PHP技術者認定試験とは?試験難易度や学習方法を解説
「PHP」は、多くのウェブサービスで使用されているプログラミング言語です。PHPの民間資格である「PHP技術者認定試験」に合格すると、PHPプログラミングのスキルがあることを証明できるため、転職やスキルアップに役立ちます。
この記事では「PHP技術者認定試験」の概要と、学習方法などをご紹介します。
この記事の監修者
INTLOOP株式会社
TECH STOCK MAGAZINEサイト 監修部
TECH STOCKの運営会社であるINTLOOPで活躍している現役エンジニアで構成された監修部です。各領域の言語・スキルの知見を持ったメンバーが、現場の知見も含めて記事のチェック・監修を行っています。
PHP技術者認定試験とは
「PHP技術者認定試験」は、一般社団法人「PHP技術者認定機構」(2011年2月1日設立)が運営する、PHPの技術習熟度合いを測ることを目的とした民間の技術資格です。ここでは、PHP技術者認定試験の試験レベルや試験区分、各試験の試験概要について解説していきます。
試験レベル
PHP技術者認定試験には、受験者の技術習得度合いに応じて、次の3つのレベルが用意されています。自分のスキルや経験にあったレベルの試験を受験することが大切です。
レベル | 対象者のレベル | 該当するITスキル標準 |
初級 |
|
レベル1 |
上級/準上級 |
|
|
ウィザード | ウェブ全般、PHPのフレームワーク、データベースなどに精通している、高度な専門家 | なし |
試験区分
PHP技術者認定試験では、PHPのバージョンによって試験区分が異なります。
- PHP5
- PHP5初級試験
- PHP5上級/準上級試験
- PHP7
- PHP7初級試験
- PHP8
- PHP8初級試験
- PHP8上級/準上級試験
- PHP技術者認定ウィザード
PHP技術者認定試験の試験概要
ここでは、それぞれの試験の概要を解説します。
PHP5初級試験
「PHP5初級試験」では、PHPバージョン5を対象にして、PHPプログラミングの基本知識が問われます。
問題数 | 40問 |
出題形式 | 選択式(複数または単一選択) |
試験方式 | コンピューター上で実施するCBT(Computer Based Testing)方式 |
試験時間 | 1時間 |
受験費用 | 12,000円(税抜) |
出題範囲*1 |
|
*1: 詳しくは、PHP技術者認定機構の公式ページをごらんください。
PHP7初級試験
「PHP7初級試験」では、PHPバージョン7を対象にして、PHPプログラミングの基本知識が問われます。
問題数 | 40問 |
出題形式 | 選択式(複数または単一選択) |
試験方式 | コンピューター上で実施するCBT(Computer Based Testing)方式 |
試験時間 | 1時間 |
受験費用 | 12,000円(税抜) |
出題範囲*1 |
|
*1: 詳しくは、PHP技術者認定機構の公式ページをごらんください。
PHP8初級試験
「PHP8初級試験」では、PHPバージョン8を対象にして、PHPプログラミングの基本知識が問われます。
問題数 | 40問 |
出題形式 | 選択式(複数または単一選択) |
試験方式 | コンピューター上で実施するCBT(Computer Based Testing)方式 |
試験時間 | 1時間 |
受験費用 | 12,000円(税抜) |
出題範囲*1 | PHPの基本、演算子、制御構文、オブジェクト指向構文など |
*1: 詳しくは、PHP技術者認定機構の公式ページをごらんください。
PHP5上級/準上級試験
「PHP5技術者認定上級/準上級試験」では、PHPバージョン5を対象にして、PHPの言語仕様から、実用的なプログラミングテクニックまでの知識が問われます。
正解数に応じて、準上級試験合格者、または上級試験合格者として認められます。
- 準上級:オンラインマニュアルなどを参考にして、プログラミングができる
- 上級:PHPの言語知識から、実用的なプログラミングテクニックを持つ
問題数 | 60問 |
出題形式 | 選択式(複数または単一選択) |
試験方式 | コンピューター上で実施するCBT(Computer Based Testing)方式 |
試験時間 | 2時間 |
受験費用 | 15,000円(税抜) |
出題範囲*1 |
|
*1: 詳しくは、PHP技術者認定機構の公式ページをごらんください。
PHP8上級/準上級試験
「PHP8技術者認定上級/準上級試験」では、PHPバージョン8を対象にして、PHPの言語仕様から、実用的なプログラミングテクニックまでの知識が問われます。
正解数に応じて、準上級試験合格者、または上級試験合格者として認められます。
- 準上級:オンラインマニュアルなどを参考にして、プログラミングができる
- 上級:PHPの言語知識から、実用的なプログラミングテクニックを持つ
問題数 | 30問 |
出題形式 | 選択式 |
試験方式 | コンピューター上で実施するCBT(Computer Based Testing)方式 |
試験時間 | 2時間 |
受験費用 | 15,000円(税抜) |
出題範囲*1 | 基本的な関数、クラスとオブジェクト、セキュリティなど |
*1: 詳しくは、PHP技術者認定機構の公式ページをごらんください。
PHP技術者認定ウィザード
「PHP技術者認定ウィザード試験」は、PHP技術者認定試験の最上位試験です。受験をするためには、上級試験に、9割以上の正解率で合格する必要があります。
出題形式 | 論文を提出
|
合格基準 | 受験者が応募した論文が、PHPの発展に貢献できると認められること |
出題範囲 | 論文の題材はPHP認定ウィザードに関する所信表明、PHPが好きなところ、将来の夢・展望、PHPコミュニティ活動や、勉強法などを想定 |
詳しくは、PHP技術者認定機構の公式ページをごらんください。
PHP技術者認定試験の難易度・合格基準
PHP技術者認定試験の初級試験、準上級/上級試験における、難易度と合格基準について解説します。なお、ウィザード試験については、上級試験の正解率9割以上と、受験資格が非常に厳しいこともあり、累計の合格者は2名(いずれも2015年審査)です。(2023年10月13日段階)(※)
PHP技術者認定初級試験の難易度・合格基準
PHP技術者認定試験の初級試験の難易度は、経済通産省が定めるITSS(ITスキル標準)のレベル1相当(※1)です。ITSSレベル1は、「情報技術に携わる者に最低限必要な基礎知識を有する」とされています。同じITSS レベル1相当の試験には、「ITパスポート試験」などがあります。
PHP技術者認定初級試験では7割の正解率を満たせば、合格できます。(※2)ただ、非エンジニアも多く受験する「ITパスポート試験」と比べると、PHP技術者認定試験は実務経験がないと少し難しく感じるでしょう。
※1 参考:ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップVer10r1
※2 参考:PHP8 技術者認定初級試験
上級/準上級試験の難易度・合格基準
PHP技術者認定試験の上級/準上級試験の難易度と合格基準は、以下の通りです。PHP5、PHP8いずれも以下の内容に該当します。
- 上級試験:
- ITSSのレベル3相当(スキルの専門分野確立を目指し、プロフェッショナルとなるために必要な応用的知識・技能を有する)(※1)
- 7割以上の正解で合格(※2)
- 準上級:
- ITSSのレベル2相当(プロフェッショナルとなるために必要な基本的知識・技能を有する)(※1)
- 5割以上、7割未満の正解で合格(※2)
※1参考:ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップVer10r1
※2参考:PHP技術者認定上級/準上級試験
PHP技術者認定試験の学習方法
PHP技術者認定試験の学習方法について解説します。
試験区分の選び方について
PHP技術者認定試験に合格するには、まずどの試験区分を受験するのかを選びます。実際の業務でPHPを使用している場合には、業務の要件にあったPHPバージョンの試験を受けると良いでしょう。
また、これから転職を考えていたり、新しくキャリアをはじめたい場合には、なるべく最新のPHPバージョンの試験の選択がおすすめです。
ちなみに、現在ウェブサイトで最も使用されているPHPのバージョンはPHP7(63.6%)で、それにPHP5(19.7%)、PHP8(16.6%)と続きます。(※)そのため、利用率を考慮するなら、PHP7の試験を受験するのがおすすめです。
TECH STOCKはフリーランス・ITエンジニアの方に案件をご紹介して21年目、全登録者43,000名以上の案件紹介サービスです。高単価・上場企業・リモート可能・即アサイン可能など、スキルや希望にマッチする案件をご紹介します。
PHP技術者認定試験の学習方法は?
PHP技術者認定試験の初級試験と上級/準上級試験について、代表的な学習方法をそれぞれ解説します。
初級試験向けの学習方法
初級試験に向けて、公式の認定書籍やオンライン学習サイト、公式サイトの模擬試験などを利用して学習すると良いでしょう。
- 公式の認定書籍
参考書でPHPの基本を学習し、試験対策として問題集をこなしていきましょう。- PHP5:
参考書には『初めてのPHP5 増補改訂版』をおすすめします。PHPの基礎を丁寧に解説している入門書です。
さらに『徹底攻略 PHP5技術者認定[初級]試験 問題集』を試験対策として使用するとよいでしょう。巻末に1回分の試験を想定した問題が掲載されていますので、本番に慣れることができます。 - PHP7:
PHP7の参考書としては『初めてのPHP(PHP7対応版)』がおすすめです。
PHP7に対応した内容になっており、基礎的な内容に加え、データベースとの連携などの実用的な視点からも解説されています。
試験対策には『徹底攻略PHP7技術者認定[初級]試験問題集』をおすすめします。書き下ろしの問題それぞれに解説がついているほか、巻末に収録されている、1回分の模擬試験もおすすめのポイントです。 - PHP8:
参考書としては、『独習PHP 第4版』がおすすめです。PHPの基礎から、PHPの環境構築まで一通り学べます。
- PHP5:
- 公式サイトの模擬試験
実際の試験に慣れるために、模擬試験を受けても良いでしょう。PHP技術者認定機構の公式サイトに掲載されている、模擬試験コラムがおすすめです。サンプル問題とその回答、さらに詳しい解説がみられます。
具体的なコードサンプルも掲載されていますので、PHPへの理解を、より深められる点が特徴です。また、自分の実力を計りたい方は、PHP技術者認定機構ゴールド認定スクールであるPRIME STUDYが提供している模試試験も活用してみましょう。
PHP7、8技術者認定初級試験の模擬試験を無料で何度も受けることができます。
PHP7技術者認定初級模擬試験
PHP8技術者認定初級模擬試験 - オンライン学習サイト
オンライン学習サイトでの学習は、動画やスライドを利用して進められるため、効率的です。これらの学習サイトは、特に試験対策に特化しているわけではありません。書籍で学んだ知識を再確認し、PHPの基礎を確かなものにするために利用するとよいでしょう。- 『Progate』:スライドでの説明と、演習問題があります。実際にコードを入力して確認できるので、理解が深まります。
参考書では知識をインプットすることに偏りがちなので、このサイトでアウトプットを行うことで、PHPの基礎知識を確かなものにしましょう。 - 『ドットインストール』:動画で講師が解説してくれるので、自分のペースで学習を進められます。講師によるナレーションがつきますので、まるでスクールに通っているような、リラックスした雰囲気で学習できます。
- 『Progate』:スライドでの説明と、演習問題があります。実際にコードを入力して確認できるので、理解が深まります。
上級/準上級向けの学習方法
上級/準上級試験に向けて、公式の認定書籍と、公式サイトの模擬試験を利用して学習すると良いでしょう。
- 公式の認定書籍
参考書でPHPへの理解を深めていくと同時に、試験対策として問題集を利用します。PHPの本格的な参考書としては、『プログラミングPHP 第3版』がおすすめです。PHPの言語仕様から、実践的なプログラミングテクニックまで詳細に解説されています。
試験対策としては、『徹底攻略 PHP5 技術者認定[上級] 試験問題集』がおすすめです。試験範囲を網羅しているほか、サンプルコードも豊富に掲載されているため、試験対策としてだけでなく、リファレンスとしても役立ちます。 - 公式サイトの模擬試験
認定スクールが模擬試験を提供しています。本番と同じ出題形式ですので、本番試験の雰囲気に慣れることができるでしょう。
PHP8技術者認定上級模擬試験
合格までの勉強時間目安
PHP技術者認定試験に合格するために必要な、勉強時間の目安について解説します。
初級試験合格までの勉強時間目安
初級試験合格までに必要な勉強時間は、受験者のスキルや知識によって大きく異なりますので、以下の内容は相対的な目安として参考にしてください。
- ケース1 PHP実務経験なしの場合:
約10日(毎日の学習時間は10時間程度) - ケース2 PHP歴2年(PHP実務経験6か月)の場合:
1週間程度 - ケース3 PHP実務経験6か月の場合:
2週間程度
ある程度の実務経験を持つ人で、1週間から2週間ほどの勉強時間で合格したという体験談があるのは事実です。自分の実務経験とスキルに近い例を参考に、大まかな勉強時間の目安を考えると良いでしょう。
上級/準上級試験合格までの勉強時間目安
上級/準上級試験は、初級試験よりも難易度が高いため、より多くの学習時間が必要になります。上級試験合格の体験談では合格までの勉強時間として以下の内容が記載されていました。
- ケース1 PHP実務経験1年(受験時までに別の業務に携わっておりブランクあり)で上級合格の場合:
3週間程度 - ケース2 PHP実務経験不明(準上級認定取得済み)で上級合格の場合:
3ヶ月程度
上記の2点を踏まえると、実務経験やある程度の知識を保有している方であれば、3週間〜3ヶ月が一つの合格までの勉強時間の目安になると言えそうです。
フリーランスエンジニアの案件紹介サービスTECH STOCKには、PHP案件が多数ございます。高単価・上場企業・即アサイン可能など、スキルやご希望にマッチする案件をコーディネーターがご紹介いたします。PHP技術者認定試験の学習をいかして年収アップを狙うならTECH STOCKにお任せください。
学習計画の例
PHP技術者認定試験に限った話ではありませんが、資格試験に合格するには、きちんと学習計画を立て、余裕をもって学習を進めることが大事です。学習計画の立て方の例を、以下に解説します。
必要な学習量を見積もる
まず、公式サイトや認定教材を確認して、受験する試験区分の出題範囲や難易度を把握することが重要です。出題範囲と、自分の理解度とを照らし合わせ、学習が必要な箇所を洗い出し、その後、必要な学習量を具体的に見積もります。
たとえば「問題集の、この章とこの章は〇回繰り返す」などと目安をつければ、1ページあたりにかかる時間から、全体として必要な学習時間を計算できます。
1日あたりの学習量を決定する
自分のライフサイクルを考え、1日当たりの学習量を決定しましょう。はじめに、試験日程を確認し、試験当日までにどれだけ学習期間を確保できるのか確認します。たとえば、50時間の学習が必要で、試験当日までに学習期間を2週間確保できたとします。
日中、会社に勤務している方の場合で考えてみましょう。平日なら勤務終了後の2時間、週末は日中の8時間を勉強にあてられると想定すると、2週間分の総学習時間は52時間となります。
上記の学習時間を元に、1日ごとにどのような学習を行うのか具体的な行動計画を立てると効率的な試験対策ができるでしょう。
まとめ
PHP技術者認定試験には、PHPのバージョンごとに、初級試験、上級/準上級試験が用意されています。それぞれのレベルに応じて、PHPの基礎知識からPHPの言語仕様、実用的なプログラミング能力などが問われる試験です。
試験に合格するには、自分の知識やスキル、業務状況などを考慮して、適切な試験区分を選び、きちんと計画を立てて学習することが大切です。