未経験からセキュリティエンジニアになることは可能?なるための方法、必要なスキルや業務内容を解説
セキュリティエンジニアはDX人材としても必要とされる重要性の高い職種です。企業にとっては情報セキュリティの確保は経営上の重要課題と認識されており、高いスキルを持ったセキュリティ人材の将来性は高いといえます。将来性の高さからキャリアとして検討する方も増えていますが、未経験からの転職は可能なのでしょうか。
本記事では、セキュリティエンジニアの概要、業務内容、必要なスキルについて説明し、未経験から目指す方法やおすすめ資格も紹介します。
セキュリティエンジニアとは
セキュリティエンジニアとは、企業や組織の情報資産を守ることを責務とするエンジニア職種です。専門性が高いセキュリティという分野でのスキルと知識を持つことで好条件で働くことが期待できます。
近年、情報漏洩やサイバー攻撃が頻発し、情報セキュリティの確保は企業や組織において重要な課題となっています。また、独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)が発表したDX動向2024でも、DX推進においてセキュリティ技術者の不足が挙げられており、セキュリティエンジニアの確保は組織の事業継続するうえで重要なミッションの一つです。
なお、セキュリティベンダーやSIer、ITサービス業、非IT系など、あらゆる企業がセキュリティエンジニアを求めています。
セキュリティエンジニアの業務内容
セキュリティエンジニアの業務内容は、所属組織や部署などにより異なります。以下では、一般的にセキュリティエンジニアの担うことの多い業務内容を紹介します。
セキュリティ診断
セキュリティ診断では、組織や企業の持つITシステムおよびITの活用状況などを調査し、問題点を洗い出します。例えば、セキュリティ上の緊急を要する問題がないか、脆弱性となってしまう可能性のある技術的ならびに運用リスクがないかを診断し、問題が発見された場合は適切なセキュリティ対策につなげます。セキュリティに対する業務のなかでも最上流であり、セキュリティコンサルタントなどが担当する場合が一般的です。
セキュリティ対策の企画
セキュリティ診断の結果やこれまでのセキュリティ課題に対して、対策の立案と推進を行います。対策といっても、短期で完結できるものから中長期的に取り組む必要があるもの、機器やソフトウェアを導入して運用する必要がある場合など、様々です。適切に対策ができるよう、運用イメージまでを想定した企画を行い、提案を進めていきましょう。
セキュリティ機器・ソフトウェアの選定、導入
機器やソフトウェアの導入によるセキュリティ対策の実働作業として、機器やソフトウェアの選定、導入、検証などを行います。特に利用者が多く、影響を与える対策をする場合、エンドユーザー向けの周知や教育なども不可欠です。こちらの業務もセキュリティエンジニアの仕事として含まれています。
インフラ、アプリのセキュリティ設計、対処
システムやインフラの構築プロジェクトにおいて、インフラ、アプリの設計時のセキュリティ観点でのチェックおよびフォローの実施もセキュリティエンジニアの重要な責務です。例えば、インフラ側では特定機器のファームウェアにおける既知の脆弱性への対処が取られているか、ソフトウェア側ではクロスサイトスクリプティングやSQLインジェクションへの対処ができているかなどが、必要なポイントとして挙げられます。他にも、既存のインフラやアプリ上に存在するセキュリティ脆弱性への対処の実施の範疇です。
稼働中のシステムやインフラでセキュリティインシデントが発生した場合、被害の拡大を防ぎ、攻撃内容の特定と停止、漏洩した情報のフォレンジックや業務部門との連携なども重要な職務となります。
セキュリティに関するテスト
完成に近づいたITシステムやインフラに向けて、想定されるサイバー攻撃に対しセキュリティ対策が有効になっていることを確認するためのテストを実施します。ITインフラへのネットワークを介したアクセス、Webなどの外部からの接続を許可しているアプリケーションはもちろん、IT機器を使用する際のルールなど業務の運用部分も確認対象とする場合もあります。
なお、この段階でも脆弱性の確認を行います。外部の攻撃者になったイメージで実施するペネトレーションテストなどもテストの一環です。
セキュリティ方針、ルールの策定
ITに関するセキュリティでは、企業や組織においてIT機器やシステムを利用する全ユーザーをフォローする必要があります。なぜなら、利用者の一人でも対処を誤ると、情報漏洩やサイバー攻撃の入り口になってしまう可能性があるからです。
それを防ぐためにも、企業や組織のセキュリティに関する方針を定め、セキュリティルールの策定と周知を行うこともセキュリティエンジニアの業務となります。組織としての姿勢を示す大きな方針から、業務上でITシステムを取り扱う際の手順レベルまでが含まれる場合があります。近年では、生成AIの利用に関する組織内のルールの制定なども必要とされています。
セキュリティ教育
先述の通り、情報セキュリティについては組織の構成員全員が共通した認識を持ち、対処を徹底することが重要です。セキュリティ方針やセキュリティルールを、所属する組織のメンバーに向けて周知・教育・啓蒙することもセキュリティエンジニアが対応する場合もあるでしょう。
標的型攻撃メールやフィッシングなどは、サイバー攻撃のなかでもほかの攻撃への窓口として利用される場合が多く、攻撃の対象はIT機器やシステムを利用する全ての従業員です。これらのサイバー攻撃に対する模擬訓練の実施もセキュリティエンジニアの業務として含まれることがあります。
ITデバイス・ソフトウェアの管理
セキュリティエンジニアは、組織内で利用するITデバイスやソフトウェアの管理および監視を担当することがあります。具体的には、管理ツールの選定・導入、各デバイスへのセキュリティソフトウェアの適用・設定、利用者の把握とトラブルの検知、IT資産の棚卸や管理までが業務の範疇となることが考えられるでしょう。
セキュリティマネジメントシステムの構築・運営
組織のセキュリティの確保とその改善を行うための組織が、情報セキュリティマネジメントシステム(以下、ISMS)です。このISMSの構築や運営も、情報セキュリティについての専門家としてセキュリティエンジニアに求められる場合があります。
ISMSは、JIS Q 27001(ISO/IEC 27001)によって規格が定められており、認証を得るためにはこれに沿った組織の運営が必須です。ISMS認証の取得により外部に対して情報セキュリティへの取り組みを証明できるため、規模の大きな企業や公的な機関では重要視されます。
未経験からでもセキュリティエンジニアになれるのか
セキュリティエンジニアは専門的なスキルと知識が必要ですが、需要もあり高い年収を期待できる職種です。
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、ITSSレベル5以上のセキュリティエキスパート(オペレーション)の年収は、667.5万円~1086万円でした(※2023年度の調査結果)。国税庁が発表した「令和4年分民間給与実態統計調査」による給与所得者の平均給与458万円と比較して、かなり高い水準にあるといえるでしょう。
また、これからセキュリティエンジニアを目指したい方にとって気になることのひとつが「未経験からセキュリティエンジニアになれるのか」ということでしょう。この問いに対しては、「未経験」の定義によって状況が異なると言えます。
「ITエンジニアとして業務経験があるが、セキュリティエンジニアは未経験」という場合、セキュリティエンジニアへの転職ができるため、比較的ハードルは低めです。現状、セキュリティエンジニアも人材が不足しており、エンジニア向け求人サイトなどで該当条件の募集を見つけることができるでしょう。
一方、「ITエンジニアやIT業界未経験」という場合、求人やフリーランス向けの案件とスキル面の条件がマッチしないため転職は難しい傾向です。ほかのエンジニア職種であればIT業種未経験でも募集があるため、経験を積んでからキャリアチェンジをする方法が現実的な方法となるでしょう。
未経験からセキュリティエンジニアになるための方法
未経験の方がセキュリティエンジニアとなるためには、スキルと知識を身につけ、ほかのエンジニア職種で経験を積むことが実現性が高いプランとなるでしょう。ここでは、スキルと知識の習得、業務経験を積む方法を説明します。
必要なスキルと知識を習得する
セキュリティエンジニアには、専門分野であるセキュリティの前にIT全般に関する幅広い知識が必要です。情報セキュリティで守るべき対象はITおよび情報資産であるため、これらの知識の習得は専門知識を身につけるうえで前提条件となるでしょう。セキュリティエンジニアとしてインフラなどを専門領域とする場合にも、IT全般に対して基礎レベルの知識は必要です。
セキュリティエンジニアは、IT全般に対する知識と一緒に、セキュリティ分野の専門的な知識も習得しなくてはなりません。サイバー攻撃の仕組みを知り、対策を設計、構築、導入するためのスキルと知識を身につけなければなりません。また、サイバー攻撃は日々新しい手口が生み出されており、これに追随して知識のアップデートを続けることも、意識が必要です。
資格の取得を通した体系的な学習やスクールの提供するコースなどを利用して、知識とスキルを身につけることも選択肢として入れておきましょう。
他分野のエンジニア業務経験を積む
セキュリティエンジニアとして就業する前に、他のIT分野のエンジニア業務に就き、経験を積むこともおすすめです。ここでは、業務を通してITと親しみ、知見を持つことが重要なポイントとなります。
どの分野のITエンジニアであっても、必ず何らかの形でセキュリティ分野との接点があります。セキュリティに関する取扱いを考える機会を持つことで、将来的にセキュリティエンジニアとして活躍する際には役に立ちます。
分野は異なっても、エンジニアとしての業務経験があれば、確実にエンジニアとしてのスキルを証明できます。エンジニアとして通底した考え方を培われるため、セキュリティエンジニアとなった後でも活かされるでしょう。
実務に活かせる資格を取得する
セキュリティに関連する資格を取得することで、転職活動のアピールとして一定の知識があることが証明できます。特に未経験者の場合、実務経験から知識の保有を証明できないため、資格取得による外部組織からの知識・スキル証明が大いに役立ちます。
また、資格取得に向けた学習では、知識とスキルの証明と並行して知識の獲得とスキルの向上もはかれます。自分のエンジニアとしての知識レベルに合わせて、新たな知見が得られる資格を選択することが一つのポイントとなるでしょう。
おすすめの資格については、「セキュリティエンジニアを目指す人におすすめの資格」の項をご参照ください。
転職エージェントを利用する
未経験でセキュリティエンジニアになる際には、スキル獲得や求人選び、キャリアパスの検討などが必要です。未経験からこれらを行うことは容易ではありません。IT業界やセキュリティエンジニアという仕事についての知見もなく、どこから手をつけたら良いのかわからないような方は、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントでは、エンジニアを求める企業の紹介、キャリアプランの形成、志望動機の整理や面接練習などのサポートを提供しています。未経験者の転職でも、スキルと経験という不足部分をカバーするための力になってくれるでしょう。
フリーランスエンジニアの案件紹介サービスTECH STOCKでは、身に付けている現状のスキルと今後習得すべきスキルを目指したいキャリアに照らし合わせて、最適なキャリアカウンセリングを行います。キャリアのご相談もTECH STOCKにお任せください。
セキュリティエンジニアに求められるスキル・知識
セキュリティエンジニアになるためにはスキルと知識が必要となると、前項などでも述べてきました。ここでは、セキュリティエンジニアが業務の遂行のために求められるスキル・知識について解説します。
サイバーセキュリティに関する知識
セキュリティエンジニアには、専門分野であるセキュリティ領域について高度なレベルの知識が必要です。情報処理安全確保支援士試験のシラバスによると、具体的な知識の例として、下記の知識を挙げています。
・情報セキュリティマネジメントの推進又は支援に関すること
・情報システムの企画・設計・開発・運用におけるセキュリティ確保の推進又は支援に関すること
・情報及び情報システムの利用におけるセキュリティ対策の適用の推進又は支援に関すること
・情報セキュリティインシデント管理の推進又は支援に関すること
アプリケーション開発スキル
上記のサイバーセキュリティに関する知識のなかでも、情報システムの企画・設計・開発・運用に向けたセキュリティ確保に関しては、アプリケーション開発のスキルと知識を持つことが望ましいでしょう。
ITシステムやアプリケーションの構成に知見を持ち、アプリケーション開発プロセスについて理解していることが求められます。これらの知識が前提となることで、脆弱性が生まれる原因やその予兆を見つけることが可能になるでしょう。
インフラに関する知識、スキル
サーバーやネットワーク、OSなどのインフラに関する知識もセキュリティエンジニアには必須です。
特にネットワークに接続しアプリケーションを公開しているサーバーなどは、組織内のネットワークと外部との境界となるため常に危険にさらされている状態です。そのため、重点的にセキュリティを固めるべきポイントとなります。
また、クラウド上にインフラを構築する機会が増えており、組織の従業員がWebサービスとしてクラウドサービスを活用することも一般的です。これに伴い、クラウドサービス上のインフラでのセキュリティ確保に関する設定や外部のクラウドサービスを利用する際のセキュリティ確保までの知識・スキルが、セキュリティエンジニアに求められるようになっています。
インフラエンジニアは、ITシステムの基盤を支える重要な役割を担っています。近年ではクラウド技術の普及やリモートワークの増加により、インフラエンジニアが重宝されています。
そこで本記事では、インフラエンジニアがフリーランスになるメリットやデメリット、必要なスキル、資格、さらには成功のためのポイントについて詳しく解説していきます。
論理的思考
セキュリティ上の問題は、システムやインフラ、ITを利用した業務運用などの脆弱性が突かれることで発生します。これらの仕組みや環境は、小さな理屈を積み上げられたものであり、その中で隙を作らないことは容易ではありません。セキュリティエンジニアには、理屈を立てながら考えるのと同時に高いセキュリティを追求する必要があり、そのために論理的思考力が求められます。
セキュリティトラブルが発生した場合、さまざまな機器や機能が組み合わされているITシステム上で、どのような問題が起きているのかを調べなくてはなりません。この際にも、仕組みをひとつひとつ論理的に追いかける考え方が必要となります。
コミュニケーションスキル
組織における情報セキュリティの確保において、一部だけを強固にしても、小さな綻びから大きな被害が発生する可能性があります。ITを業務で活用する機会のあるユーザー、システム管理者、連携先など、多くの関係者がいるため、円滑なコミュニケーションが欠かせません。
したがって、これらの関係者の間を取り持つセキュリティエンジニアには、コミュニケーションスキルも重要です。
法知識
情報資産に関する法律は、ITの進歩や社会情勢に応じて整備されるものです。たとえば、個人情報保護法やサイバーセキュリティ基本法などの法的知識は、セキュリティエンジニアにとって業務上欠かせない知識となります。また、生成AIの利用と著作物に関する権利などもセキュリティエンジニアの業務領域と近い分野です。
情報資産やデジタル技術に関わる法律はその都度改正されるため、セキュリティエンジニアは継続的にキャッチアップする姿勢が求められます。
セキュリティエンジニアを目指す人におすすめの資格
未経験からセキュリティエンジニアを目指す方にとって、資格の取得は成功に向けた有効な手段です。スキルと知識を体系的に習得し、転職活動などでスキルの証明として活用できます。特に未経験の場合には、業務経験に替わって資格取得がスキルを証明する有効な手段となるでしょう。
以下では、情報セキュリティ分野のスキル習得と証明に役立つおすすめ資格を紹介します。難易度の高い資格もあるため、段階的に挑戦すると良いでしょう。
CISSP
CISSP(Certified Information Systems Security Professional)は、情報セキュリティ・プロフェッショナルの認定資格です。ISC2(International Information Systems Security Certification Consortium)によって運営されており、ANSI(米国規格協会)によって認証されているため、世界的に認識されている資格です。同団体が提供する資格のなかでも上位の資格であり、保有することで国内外のセキュリティ技術者としての信頼を得ることにつながります。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験は、IPAが運営する経済産業省が認定するセキュリティエンジニアやセキュリティコンサルタント向けの国家資格です。国による情報セキュリティ技術の認定を受けることができ、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」となることで外部に向けて強くスキルをアピールすることができます。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、IPAが運営しており、経済産業省が認定する情報セキュリティ管理者向けの国家資格です。エンジニア向けの資格ではありませんが、組織におけるセキュリティエンジニアに対するニーズを理解するうえで役立ちます。
CompTIA Security+
CompTIA Security+は、ベンダーニュートラルで、セキュリティプロフェッショナルにおいて業務上必要とされるセキュリティスキルが網羅された認定資格です。グローバルなIT業界団体CompTIAが運営しており、米国国防総省指令 8570.01(DoD Directive 8570.01)によって認められた資格という特性上、アメリカでも多くの企業や防衛関連組織で活用されています。パフォーマンスベースド試験が含まれており、実践的なスキルの証明が可能です。
CISM
CISM(Certified Information Security Manager)は、情報セキュリティマネジメントの知識と経験を認定する資格です。情報システムコントロール協会(ISACA:Information Systems Audit and Control Foundation)により創設、運営されています。マネジメントレベルに特化しているため、セキュリティエンジニアからセキュリティマネージャー、CISO(最高情報セキュリティ責任者)やCSO(最高戦略責任者)、セキュリティコンサルタントへのキャリアパスを目指す方に役立ちます。
LPIC、LinuCのセキュリティ分野
セキュリティエンジニアの業務では、サーバーを取り扱うことも多く、サーバーOSLinuxに関する資格もスキルを証明する手段になります。Linuxに関する知識やスキルを示す資格のなかでも、セキュリティ分野に特化した試験が網羅されているのでセキュリティエンジニアにも有用です。
AWS、CISCO、Oracleなどのベンダー資格のセキュリティ分野
セキュリティエンジニアになるための勉強法
セキュリティエンジニアを目指す場合、IT全般に関する基礎知識とセキュリティ分野に関する専門的な知識を学ぶ必要があります。ここでは、学習方法について説明しましょう。
書籍で学習する
一般向けに販売されている書籍を利用することで、情報セキュリティについて独学で学習することが可能です。書籍での学習はスキマ時間を有効に活用でき、自分のペースで学びやすいというメリットがあります。
書籍での学習の注意点として、対象とする読者のITや情報セキュリティに関する知識量が書籍によって異なることがあるため、自分の知識レベルに合ったものをえらびましょう。
また、実際にエンジニアとして働く方がレビューをしている、おすすめしている書籍はリアルなお役立ち情報が含まれているため、選定の基準のひとつとなります。
以下は、セキュリティに関する学習に利用できる書籍の例です。
【セキュリティに関する学習に利用できる書籍】
スクールなどに通う
ITに関する前提知識が不足している場合など独学が難しい方には、スクールで学ぶことがおすすめの学習方法です。セキュリティ以外についても、スクールはカリキュラムを提供しているため、体系的にITの基礎知識から学べるでしょう。分からないことがあれば講師などに質問できる体制が整っているため、学習でつまづいてもフォローしてもらえるメリットもあります。
セキュリティに関するコースを提供しているスクールの抜粋は、以下の通りです。
【セキュリティに関するコースを提供しているスクール】
- サイバーセキュリティ技術者育成コース | セキュ塾
- ホワイトハッカー / サイバーセキュリティコース|KADOKAWAドワンゴ情報工科学院・キャリアカレッジ – IT・プログラミングが学べる社会人スクール【東京・大阪・名古屋】
また、全国の専門学校でも情報セキュリティについての教育が提供されているコースがありますため、スクールの公式ホームページで確認することをおすすめします。
資格の取得を目指す
資格の取得に向けた学習は、セキュリティに関連する分野の知識を網羅的に学ぶことにもつながります。IT未経験者は初心者向けの資格から始め、段階的に知識を身につけることで、上級者向けの資格に挑戦することも可能です。
具体的な資格については、本記事内の「セキュリティエンジニアを目指す人におすすめの資格」を参照ください。
セミナーや勉強会に参加する
セキュリティエンジニアの魅力
セキュリティエンジニアは、求められるスキルは高く、トラブルの発生した場合には集中的な対応が必要となります。未経験でセキュリティエンジニアになることは、簡単ではありませんが、多くの方がキャリアパスとして選択し、活躍している理由はどこにあるのでしょうか。ここでは、セキュリティエンジニアの主な魅力について紹介します。
仕事の重要性が高い
セキュリティエンジニアの業務上のミッションは、組織の大切な機密情報や個人情報などの重要な情報資産を守ることです。これらの情報が流出した場合、組織は大きな責任を問われます。また、ランサムウェアに感染すると、業務停止などの事態を招くことがあるでしょう。
セキュリティエンジニアの仕事は、非常に高い責任が伴い、ミスが許されません。組織内でもプライオリティが高く、日々緊張感のなかで任務をやり遂げようすることにやりがいを感じるエンジニアにとっては大きな魅力となる職種といえます。
組織への貢献度が高い
セキュリティエンジニアが安全なセキュリティ対策を社内に展開することで、従業員は安心してITを活用できます。近年、ITを活用した業務は、組織の事業を支える重要な柱であり、セキュリティエンジニアの事業継続への貢献は非常に大きいといえるでしょう。
セキュリティが正常に確保されているときは、その役割は表に出されませんが、事業収益を挙げる上でも重要な役割を果たしており、セキュリティエンジニアの魅力といえます。
求められるスキルに応じた高収入が期待できる
セキュリティエンジニアには必要とされるスキルが多く、そのレベルも高い傾向です。これらのスキルを持ったセキュリティエンジニアの重要性が広く認識されつつあるため、高収入を期待することができる見込があるでしょう。
フリーランスエンジニア向け案件紹介サイトTECH STOCKにおいて、2024年月28日時点で掲載中の案件より、職種「セキュリティエンジニア」「セキュリティコンサル」に該当する案件は8件あり、各案件の単価の平均をとると約109万円でした。単純に12倍(12カ月分)して年収に換算するとフリーランスのセキュリティエンジニアの平均年収は約1,312万円と想定できます。
国税庁による令和4年分民間給与実態統計調査では、給与所得者の平均年収は458万円です。セキュリティエンジニアはこれと比較して高い収入が期待できるといえます。
専門性の高いスキルが習得可能
セキュリティエンジニアは業務のなかで、セキュリティに関する専門性の高いスキル・知識を得ることが可能です。セキュリティに関する技術や知識は他のエンジニア職種では断片的にしか触れる機会はなく、体系的かつ実践的にスキルを身につけたいと考えているエンジニアは魅力的です。
また、セキュリティに関する知識はベンダーに依存せず、あらゆる業界・業種で共通する内容も多くあります。転職などにより職場が変わった場合にも継続的に活用できるスキルが身につくことは、エンジニアのキャリア構築上でも大きな魅力となります。
将来性が高い
サイバー攻撃は日々進歩しており、セキュリティエンジニアの仕事はそれと対になる形で存在しています。これにより、セキュリティエンジニアは継続的に需要が見込まれている職種です。
また、AIの活用がセキュリティ対策において広がりつつある一方で、サイバー攻撃でもAIが活用されていると推測されます。こうしたAIを用いた安全対策にセキュリティエンジニアは重要な役割を果たすでしょう。時代の流れとともに、セキュリティエンジニアに求められる技術内容の変化はありますが、その需要は継続的に活躍が見込める将来性の高い職種です。
セキュリティエンジニアに向いている人
専門性の高い知識が必要とされ、求められるスキルレベルも高いセキュリティエンジニアには、ある程度適性のある人材像が存在します。
以下では、セキュリティエンジニアに向いている人の特徴を紹介します。ただし、現時点でこれらの特徴に当てはまらない場合でも、習慣や訓練によってそのスキルを克服し、向上させることは十分に可能です。
緻密な論理の組み立てができる
情報セキュリティを確保するうえでは、小さな綻びでも致命的な脆弱性につながる可能性があります。IT基盤やシステム、クラウドサービスやITデバイスの利用管理、さらには業務運用上のルールまで、全体を通じてセキュリティに穴がないかを追求することが、セキュリティエンジニアの重要な役割です。したがって、緻密に論理を組み立てられる人はセキュリティエンジニアに向いていると言えます。
地道な作業ができる
セキュリティ確保においては、小さな脆弱性も見逃すことはできません。そのため、セキュリティ確認テストなどでは、地道に細かなパターンを試す作業をします。ツールなどの活用により効率化ははかりますが、それでも同じような作業を繰り返す場合もあるでしょう。責任感を持って、地道に作業をこなせる方は、セキュリティエンジニアの適性があると言えるでしょう。
最後まで仕事をやり切る忍耐力がある
セキュリティ確保の対応は、最後までやり切らなければ脆弱性を残す可能性があります。小さなやり残しが、最終的にセキュリティ上の課題となるため、最後まで仕事をやり切るという忍耐力が求められます。
技術分野への好奇心・向学心がある
サイバー攻撃の進化および拡大は著しいため、セキュリティエンジニアはこれらの脅威に備えて、常に対応策を学び続ける必要があります。一歩でも対応が遅れれば、所属組織での被害は拡大してしまうでしょう。
サイバー空間での脅威は、手段を選ばずに攻撃し、狙われる技術領域には制限はありません。そこには、人間の心理の隙を突いた攻撃も含まれます。
セキュリティエンジニアは、これらの多様な攻撃に対応できるようにするため、技術的なスキル向上に絶えず努めなければなりません。つまり、最新の動きを見ながら迅速に新たな攻撃手法と対処を身につけられる、技術分野への好奇心、向学心がある方はセキュリティエンジニアに向いていると言えるでしょう。
まとめ
セキュリティエンジニアとは、企業や組織の情報資産を守るエンジニアです。近年、サイバー攻撃の激化やデジタル技術の利用領域の拡張により需要が高まっており、将来性が高い職種といえます。DX推進人材としてもセキュリティエンジニアが必要とされていますが、人材は不足しており、高いスキルを持っていれば高収入も期待できるでしょう。
セキュリティエンジニアの業務で取り扱う対象は、組織のIT利用全般にわたり、ハードウェア、ソフトウェア、組織内のセキュリティルールなど、必要とされるスキル・知識は多岐にわたります。さらに、ベースとなるIT全般についての知識・スキルと一緒に、情報セキュリティ分野の専門的な知識とスキルが求められます。
未経験の方も、スキルを身につけ経験を積むことでセキュリティエンジニアに挑戦することが可能です。スキルの習得には、資格取得を目標とした学習も効果的な方法のひとつとなります。学習を通じて、セキュリティエンジニアに必要な知識とスキルを習得できるため、現場での業務に向けた準備ができるでしょう。