グローバル化が日々進む中、日本のビジネスパーソンはいかに“使える英会話力”を磨くか? ~自宅で実践できる英会話習得術の紹介~
グローバル化が日々進む中、ビジネス上で英会話力が必要とされる機会が多々あります。日本での英語教育は、中学校から英語が必須科目であり、高校と合わせて最低6年間は英語を学んでいることになります。この6年間でどれだけ“使える英会話力”が身に付きましたか?TOEICなどの試験対策はしっかりしているので、文法や読解題はある程度できるが、会話となると難しいという意見が多いのではないでしょうか。では、どうやって“使える英会話力”を磨けばいいのでしょうか。
「英会話スクールに通う、外国人と話せる機会を持つ」というのも一つです。ですが、週に一度でも英会話スクールへ通う時間、心、お金の余裕はありますか?今では英会話スクールは数えきれないほどあり、その形態(対面レッスン/オンラインレッスンなど)・対象年齢層ともに多様化しており、どのスクールが自分に合っているのか判断に困ることもあるでしょう。
本記事では、なぜ日本人が英会話を苦手とするのかをきちんと理解した上で、簡単に自宅で実践できる英会話習得術についてお話します。地味な方法ですが、継続は力なりです!
なぜ私たち日本人は英会話が苦手なのか?
なぜ私たちは英会話に対して苦手意識があるのかをお話する前に、実際に、日本人はどれほど英会話が苦手だと思っているのか、いくつかのアンケート結果をご紹介します。
- 2014年 株式会社バルマルク(マーケティングリサーチ事業)が実施した「外国語に関する調査」
英語に対してどのくらい苦手意識を持っていますか?という質問に対して、回答のうち「とても苦手」「やや苦手」を合わせると67%の人が苦手意識を持っていることがわかりました。この67%の回答者に、具体的に苦手なところを聞いたところ(複数回答可)、「英語が聞き取れない」という回答が55%、「発音がわからない」が53%、「文法がわからない」が50%占めていました。 - 2016年 楽天リサーチ株式会社が実施した「英語に関する調査」
英語が得意ですか?という質問に対して、70%が「苦手(苦手、とても苦手)」と回答した。「とても得意もしくは得意)」と感じているのはたった9%という結果でした。
これらのアンケート結果からも、67%、70%と、日本人の約7割の人が英会話に対して苦手意識をもっているのです。
本章では、なぜこのような苦手意識が強くなってしまったのか、三つの要因をお話します。
学校教育で学ぶ英語
従来の日本の義務教育で学ぶ英語は、“読むこと・書くこと”に偏重しており、“会話”という観点では、長年その改善がなされてきませんでした。
しかしながら、時代の流れと共に教育カリキュラムが変更されつつあります。その具体的例として、文部科学省による小学校学習指導要領(平成29年7月版)において、以下のように定義されており、“聞くこと、話すこと”へ学習目標がシフトしていることがうかがえます。
出典:文部科学省 小学校学習指導要領解説「外国語活動・外国語」
実際に、平成23年より小学校5・6年生で年間35時間の英語活動が必修化されました。音声を中心に英語に慣れ親しむ取り組みを実施し、コミュニケーション能力の基礎を養うカリキュラムが組まれています。
一方で、今のビジネスパーソンたちが中学校・高校で学んだ英語は、読むこと・書くことに重きが置かれていたのが実際です。私自身も、ひたすら単語の綴りを覚えた記憶が今も残っています。
海外旅行中に、「レストランで英語メニューは読めたが注文できなかった。注文したものと違うものが出てきたが反論できなかった」、「道を尋ねたいがうまく言えなかった」などといった経験は皆さんおありだと思います。6年間やってきた結果がこれなので、ヤル気がなくなる→勉強しなくなるという負のスパイラルに陥る可能性が生じるのも、従来の学校教育カリキュラムが影響していることは否めませんね。
ですが、過去を変えることはできないので、将来のありたい姿を想像し、自分の英会話スキルを磨くことはできます。
少しでも“今から英会話力を向上したい”と思っている方は、是非次章以降もご覧いただけると幸いです。
日本では英語が公用語として根付いていない
日本は英語圏の国に植民地化された歴史がありません。例えば、英語圏であるイギリスに植民地化されたインド、マレーシア、シンガポールなどでは英語が公用語として話されています。スペインに植民地化された南米ではスペイン語、同様にアフリカではフランス語が第二公用語でもあります。
ですので、英語が苦手である原因は、自分の能力だけのせいでは無いと考えてよいでしょう。
日本が島国であること、またこういった歴史的背景からも日本では、英語が根付かなかった原因の一つと言えるでしょう。
日本語と英語の言語構造における根本的な違い
両者の文法上の最大の違いは、語順の違いです。
日本語では、主語・目的語・動詞、英語では主語・動詞・目的語です。
また、日本語では主語を省く習性がありますが、英語では主語は必須なので、英語を書く話す際に違和感を覚えるでしょう。
また、会話上の違いといえば、やはり、日本語では(特にカタカナを想像して)語句同士を分けて発音するのが普通ですが、英語ではつなげて発音する・単語の最後”t”や“g”はほとんど発音しないといったことです。
たとえば、以下のようなイメージです。
Do I have to do that?
(訳:私はそれをしなければなりませんか?)
- 日本語的な発音 ドゥー ・ アイ ・ ハフ ・ トゥー ・ ドゥー ・ ザット?
- 英語スピーカーの発音 ドゥワイ ハフ トウ ドゥザッ?
もっと簡単な例だと
~ learn English
(訳:英語を勉強する)
- 日本語的な発音 ラーン ・ イングリッシュ
- 英語スピーカーの発音 ラーニングリッシュ
単語間の”n”と“E”が繋がる = リエゾンと呼ぶ
この例のように、実際に外国人が使用する英語に普段接していないと、“あ~、全然聞き取れない”、“きっと自分が英語を話しても通じない”といった思考になってしまいがちです。
でも、それは前述したようにそもそも言語構造や発音の仕方が言語上違うということを認識してしまえばよいのではないでしょうか?
上記の3つの要因を踏まえ、日本人が英会話を不得意とすることはある意味当たり前だと開き直って、不得意だし今更やり直す自信がない・・・などとネガティブに考えるのはやめましょう。
では、どうやって努力すればいいのかを次にお話します。
英会話学習術の紹介 ~どうやって苦手を克服するか?~
英会話学習と一概に言っても幅広く、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディング、単語スペルの暗記、文法のおさらいなど細かく分類することができます。
本記事では、過去の日本の学校での英語教育ではあまり力を入れていなかったとされるスピーキングとリスニングに絞ってお話します。
英語が身近にある環境作り
- スピーキング力強化
まずは英語を読む・話す環境を作ることが大切です。今日では、インターネットで英語ニュースなどを簡単に検索し、読むことができます。日本語のニュースサイト、朝日、日経、読売などのウェブサイトの言語を英語に変換することも可能です。内容は何でもいいですが、BBCやCNNは難しい内容もあるので、既に日本語で内容を理解しているニュースなどから始めるといいでしょう。重要なのは、声にだして読むことです。いざ音読しようとすると、単語の読み方がわからない、何度も詰まってまるでロボットのように話している自分に気づくものです。これがあなたの現在のスピーキング力に近しいと認識できるでしょう。何度も何度も音読することで、スラスラ読める・話せるようになります。 また、読書量が多ければ多い程、単語力も身についてきます。 - リスニング力強化
英語で映画を見るのもお勧めです。好きな映画(吹替ではなくオリジナルのもの)を二~三本選び、何度も見ます。最初は英語の字幕を読みながら聞き、慣れてくると字幕を消して聞きます。それも慣れてくると、登場人物の会話を書き取る練習をします。いざ、書き取ろうとすると聞く集中力が増し、リスニング力を強化できます。
英語で独り言にトライ
前章で、自宅でできる習得方法を紹介しましたが、なかなか時間が取れない人は、“最低でも一日に一回は英語で独り言を言う“習慣をつけて下さい。
毎日続けることで、継続できるという自信にもなります。
内容は何でもいいです、例えば仕事から帰宅して、「あ~お腹が空いた。夕飯は何にしようかな?冷蔵庫を見てみよう」程度から始めてもいいでしょう。答えは一つではないですし、色んな言い回しを身に着けていくよい練習にもなります。
私自身の経験をご紹介すると、料理をする際は英語で話そうと実践していました。材料の単語力が身につくのはもちろんですが、料理は手順が大切なので、「まず最初に(First of all)」「次に(Next)」「その後(And then)」「最後に忘れてはならないのが(Last but not least)」「仕上げに(To finish up)」などと、時系列ワードを鍛えることができました。こういったワードは、プレゼンをする際、資料を作成時にも大いに役立ちますね。
学習内容の取捨選択
本章の冒頭でも述べましたが、英語学習内容は細分化することができます。まずは自分にとって必要な英語とは何か?を再度考え、優先順位をつけましょう。
例えば:
- 英語でプレゼンをする機会が沢山ある・今後増えるという方
- とにかく“話す力”
上司が英語プレゼンをするので自分はそれをもとに議事録を書くという方 - とにかく“聞く力“
また、ビジネスマパーソンにとって必要な英語とは、学校教育のようにカリキュラムが決まっており受け身の姿勢で学ぶものではなく、仕事に必要な英語・将来的に必要になる英語ですので、自分が数年後・数十年後に会話をしているシチュエーション(誰と・どんな場面で)をできるだけ具体的に想像して、優先順位だけでなく、思い切って“取捨選択する”ぐらいの気持ちが必要です。
(たとえば、ライティングについてはWeb翻訳ツールもあるし、メールを出すときもスペルチェック機能もあるから、ある程度はそれらに任せる)
また発音に関しても、大人になった年齢からネイティブ並みの発音になるにはハードルが高いことは明白ですので、自分は発音が悪い・・・と気にするのではなく、“とにかく伝わるレベル!”と割り切るのも必要です。
英語を話すときの心がまえ ~欧米人になりきろう~
日本人と欧米人のコミュニケーション文化の違いとして、一般的に日本人は反論を控え、本音と建て前を使い分け、協調性を保とうとするのに対して、欧米人は他者が発言中であっても自分の意見を述べ反論します。
JETRO(日本貿易振興機構)が発表した「Communicating with Japanese in Business」という論文にも同様の論点が述べられています。
実際に、筆者も外資系企業で勤務していた時代、同じような経験をしました。
例えば、外国人も一緒に英語で行う社内会議で、ある程度は話す力がついてきたので発言してみたいが、間違ったらどうしよう、○○さんの方が上手だから私が出しゃばるのも・・・、少し異なる意見なので言いにくいな・・・など。
こういった気持ちになったことがある人は多いと思います。私も大学留学時代、講義中に思い切って発言してみたもののうまく伝わらず、教授に何度も聞き返され、パニックになり何も言えずに黙り込んでしまったという経験が何度かあります。スピーキング力が足りなかったのはもちろんですが、話し方に自信がなく、恐る恐る発言していたので相手に伝わるものも伝わらなかったのでしょう。
この経験から学んだことですが、英語で話す際は、言語だけでなくどっぷり欧米文化に浸かる気持ちで、思い切って発言してみて下さい。
それに、欧米では個の存在が重要視されるため、間違ってでも完璧でなくても発言する事で自分の存在感を強調することもできますし、発言する自信をつける事ができます。
失敗は大切な教材 ~失敗から学ぼう~
少し話はそれますが、最初から補助輪なしの自転車に乗れる子供はいますか?おそらくいないでしょう。補助輪なしで練習を始める際は、何度も転び、バランスを取る練習をし、体で感覚を覚えていきます。“転んでなんぼ“です。英語学習も同じで、”間違ってなんぼ“なんです。発言中に間違ってしまっても、恥ずかしいという気持ちに打ち勝ち、その間違いから学び同じ間違いをしないように意識すればいいだけなのです。
まとめ
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