処理を行います。
この並行処理と並列処理をうまく使い分けることで、複数のCPUを持つコンピューターのパフォーマンスを引き出すことができます。
4.複雑なシステム構築に最適
Go言語はコードの書き方が厳密に決まっているので、プログラマーごとの記述の癖が出にくいという特徴があります。
そのため、大規模で複雑なシステム構築であっても、記述者以外のエンジニアがコードを理解しやすくなります。
つまりGo言語は、チームでの開発や保守・運用がしやすいプログラミング言語であるといえます。
また、オープンソースであるため、バグや脆弱性があれば柔軟に修正することもできます。
5.メモリーの安全性が高い
Go言語は、メモリーの安全性も考慮されています。
C言語を使う場合は、メモリーの安全性についてが課題でした。しかし、Go言語はガベージコレクションを備えているため、メモリーリークが回避しやすくなっています。
また、Go言語にもポインター自体は存在しますが、エラーの発生しやすい「ポインター演算」の機能を備えていません。このような理由から、メモリーの安全性が高いといえます。
Go言語のデメリット4つ
次に、Go言語のデメリットを4つ解説します。
- 継承ができない
- 三項演算子がない
- Genericsが実装されたばかりで情報が少ない
- 例外処理がない
1.継承ができない
Go言語には継承の機能がありません。
継承とは、オブジェクト指向プログラミングにおける概念であり、既存のクラスの性質を別のクラスに受け継ぐことです。
この継承機能がGo言語にはないため、既存コードの使いまわしがしにくく、コード修正がやりにくいというデメリットがあります。
Go言語では、構造体を利用してオブジェクト指向のようなプログラムを作ることが可能ですが、Googleから「オブジェクト指向である」とは明言されていません。オブジェクト指向のように開発を進めようとしても、できない場合があると認識しておくのが良いといえます。
2.三項演算子がない
Go言語には三項演算子がありません。
三項演算子を用いると、if文のような条件分岐を、より少ない記述量で実装することができます。つまり、三項演算子のないGo言語では、条件分岐の記述が長くなるというデメリットがあります。
3.Genericsが実装されたばかりで情報が少ない
Go言語ではコードをシンプルにするために、最近までGenericsが実装されていませんでした。Genericsとは、同じコードでさまざまな種類のデータ型を処理することができるプログラミング言語の機能です。
2022年3月のアップデートで、Go言語にもGenericsが実装されましたが、まだ実装されたばかりのため、情報は多くありません。大規模な新機能が追加された後は、新しいエラーが発見されやすい傾向があるため、Go言語でGenericsを用いる際には注意が必要です。
4.例外処理がない
Go言語は例外処理を書かないことを前提に設計されているため、当然のことながら、例外処理がありません。
ただ、エンジニアの中には、例外処理を書かないことを理想としている人も一定数います。例外処理が発生すると、想定していない動作やエラーが出る可能性が高まるからです。
そのため、例外処理がないことは、一概にデメリットとは言い切れないものです。
Go言語でできること
Go言語は、さまざまなものを作れる汎用性の高いプログラミング言語です。
本章では、Go言語でできることを具体的に5つ紹介します。
- Webサーバー・Webサービスの開発
- スマートフォンアプリの開発
- IoT開発
- CLIアプリケーションの開発
- APIサーバー開発
Webサーバー・Webサービスの開発
Go言語では、Net/httpパッケージを用意すれば、簡単にWebサーバーの構築ができます。他言語では必要となる、ApacheなどのWebサーバーソフトを用いずに構築ができるということです。
また、Go言語はクロスコンパイルが容易であるため、開発環境とは異なる環境でも動作するWebサービスを開発することができます。
このように、サーバーの構築からサービスの開発までの全てをGo言語で網羅できるため、開発の効率化を図ることが可能です。
スマートフォンアプリの開発
Go言語は、スマートフォンアプリ開発に活用できる「Go mobile」や「Go Cloud」などの制作ツールが提供されています。そのため、手軽にスマートフォンアプリの開発を行うことができます。また、Androidはもちろん、iOSにも対応しているのが魅力です。
IoT開発
Go言語には、「Gobot」が公開されています。
Gobotは、35種類ものプラットフォームに対応することができるロボティクス/ドローン/IoT開発のフレームワークです。Gobotには、ネットワークを介して複数のデバイスで通信をする機能があるため、遠隔でデバイスを操作したり、センサーで感知した情報を他のデバイスへ送ったりすることが可能です。Gobotは、Go言語でのIoT開発に欠かせないフレームワークと言えます。
CLIアプリケーションの開発
CLI(Command Line Interface)とは、コマンドを入力して画面の操作を行うインターフェースのことです。例えば、LinuxやMacなどのターミナルは、コマンドを使ってコンピューターに指示を出すインターフェースのため、CLIの一種であると言えます。
Go言語は、OSやバージョン、プラットフォームを問わずに開発を行えるため、CLIアプリケーションの開発に向いているプログラミング言語です。
APIサーバー開発
API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアの一部機能を共有し、その機能を外部から利用できるようにするインターフェースです。Go言語の「記述がシンプル」「例外処理がない」「並列処理が可能」「環境を問わずに開発可能」という特徴が、API開発で活きています。
Go言語の将来性
Go言語エンジニアの将来性は高いと言えます。Go言語は、今後伸びると予想される先端技術との相性が良い言語です。また、多くの企業がGo言語を導入していることから、Go言語エンジニアの需要は、今後さらに増えると予想されています。本章では、Go言語エンジニアの将来性が高いと言える理由について、詳しく解説します。
先端技術に利用されている
Go言語は、アプリ開発やWeb開発だけではなく、クラウドやコンテナ技術、IoTやドローンといった先端分野でも活用されています。
特にIoTやドローンは、農業のIT化に大きく貢献しており、生産性を飛躍的に向上させています。今後も、農業のIT化が進む中で、Go言語を扱えるエンジニアの需要は高まっていくと予想されます。
多くの企業が導入している
企業がGo言語を導入する背景には、5Gの普及が関係しています。5Gの普及により、サーバーの処理速度の高さが求められるようになりました。そのため、PHPで構築されたWebサービスを、より処理能力の高いGo言語に書き換える企業が増えてきています。
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Go言語を学習する方法
Go言語は記述のシンプルさなどの理由から、初心者でも学びやすく、プログラミング未経験の場合にもおすすめの言語であるといえます。
本章では、初心者がGo言語の学習を始める場合におすすめの学習方法を3つ紹介します。
- 書籍で学習する
- 学習サイトを活用する
- プログラミングスクールで学習する
書籍で学習する
まず、プログラミングの学習方法として、書籍で学習する方法があります。書籍で学習する場合には「書籍選び」が重要になります。初心者であれば、分かりやすくまとまっている、専門用語の少ない書籍から始めるのがおすすめです。具体的なおすすめ書籍に関しては、次の章で紹介しています。
学習サイトを活用する
学習サイトはインターネット環境さえあれば、時間や場所を問わず、スキマ時間でも学習が進められます。無料の学習サイトも多く、有料の場合でも、プログラミングスクールでの学習に比べて安価です。気軽に始めたい場合には学習サイトがおすすめです。具体的なおすすめの学習サイトは次の章で紹介しています。
プログラミングスクールで学習する
独学では不安な場合には、プログラミングスクールに通うという方法もあります。プログラミングスクールでは、エンジニア講師が基礎知識から教えてくれます。また、分からないところをすぐに質問できるため、自力では挫折しそうな場合、挫折した経験がある場合などにはスクールがおすすめです。
Go言語のおすすめ学習サイト
Go言語の学習におすすめのサイトを5つ紹介します。
・The Go Programming Language
・A Tour of Go
・Udemy
・とほほのGo入門
・ドットインストール
The Go Programming Language
1つ目に紹介するおすすめ学習サイトは、Go言語の公式の日本語サイト「The Go Programming Language」です。簡単なコードを試せるツアーがあり、Go言語の基礎的な知識を学ぶことができます。
A Tour of Go
2つ目に紹介する学習サイトは「A Tour of Go」です。 A Tour of Goは、Go言語のチュートリアルができるサイトです。実際に手を動かしながら、Go言語の基礎的な知識を学ぶことができます。先ほど紹介した「The Go Programming Language」と合わせて学習すると、より効果的です。
Udemy
3つ目に紹介する学習サイトは「Udemy」です。Udemyは、動画コンテンツで学習することができるプラットフォームです。幅広い内容のコースが用意されているため、基礎から応用までを学習することが可能です。頻繁に割引キャンペーンなどを行っているのも魅力のひとつです。
とほほのGo入門
4つ目に紹介する学習サイトは「とほほのGo入門」です。親サイトである「とほほのwww入門」は、1996年に開設された老舗の学習サイトです。とほほのGo入門では、Go言語の基礎的な知識を書籍のように体系立てて、丁寧に解説しています。網羅的にしっかりと学びたい場合に有効なサイトです。
ドットインストール
Go言語のおすすめ学習書籍
Go言語の学習におすすめの書籍を4冊紹介します。
- プログラミング言語Go
- スターティングGo言語
- Go言語ハンズオン
- たった1日で基本が身につく!Go言語超入門
プログラミング言語Go
1冊目に紹介する書籍は『プログラミング言語Go』です。 Go言語の基礎知識を網羅した内容となっています。また、理解度を確認するための練習問題も記載されています。これらの問題を解くためには、本全体の内容を理解している必要があるため、Go言語をしっかり学びたい人におすすめです。
スターティングGo言語
2冊目に紹介する書籍は『スターティングGo言語』です。Go言語の構文、特徴的な機能についてはもちろんのこと、よく使われるパッケージや開発ツールの使い方についても解説しています。実際にGo言語でプログラムを書くのに必要な知識全般を身につけられます。これからGo言語の学習を始める人におすすめです。
Go言語ハンズオン
3冊目に紹介する書籍は『Go言語ハンズオン』です。 この本は、サンプルコードを利用して、実際にプログラミングを書きながら学んでいくスタイルの入門書です。基礎的な文法から、実践的なWebアプリ、GUIアプリの作成までを網羅した内容になっています。プログラムを書きながら知識をインプットするため、手を動かしながら学ぶことが好きな場合におすすめです。
たった1日で基本が身につく!Go言語超入門
4冊目に紹介する書籍は『たった1日で基本が身につく!Go言語超入門』です。 この本では、Go言語の基礎を短期間で学ぶことができます。開発環境の構築やプログラムの書き方などの基礎的なことから、画像処理などの応用的なことまで、分かりやすい図で解説されています。Go言語を学ぶ際の入門書として最適です。
Go言語のインストール手順
Go言語は、公式サイトのからインストールできます。サイトに記載されている手順に従って操作すれば簡単にインストールでき、すぐに使えるようになります。Go言語はマルチプラットフォームのため、Windows・Linux・Macなどの幅広いOSに対応しています。下記では、インストール手順をキャプチャ画像と共に紹介します。
※Macでのインストール手順です。
1.公式サイトからダウンロードする
①ダウンロードページを開く
まず、公式サイトのへアクセスし、ダウンロードページを開いてください。
②ファイルをダウンロードする
go1.18.2darain-arm64.pkgをダウンロードしてください。
2.インストーラを操作する
①[続ける]をクリック
②[インストール]をクリック
ここでパスワードの入力を求められます。macOSアカウントのパスワードを入力してください。 ダイアログが表示され、しばらくするとインストールが完了します。
③インストールを完了する
[閉じる]をクリックしてください。
④インストーラを削除する
[ゴミ箱に入れる]をクリックしてください。
3.インストールを確認する
インストールが完了したら、コマンドを使ってインストールが正常にされているかを確認してください。ターミナルで go version を実行して、Go言語のバージョンが表示されれば成功です。
①ターミナルに go version と記入して実行
go version
②以下のようにGo言語のバージョンが表示されれば、正しくインストールされている
※画像は旧バージョンをインストールした際のものです。
go version go1.18.2 darwin/amd64
4.プログラムを実行してみる
①任意のファイル名でサンプルファイルを作成
任意のエディタで下記のように編集してください。
package main import ‘’fmt’’ func main(){fmt.Println(‘’hello!’’):}
②ターミナルでサンプルファイルが格納されているフォルダを実行
①で作成したサンプルファイルが格納されているフォルダに「 go run ファイル名.go」を実行
go run ファイル名.go
③「hello!」と表示されれば成功
hello!