メディアを始める前に知っておくべき「バーティカルメディア」とは?
「副業も解禁になったことだし、空き時間でメディアでもやってみようかなぁ。」働き方改革が推進され、自分なりの収入を増やしたいと考える方は少なくないのではないでしょうか?
本記事では、「新たな収入源として、メディア運営をやってみたい!」という方に向け、現在注目されている「バーティカルメディア」について徹底的にご説明したいと思います。
バーティカルメディアとは
バーティカルメディアの意味
バーティカルメディアとは、「vertical(直立した・垂直の)+メディア」という意味で、つまり「ある分野に特化したメディア」ということになります。キュレーションメディアなどに比べ、専門性が高く、内容が濃い情報が集まっているために注目されるようになりました。
金融・保険・運輸・医療など分野は様々で、バーティカルメディアの有名な事例として、食というジャンルに特化した「macaroni」があります。macaroniでは、レシピ動画や食に関するニュース、商品やイベント情報など食に特化した様々な情報が発信されています。
macaroni:https://macaro-ni.jp/
バーティカルメディアが生まれた背景
バーティカルメディアが注目されている背景には、情報検索における環境の変化があります。10年ほど前はGoogleなどの検索エンジンにキーワードを入れ、様々なサイトの様々なコンテンツを断片的に集めることが多かったと思います。
しかし、徐々にコンテンツ量も増加し、断片的なコンテンツを集めることも困難になっていきました。
その後、上記のような断片的なコンテンツをまとめたキュレーションサイトが生まれましたが、今度はキュレーションサイトに集まるコンテンツの質が低下し、専門性も信頼性もないコンテンツが集まるようになりました。そして現在、その専門性と信頼性を担保するメディアとしてバーティカルメディアが注目されています。
また、メディアと広告主をマッチングする環境も整い始めているため、広告主・メディア運営・ユーザーの3者にとって利益となる点もバーティカルメディアの特筆すべき点の一つです。(下記、広告主・メディア・ユーザーの利益になる理由を詳しくご説明します。)
バーティカルメディアのメリット/デメリット
さて、ご説明した通り現在も成長ジャンルとして注目を集めるバーティカルメディアを運営するにあたって、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
一つひとつご紹介します。
バーティカルメディアのメリット
- ブランディングしやすい
- 広告が出しやすい
- 予算が少なくても大丈夫
ブランディングしやすい
バーティカルメディアの最大のメリットとして考えられるのが、そのブランディングのしやすさです。メディアのコンテンツを特定の分野に限定することで、ターゲットとなるユーザー層を絞り込むことができます。他社メディアと内容を差別化することにより、「この内容といったらこのメディア!」というようにユーザーのニッチな趣向に合わせたコンテンツマーケティングができます。
広告が出しやすい
バーティカルメディアを運営するにあたって、広告の出しやすいさは外せないポイントの一つです。既に述べてあるように、バーティカルメディアで集められるユーザーはかなり特定することができます。
ターゲットとなるユーザーのニーズにあった商品の広告を出すことができれば、高い費用対効果を出すことができるため、広告主との提携もしやすく、メディアの収益を最大化することができます。
ユーザーには求めているコンテンツや商品を的確に提供することができ、広告主には広告の費用対効果を最大化することができ、さらには、メディアからの収益を上げることができるため、3者にとって利益になるモデルといえます。
予算が少なくても大丈夫
総合メディアがコンテンツの量や網羅性を重要視するのに対し、バーティカルメディアにおいて重要なのは提供するコンテンツの精度です。どれほどユーザーのニーズに応えられるかが一番のポイントであり、比較的少ないコンテンツ量でも、狙ったユーザーからの流入数を取れるなどの成果を出すことができます。
そのため、メディア運用に係る外注費や人件費を抑えることができ、個人や中小企業でも効果的な運用が可能であることが大きな特徴といえます。
バーティカルメディアのデメリット
- ターゲットが絞られているためアクセスが増えにくい
- ネタ切れになりやすい
ターゲットが絞られているためアクセスが増えにくい
バーティカルメディアはコンテンツが特化しているため、キーワードを検索するユーザーが少なく総合メディアに比べアクセスが増えにくいということは考慮すべき点の一つです。
ネタ切れになりやすい
バーティカルメディアでは、提供するコンテンツの分野が絞られているため、コンテンツのネタ切れに陥りやすくなります。ネタ切れになるとコンテンツを増やしづらくなり、メディアの規模を拡大しにくくなります。
バーティカルメディア運営の注意点
では、バーティカルメディアを運営するにあたって、メリットを最大化しつつデメリットを解決するための方法をご紹介していきます。
ターゲットの厳選
バーティカルメディアを運営するにあたって、最も重要となるのがターゲットユーザーの獲得です。
ターゲットを明確にするためにも、ターゲットユーザーの人物像となるペルソナを設計した上で、そのユーザーのニーズに応えることができるようなコンテンツ作りをしましょう。
下記に、ペルソナの設計手順やプロフィール作成に効果的な項目をご紹介致します。
ペルソナの設計手順
①ざっくりとしたターゲット層からデータ収集(インタビュー、アンケートなど)をする
まずはペルソナに関する情報を集めます。ざっくりとしたターゲット層に当てはまる関係者などからインタビューやアンケートを通して情報をいくつか収集しましょう。
②データを基にしたペルソナのプロフィールを作成する
次に収集したデータをもとに、共通する特徴を探し出しペルソナのプロフィールを作成しましょう。プロフィールの作成時は、下記の項目を参考にしてみてください。
③ ペルソナのストーリーを作成する
最後にペルソナのプロフィールを基に、文章としてストーリーやエピソードを作りましょう。
これにより、ペルソナの人物像がより具体的になり、イメージしやすくなるようになります。
ペルソナのプロフィール作成に効果的な項目
- 基本情報(年齢、性別、住んでいる場所、家族構成)
- 職業(仕事内容、役職)
- 生活パターン(起床時間、通勤時間、勤務時間、就寝時間、休日の過ごし方、食事場所)
- 性格
- 人間関係(恋人、友人)
- 収入、貯蓄性向
- 趣味や興味
- インターネットの利用状況、利用時間、利用しているデバイス
- 目標や目標達成に関わる課題
ペルソナを設計することにより、ユーザーの行動だけではなく、行動や意思決定の動機に注目することができるようになり、ユーザーニーズに応じたより訴求力のあるコンテンツを作成することができるようになります。
アクセス数やユーザーの分析
メディアに訪れたユーザーを詳細に分析しましょう。「どのコンテンツに」「どのようなユーザーが」「いつ/どれくらい」「どこのサイトから」「どのように流入したのか」、ユーザーの情報を明確にするとコンテンツ作成に役立つだけでなく、ユーザーの行動を予測する重要な情報となります。メディアを運営するにあたって、ユーザー分析をするために次の3つの指標を確認してみましょう。
① 集客指標:サイトに人は集まっているのか?
② 閲覧目標:記事は読まれているのか?
③ 成果目標:成果に結びついているのか?
これらの指標を確認することで、サイトに訪れたユーザーのニーズや行動を明確化し、より訴求力の強いコンテンツの企画やライティングに役立てることができます。
導線の確保
既に述べている通り、バーティカルメディアのターゲットとなるユーザーはかなり絞られ、それらのユーザーからのアクセス数を増やすことができるかが、バーティカルメディア運営のポイントとなります。
ユーザーからのアクセスと増やすためにも、ターゲットユーザーの特徴に合わせ、SNSやWEB広告を利用したユーザー獲得のための導線をしっかりと作りましょう。
徐々にコンテンツの幅を広げる
特定の分野に絞った情報提供をしているとコンテンツのネタ切れになることが多々あります。コンテンツの幅を広げる時は徐々に関連のある内容からコンテンツを増やしていきましょう。
急激に、コンテンツ内容を広げると既存ユーザーが流出する可能性もあります。
バーティカルメディアの成功事例
バーティカルメディアについて語る際に、欠かすことができないのが株式会社じげんの成功事例です。2013年11月に上場し急速に成長と遂げているじげんは、上場当時の売り上げ約11憶円で、現在の2018年3月期の売上は約100億円を超えています。
株式会社じげんHP:https://zigexn.co.jp/
じげんでは○○EXというシリーズのメディアを数多く保有しており、代表的なメディアには「転職EX」があります。転職EXは様々な転職サイトの情報をひとまとめにした転職情報に特化したサイトです。転職市場は大きく、検索もよくされるため、アクセスがされやすいメディアの内容になっています。
また、ユーザーとしては各転職サイトに登録することなく、転職EXと使って各転職サイトの情報を横断してみることができ、かつ転職EXに登録すれば各転職サイトに一括登録ができたため、利便性が非常に高いと言えます。
まとめ
色々な人・企業がそれぞれのメディアを持ち競争が激化する中、分野を特化することでユーザー・広告主・メディアの3者に利益が生まれる「バーティカルメディア」。働き方改革が推進され、収入源を増やしたいと考える方も増えているかと思います。今回の記事がメディア運営を始めたいと考えている方々にとって、一助となれれば幸いです。