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Python3 エンジニア認定基礎試験とは?難易度や勉強方法、新しい資格も解説

更新日 2022/12/26
Pythonは、AI開発やデータ分析でよく使われるプログラミング言語です。今盛り上がりを見せるIT分野で使われていることから、Pythonもまた人気の言語となっています。そのPythonに、認定資格があるのはご存じでしょうか。Pythonエンジニアとして活動を続けるなら一度は資格取得に挑戦しておきたいところです。 この記事ではPythonエンジニアとしての証明ができる資格について、ご紹介します。
Python 3 エンジニア認定基礎試験

Pythonをめぐる現状と資格取得のメリット

Pythonは文法がシンプルであることから、習得しやすいプログラミング言語であるとの評価があります。RedMonk が発表する人気プログラミング言語のランキング(※)でも、1位のJavaScriptに続く2位と、ここ2年はこの順位を維持しています。AI開発やデータ分析、ネットワークインフラなどに利用されている現状からも、Pythonは将来性のあるプログラミング言語と言えます。当面ランキング上位に入る傾向は続いていくでしょう。

この現状も踏まえると、資格取得にはこのようなメリットがあります。

※参照:The RedMonk Programming Language Rankings: June 2022 – tecosystems

就職・転職に有利

開発実績に加えて資格を保有していれば、就職や転職に有利です。企業の採用担当者や、業務委託の依頼者にとっては、資格はエンジニアのスキルを測る指標となります。特にAI開発エンジニアやデータサイエンティストは、IT業界のなかでも特に人材不足であるため、求人が豊富にあります。希望通りのキャリアや働き方を叶えるためにも、資格を持っておいて損はないでしょう。

Pythonの学習効率が向上する

Pythonだけに限らず、学習は資格取得を目標とすることで効率的に進められます。Pythonは難易度が異なる試験があり、それぞれの試験の教材にはPythonに関する知識が体系的にまとめられています。資格試験の学習をすれば、理解しやすい順番で効率良く習得することが可能です。

年収アップのための武器になる

資格でPythonのスキルを証明できれば、難易度が高く報酬も期待できる開発案件にアサインされる可能性があります。ひいては、年収アップが見込めるでしょう。

Pythonの認定資格試験の種類

Pythonに関連する国家資格は2022年12月時点ではありません。日本国内にあるPythonの資格は、いずれも一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催しています。
Pythonに関連する資格認定試験には、以下の4つがあります。

  • Python 3 エンジニア認定基礎試験
  • Python 3 エンジニア認定データ分析試験
  • PythonZen & PEP 8 検定試験
  • Python 3 エンジニア認定実践試験

それぞれの試験を詳しくご紹介します。

「Python 3 エンジニア認定基礎試験」概要と勉強方法

「Python 3 エンジニア認定基礎試験」は、Pythonの基本的な文法を中心に問われる試験です。経済産業省が定めたガイドライン「ITスキル標準(ITSS)」の職種:ソフトウェアディベロップメント、専門分野:応用ソフトのレベル1に掲載されています。

Python 3 エンジニア認定基礎試験の概要

試験概要は次の通りです。

問題数40問
出題形式選択式
試験方式コンピューター上で実施するCBT(Computer Based Testing)形式
試験会場全国のオデッセイコミュニケーションズ試験会場
試験時間60分
合格基準正答率70%
合格率約77 %(※2017年4月時点)
受験料一般価格:11,000円 学割価格:5,500円(いずれも税込)
出題範囲主教材であるオライリー・ジャパン『Pythonチュートリアル 第3版』から出題されます。「Pythonインタープリタの使い方」や「制御構造ツール」などの各章で出題率が設定されています。
公式サイトhttps://www.pythonic-exam.com/exam/basic

Python 3 エンジニア認定基礎試験の勉強方法

Python 3 エンジニア認定基礎試験では主教材や出題範囲が案内されており、それらに沿って学習するのがおすすめです。

書籍での学習

主教材である、オライリー・ジャパン『Pythonチュートリアル 第3版』を中心に取り組んでいくのが学習の基本となります。ただプログラミング未経験者にとっては、『Pythonチュートリアル 第3版』は少々難解かもしれません。参考図書として提示されている『いちばんやさしいPythonの教本 第2版』、『スラスラわかるPython第2版』、『Pythonスタートブック [増補改訂版] 』のいずれかから始めるのがよいでしょう。

コーディング

Google colaboratory」など、オンラインでコーディングできる環境もあります。実際にコーディングをして実行できるかどうか試行錯誤することで、言語への理解を深めていけます。

認定スクールの利用

独学が難しければ、「一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会」などといったPython習得と資格取得を目標にした講座のある認定スクールを利用するのも手です。動画解説などで学習ができるほか、模擬試験も受けられます。

「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」概要と勉強方法

「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」は、Pythonを用いたデータ分析の基礎や分析方法を問う試験です。応用編という位置づけの試験で、業務でPythonを扱っているエンジニアならば十分合格できるという声があります。こちらもPython 3 エンジニア認定基礎試験と同様、「ITスキル標準(ITSS)」の職種:ソフトウェアディベロップメント、専門分野:応用ソフトのレベル1に掲載されている試験です。

Python 3 エンジニア認定データ分析試験の概要

試験概要は次の通りです。

問題数40問
出題形式選択式
試験方式CBT形式
試験会場全国のオデッセイコミュニケーションズ試験会場
試験時間60分
合格ライン正答率70%
合格率約86% (※2021年6月時点)
受験料一般価格:11,000円 学割価格:5,500円(いずれも税込)
出題範囲主教材である『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』から出題。「データエンジニアの役割」や「Pythonと環境」などの各章で出題率が設定されています。
公式サイトhttps://www.pythonic-exam.com/exam/analyist

Python 3 エンジニア認定データ分析試験の勉強方法

Python 3 エンジニア認定データ分析試験にも、主教材や学習の助けとなるサイト・動画が用意されています。

書籍やサイト、動画での学習

主教材である『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』を網羅しておくことが必要です。参考教材には、「インターネット・アカデミーPythonデータ分析試験学習支援サイト」が挙げられています。このサイトでは書籍の内容に触れながら、Pythonに関する事項の解説記事が多く掲載されています。また「PRIME STUDY」では、主教材『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』を解説した動画が無料で掲載されています。

書籍や動画で学習し、不明点はサイトで確認する流れならスムーズに学習できるでしょう。

認定スクール

Python 3 エンジニア認定データ分析試験にも「一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会」といった認定スクールがあります。認定スクールでは、オンラインでの学習や模擬試験を利用できます。

「PythonZen & PEP 8 検定試験」概要と勉強方法

「PythonZen & PEP 8 検定試験」では、Pythonのコーディングにおいて適切な文法や作法を身に付けているかどうかが問われます。

PythonZen、PEP 8とは?

PythonZen(The Zen of Python)とは、Pythonの設計について記述されたイディオム集です。PythonZen には「Beautiful is better than ugly.(醜いよりも美しく)」、「Simple is better than complex.(複雑よりも単純に)」というような、いわばコーディングにおける心得が列挙されています。

またPEP 8 はPythonにおける標準のコーディング規約です。「インデントはスペース4つにする」、「明白な(書かなくてもわかる)インラインコメントは不要」などのルールが細部にわたって定められています。この規約に則ってコーディングをすれば、誰が見てもわかりやすいコードに仕上がります。

「PythonZen & PEP 8 検定試験」は、この2つの作法が身に着いているかどうかを確認できるものです。

PythonZen & PEP 8 検定試験の概要

試験概要は次の通りです。この試験は、PythonZenやPEP 8に則ってコーディングを行う意識を市場で高めることを目的として作られており、受験料は無料です。

問題数20問
出題形式選択式
試験方式インターネットに接続しブラウザ上で受験するWBT(Web Based Training)方式
合格ライン正答率70%
受験料無料
出題範囲PythonZenとPEP 8より出題
公式サイトhttps://www.pythonic-exam.com/exam/pythonzen-pep-8

※合格率は2022年12月時点で公表されていません。

PythonZen & PEP 8 検定試験の勉強方法

PythonZenやPEP 8が出題内容となるため、これらを理解しておくことが肝要です。実際にPythonZenやPEP 8に則ったコーディングをしていれば、試験はさほど難しくないとの声もあります。

※参考:

「Python 3 エンジニア認定実践試験」概要と勉強方法

「Python 3 エンジニア認定実践試験」は、Pythonで実践的に使用することになる仕様やライブラリについて問う試験です。ベータ版試験の実施を経て2022年11月に、正式に開始されました。

Python 3 エンジニア認定実践試験の概要

試験概要は次の通りです。

問題数40問
出題形式選択式
試験方式CBT形式
試験会場全国のオデッセイコミュニケーションズ試験会場
試験時間75分
合格ライン正答率70%(700点)
受験料一般価格:13,200円 学割価格 6,600円(いずれも税込)
出題範囲主教材である技術評論社『Python実践レシピ』より出題。「Pythonの環境」や「コーディング規約」などの各章で出題率が設定されています。
公式サイトhttps://www.pythonic-exam.com/exam/jissen

※受験者数および合格率は2022年12月時点で公表されていません。

Python 3 エンジニア認定実践試験の勉強方法

開始されたばかりの試験であるため、模擬問題や受験体験記など情報がまだ少ない状況です。まずは主教材である技術評論社『Python実践レシピ』に沿って学習していきましょう。

各Python試験の申込方法

「Python 3 エンジニア認定基礎試験」、「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」、「Python 3 エンジニア認定実践試験」は、CBT試験を運営するオデッセイ コミュニケーションズ社のサイトから申し込みができます。

Pythonエンジニア認定試験|Odyssey CBT オデッセイ コミュニケーションズ

PythonZen & PEP 8 検定試験は、公式サイトで申し込みをすればURLが届き、そのURLへアクセスすると試験を受けられる仕組みとなっています。

PythonZen & PEP 8 検定試験

試験の申込方法について詳しくは、各サイトをご参照ください。

まとめ|合格率の高いPythonの試験にチャレンジを

ここまで、Pythonの資格についてご紹介しました。Pythonの資格はさほど広く知られてはいませんが、Pythonの習熟度を測るため、あるいはスキルの証明のために保有しておくとよいでしょう。

Pythonの各試験は合格率が高いことから、気軽にチャレンジできる難易度と考えてもよさそうです。プログラミング未経験者で学習してきたことを試したい人、Python開発経験者で実績にプラスできる証明が欲しい人は、ぜひPython試験に挑戦してみてください。

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