スキル・知識

仮想通貨だけではないブロックチェーンの最新活用事例とは?

更新日 2024/11/04

2017年に大きく注目された仮想通貨にブロックチェーンという技術が使われています。もともと、「金融」と「テクノロジー」の融合である「フィンテック」の分野の最先端であった仮想通貨ですが、この仮想通貨とは実はブロックチェーンが生み出した副産物といってもよいものでした。ブロックチェーンは、これからのビジネスにどのような影響を与える技術なのでしょうか。
今回はブロックチェーンの注目点についてまとめてみました。

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そもそもブロックチェーンって?ブロックチェーン技術の仕組みについて

まずはブロックチェーンの仕組みについてみていきましょう。ブロックチェーンと一言でいっても、実はいろんな技術の集大成でもあります。
今回は特にP2Pと分散型台帳という2つの特徴について解説します。

P2P(Peer to Peer)

P2Pとはユーザー同士が直接やり取りを行う仕組みのことを指します。
どういう経緯でこの着想を得たのか。インターネットサービスを開発していく際に、頭を痛めていたのは、サーバーという存在です。企業側としてはセキュリティ対策として神経質になりますし、ユーザーとしてもサーバーを通じてのウィルスの感染やセキュリティホールによる個人情報の流出などもありえるため、どうしてもサーバーはサービスの規模に合わせて、スペックを高める必要がありました。

一方で、ネットワーク関連に強い人たちにとっては、サーバーの必要性の議論が続いていました。これは、家庭用のパソコンや一般的な業務で利用されるタブレットなどの端末の性能が高まってきたためでもあります。このような議論の中から、ユーザー同士が直接やり取りする仕組みを作ったらどうかという考えが生まれました。

この考えがP2Pです。今までの仕組みでは、あるユーザーが他のユーザーとやり取りをする場合には、サーバーという仲介者の力が必要でした。しかし、P2Pという技術によって、ユーザーが直接やり取り出来るようになり、結果としてサーバー自体が必要なくなってしまったのです。まさに、ネットワーク技術の大きな進歩といえるでしょう。

分散型台帳

P2Pによって、ユーザー同士がやり取りをするようになってサーバーが必要なくなったと先述しました。では、提供しているサービスが蓄積する情報や履歴はどのように保管されるのでしょうか。今までのP2Pで提供されていたサービスの多くは、サービス提供側が強い管理を求められるものではありませんでしたが、そうした領域以外にもP2Pは広まりつつあります。そこで、出てきたのが分散型台帳システムです。

分散型台帳とは、ユーザー同士が自分たちの情報を少しずつ保管していくことによって、全ての履歴や情報を管理する仕組みといえます。例えば、個人間の送金履歴について、今までであれば、全ての取引履歴はサーバーと呼ばれる大きな倉庫のようなものに保管されていました。しかし、取引履歴はユーザー同士が「送金した」「お金を受け取った」という情報を保管していれば、いつでもその履歴が正しいかどうかを確認できます。

つまり、契約書を甲乙のいずれもが、それぞれの原本を保管するようなものといえるでしょう。このような仕組みを利用することで、サーバーという管理者や大きな倉庫を導入することなく、ユーザー同士の取引ややり取りを管理できる仕組みが、分散型台帳といえます。

ブロックチェーンを活用するメリット

今まで見てきたP2Pと分散型台帳ですが、ブロックチェーン技術はまさにこれらの仕組みをうまく利用した技術です。ブロックチェーンを活用するメリットは主に2点あります。

まず、セキュリティの問題。先ほどからサーバーが必要なくなるという話をしていますが、結果として、ユーザー同士で情報履歴を補完しあっているため、悪意ある第三者による情報の改ざんが非常に難しいです。

もし、全ての情報がサーバーに存在する場合、このサーバーにアクセスすれば改ざんが可能ですが、ユーザー同士であれば、それぞれのユーザーに対して同じ改ざんが必要になります。更に、ユーザー同士のやり取りは高度に暗号化されているため、相手が誰であるのかは第三者からは非常にわかりにくくなっているのです。

更にデータの保存は、ユーザー同士で行うため、リアルタイムの保存が可能です。リアルタイムにやり取りをする情報を、素早く改ざんすることはほぼ不可能といえます。 もう1つのメリットは、ラーニングコストの問題です。今までのWebサービスでは、サーバーという管理に非常に大きなラーニングコストがかかっていました。結果として、ユーザー側も、このサーバーの安全性を担保するために必要な費用を手数料という形で支払っていました。

この点、ブロックチェーン技術であれば、サーバーが必要ないため、ラーニングコストを大幅にカットすることが出来ます。ユーザーとしても手数料が少なくなるため、お互いにメリットとなります。

なぜブロックチェーンの技術が注目されるようになったのか?

実はブロックチェーン技術は、フィンテックの分野以上に多くの分野で注目を集めています。未来学者であり作家でもあるドン・タプスコット氏が「今後、20~30年に最も大きなインパクトをもたらす技術はビッグデータでも、ソーシャルメディアでも、AIでもなく、ブロックチェーンである」と話しているように、特に今後の発展の方向性に大きな注目を集めているのです。

理由は「管理者が必要ない」という事実。この事実は、現在ある多くの仕事内容だけでなく、その仕事の意義すらも問いてくる、きわめて重い事実です。この事実により、全ての仕事に従事している人が、ブロックチェーン技術に注目せざるを得ない状況になっているといえるでしょう。10年後20年後には、今では考えられないような仕事が生まれ、50年先も安泰といわれていた仕事がなくなっているといった状況が十分にあり得るのです。

仮想通貨だけではないブロックチェーンの最新活用事例

ブロックチェーン技術は、仮想通貨や金融という仕組みだけでなく、多くの分野での導入が決まっています。今回は、注目されている事例として3点ご紹介しましょう。

ブロックチェーンとゲーム

今現在、非常に活況なゲーム業界ですが、このゲームとブロックチェーンとの関係性は注目されています。多くの場合、1つのゲームで手に入れたアイテムやゲーム内通貨は、他のゲームでの利用はできません。しかし、ブロックチェーンで繋がっているゲーム同士であれば、そうした併用は可能です。

また、悪質なプレイヤーによる詐欺や不正行為を防ぐことが出来ます。これは、分散台帳システムの仕組みをうまく利用し、ユーザー同士の情報が正しいかどうか、また運営側とそのユーザーが提供したものがお互いに正しいかを簡単に証明できるためです。

ブロックチェーンとサプライチェーン

2018年4月16日のブルームバーグの報道による韓国の大手企業として有名なサムスン社が、グローバルなサプライチェーンにブロックチェーン技術を活用するというプレスリリースを発表しました。

ブロックチェーンのリアルタイムによる情報保存技術をうまく活用することで、出荷と発売のタイムラグを短縮できるとし、最大で20%ものコストダウンを実現できるとしています。サムスン社自体のサプライチェーンの規模は、2018年で50万トン近くに及んでいるといわれており、コストダウンは必須でした。

ブロックチェーンと著作権

ブロックチェーンと著作権をうまく紐づけることで、流通や販売に必要だった仲介者を省き、制作側と消費者側が直接コミュニケーションを取れるようにしようという仕組みが広まりつつあります。中心となっているのはMicrosoft社。

この仕組みは、ブロックチェーンそのものよりも、その派生技術であるスマートコントラクトがキーとなっていますが、この仕組みを利用することで、適切に制作者に印税等の報酬を与えることが出来るとしています。ここでも、大きく仕事の仕方や管理の仕方が変わってくるようです。

今後どのようにブロックチェーンは活用される?

ブロックチェーンの活用が期待されている分野は、先ほど紹介したものだけではありません。金融関連でいえば、資産管理や保険の管理などが挙げられますし、シェアリングサービスや医療分野でも導入が決まっている技術はいくつもあります。

基本的に「多くの人が関わっている」「今までは仲介者が必要だった」といった分野では、仲介者や管理者を必要としないブロックチェーン技術を活用することで、今までよりもはるかにコストダウンしたサービスを提供できるようになるでしょう。

また、オープン・イノベーションといったイノベーションを促進する仕組みや、社会課題の解決にも、ブロックチェーンは期待されています。ブロックチェーンを利用したサービスは、今後さらに多くの分野に入り込んでいき、社会を変革していくことは間違いなさそうです。

まとめ

ブロックチェーン技術による、大きな社会変革への動きは、今まで以上の価値を多くの人に与えることになるでしょう。ブロックチェーン技術は単なる技術革新ではなく、多くの人の生活スタイルや考え方、価値観を揺さぶる可能性があります。こうした動きの中に新しいサービスが生まれることもよくあることです。ぜひ、仮想通貨という視点だけでなく、ブロックチェーン技術自体にも注目してみることをお勧めします。

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